シナリオ #04
交流を重ね、手紙のやり取りをくり返し……。
十分に機が熟すのを待ってから、彼女はそれとなく、周囲に自分たちの仲が知れわたるよう仕向けました。
ベルベット家の親類は、フィオナとエリオールの縁談に、おおいに賛同しました。
相手はなんといっても、公爵家。
貴族社会に身を置く者として、この巡り合わせを逃す手はないでしょう。
ところが、フィオナの父親であるイゴール卿は、気が進まない様子でした。
相手が位の高い公爵家だからこそ、自分の娘では釣り合わないのではないかと懸念を示したのです。
破談の気配が漂うなか、意外にもこの父の懸念を一蹴したのは……継母のアマンダでした。
再婚以来、フィオナは継母と頑なに距離を置き、お互い家族とは言えない冷めた関係を続けてきました。
まさかの助け舟に驚かされましたが、アマンダの説得もあり、父が折れて、両家の縁談が取り決められることとなりました。
そして、出会いから季節が一巡するころ。
フィオナとエリオールは、正式に婚約を交わしました。
貴族の令嬢として、このうえない幸せを手にしたフィオナ・ベルベット。
しかし、そんな幸福の頂にのぼりつめた彼女を──恐ろしい悲劇が襲います。
某日。
首都にある公爵家の館にて、フィオナとエリオールの婚約を祝う宴が催されました。
そのめでたい席のさなか、彼女は倒れました。
婚約の挨拶を終えて、手にしていた祝杯のグラスをあおった瞬間の出来事でした。
そう、何者かが彼女のグラスに毒を盛っていたのです。
哀れな侯爵令嬢フィオナ・ベルベット。
齢十八の若さで、その花は無残にも手折られて──死んでしまったのでした。




