シナリオ #02
年月が流れて──孤独な少女は、見目麗しい貴族の令嬢へと成長しました。
侯爵令嬢フィオナ・ベルベット、十七歳。
銀糸のたおやかな髪に、海を思わせる青の瞳。
その容姿の美しさを前に、誰もが思わず息をのんでしまうことでしょう。
さらに洗練された立ち振る舞いに、どんな話題でも流暢に受け応える教養の高さには舌を巻くばかりです。
社交界入りしたとたん、その評判はあっという間に貴族たちのあいだに広がり、たちまち彼女は時の人となりました。
どの夜会でも、注目の的です。
ひと目彼女を見ようと、連日あちらこちらから会の招待状が届くほどでした。
当人からしてみれば、少女時代からの努力が実を結んだ結果となりました。
貴族令嬢として最上の──白嶺の華として輝く、フィオナ嬢。
あとは素敵な殿方との、運命の巡り合わせを待つばかりです。
ところが、そんな彼女に思わぬ不幸が訪れます。
彼女の義妹、一つ年下のリリア・ベルベットが遅れて社交界入りしたのです。
すると、なんということでしょう。
貴族たちの話題が、あろうことかリリアにすべてかっさらわれてしまったのです。
……リリア嬢はじつに愛らしい。
光のようなブロンドの髪に、琥珀色の瞳をきらめかせた魅力的な令嬢である、と。
やがて、夜会ではフィオナとリリアのことを『ベルベット家の美しい令嬢姉妹』として、並べるようになりました。
姉を、銀の白鳥。
妹を、金のカナリア……と評して。




