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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『チャンピオンを撃破せよ。』
33/43

EPISODE 33「チャンピオン・ファイト」

       巷ではとある事件が起きていた。


都内にある武道場やボクシングジムなどにとある男が勝負を仕掛けにやってくる。

勇気ある者はその男に挑むが一瞬で倒されてしまうという。


そして男は転々と違う場所に現れては挑み、倒すという道場破りに等しい行為を行っている。


その事件は特異課の風雅と雷牙にも届いた。


「って言ってもさぁ、ただの道場破りだろ?ほっときゃいいじゃん?」


「それくらいのレベルなら特異課にこの事案は来ないさ。酷いのは、闇討ちだ。」

「は?闇討ち?」


男が道場破りに来るのは昼頃、しかし本題は夜だ。暗い帰り道を歩いていた選手が毎晩殺されているのだ。

それもそのジムや道場で一番の腕前を持つものだけが標的であり、どれも遺体の損傷が激しかった。


風雅は雷牙からその遺体の写真を見せてもらった。


「うわぁ…こりゃ酷いな顔がひしゃげてんぞ。」


「とても人間が出来る殺傷方法ではない…これは妖の仕業だ。となると道場破りに来る男も同一人物の可能性が高いな。」


それと同時に二人のケータイにミッションが入った。


        『チャンピオンを撃破せよ。』


「まるで狙ったかのようなタイミングだな…。」

「行くぞ風雅。」



          某ボクシングジム


風雅、雷牙、花は道場破りに訪れる男を待ち受けるためにココで一番の腕前を持つ選手の名を借りることにした。

風雅はボクシンググローブを身に着け、つけヒゲ、アフロのカツラを被り、万全の状態だ。


「ちょちょちょい、あのさ、待ち伏せるのはいいんだけどさ、なんでこの格好なの?」


「そりゃお前ボクシングで強いって言ったら具◯堅◯高だろ。」

「いつのデータだよ、もう引退してんだよ!」


「でもちょっと似合ってるよ…ププ、風雅くん…w」


「花ちゃん笑わないでぇ見ないでくれぇアフロの俺を!」


その時、ジムの扉を蹴破って何者かが風雅たちの前に現れる。


           「頼もう!」


「やっと来たか闇討ち犯…ん…。」「……」「ほぇ…」


彼らの目の前に現れたのは、全身がカンガルーの特徴を帯びたカンガルー人間。両手には赤いグローブを着けている。


「ここに山岡 慎吾なる若者がいると聞いて参った!おぬしで間違いないか!?」


あまりのビジュアルに三人は固まってしまった。


「んえ?あ、あぁ来てくれてどうもカンガルーさん。だけどよ、俺は妖狩エージェント:『神狼』!闇討ち犯であるお前を倒すために来た!」


風雅はアフロを脱いだと同時に特殊防護服へと着替えた。

『カンガルー』も驚き、騙された怒りで跳び上がり、リングへ上がった。


「答えろ、なぜ人を襲う…!」


「わしの目的は最強の戦士になること…だから各地で強者と戦っているのだ!」


「殺るんだったら現役の選手狙えばいいだろうが。何故若い芽を摘む!」


「わしより強い奴が現れたら困るからな、だから早急に手を打ったまでよ。」


「!、…このクズが!!」


雷牙も『カンガルー』の犯行動機を聞いて怒ったのか、すぐにゴングを鳴らした。


風雅はグローブに風を纏って『カンガルー』に一発繰り出そうとするが、『カンガルー』は自身の太い尻尾をリングに打ち付け、その反動で跳び上がり、大きな足で風雅の顔を蹴った。


「ぐっ!」


「まだまだゆくぞ!」


赤いグローブから繰り出された拳が風雅の顔面にクリーンヒット。鼻血が吹き出す。


「風雅くん!」


「立て、立つんだジョー!」


「誰が矢吹ジョーだ!」


風雅は先程受けた『カンガルー』の二発の打撃に違和感を感じていた。

さっきのパンチ、明らかに通常のパンチと同等の威力のはずだった。

風雅の見解では、『カンガルー』の姿勢と力の入れ具合から素人感はあった。だが、顔に拳が当たる直前にいきなり威力が跳ね上がった。蹴りも同様だ。


「わしの術式は ー「“最強の一撃(ヒット&アウェイ)”」ー !殴る直前に自動で妖力が跳ね上がり、倍の威力を引き出す!!」


「どうりで変なわけだ…お前は妖ながら人間と同じようなパワーしかない、それを術式で補って闇討ちしたってわけか…。」


「威力は自分でコントロール可能だ…。」


妖じゃなければ今の一発で顔が完全にグチャグチャになっていたであろう。

風雅はロープに持たれながら一息ついて、戦闘が再開される。


「来いよカンガルー!」


「ふんっ!」


再び尻尾を叩きつけ、跳び上がり、キックを繰り出そうとするが今度の風雅は左手で『カンガルー』の足の裏に拳を当てて反撃した。


「なに!?」

妖狩エージェントに同じ技は二度通じないぜ?」


「えぇでもこの前何回も殴られてたような…。」


「花ちゃん、しーっ!」


と慌てて花を黙らせた風雅は両腕のグローブを外した。


「『神狼』、“武装”っ!」


風雅はリングに右手をついて、苦しみ出した。そして右腕にガントレットが装備された。

その際に視界にノイズが走り、一瞬だけ気絶するが、すぐに顔をあげた。

その際に目元に痣が出現していた。


「さぁ風に還る時だぜ…?」


「貴様卑怯だぞ!」

「全身にカンガルーの着ぐるみ“武装”してるおっさんが何を言う!」


ガントレットのブースターから風を噴射して一気に距離を詰め、風を纏った拳で『カンガルー』の腹部にダイレクトアタックを繰り出した。

その際に口から鮮血を吐き出し、一時怯んだが、次に左腕にも風を纏って顎にも強烈な一撃を繰り出す。


「やってくれたな…!」


「本気ってのはこうやって出すんだ。次で決めてやるよ…真っ白な灰になりなっ!」


風雅の拳に先程よりも多くの風が集まる。『カンガルー』は怯えながらもグローブを構えて風雅に向かって走り出す。


間髪入れずに風雅は拳から必殺技を繰り出す。集まった風は狼型のオーラとなり、咆哮を上げた拳は、着ぐるみを“武装”した『カンガルー』の身体を貫通した。


           「“疾風弾”っ!」


着ぐるみは消滅し、中から現れた中年の男の体は灰化し前から倒れ、リング上に広がった。


「ミッションコンプリート…。」


風雅は“武装”を解除し、変装用のアフロを被ってジムを後にした。


「兄貴、ところでコレ(カツラ)どこで買ったん?」

「ド◯キ」


「信頼と安心のド◯キ(笑)」

「ねーねー風雅くんそれ被ったまま焼肉行こうよ琥珀ちゃんと凱さん誘って!」


「あいつらに見られたら間違いなく笑いもんだよ!」


       EPISODE 33「チャンピオン・ファイト」完

           次回 第34話

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