シナリオ #07
殺されたフィオナ・ベルベット嬢は、亡者となって蘇っていました。
己の容姿の変貌に、フィオナはショックのあまり鏡を叩き落とします。
その破片が彼女の肌を傷つけたときです。
皮膚の赤い傷跡が、みるみるうちに修復されてしまいました。
ますます人間離れした怪奇を前に、フィオナはひときわ大きな鏡の破片を握りしめると、それを何度も己の首筋へと突き立てました。
何度も、何度も──そのたびに、傷は卑しく閉じていきます。
「し、死ねない……」
神の摂理に反して蘇っただけではありません。その体は二度と死の眠りにつけないよう、呪いをかけられてしまったのです。
いったい、どうしてこんなことに……。
呆然とする令嬢に、従者ディオスの淡々とした声が突き刺さります。
「私があなたを亡者として呼び起こしました」
従者の意味不明な陳述に、フィオナはさらに混乱し、憤りを超えてその場に泣き崩れてしまいました。
生き返ったところで、この身は腐った死人。
もう、愛しい人のもとへ帰ることも叶わないのです。
フィオナはおおいに嘆きました。
自分はただ、幸せになりたかっただけなのに。
それだけを願って、白嶺の華になることを目指したのに……こんな顛末はあんまりではないか。
床に打ち伏す令嬢。そのうずくまった背に、またしてもディオスの声が突き刺さりました。
「メッキは剥がれた。いまのおまえに振り向く者はいない──」
「!」
淡白な物言いこそ変わりませんが、先ほどとは打って変わって、その口からつむがれたのは残酷な罵倒でした。




