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吸血鬼が始めるダンジョン経営 ~アトラクション化で効率的に魂採取~【祝8万PV】  作者: 近衛 愛
第3章 ダンジョンマート金沢店 オープン2日目

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【022】ダンジョンマート金沢店オープン:2日目その3

 玉藻姉さん、ヨシさんと見てきたので、次は受付に行くか、それとも誘導係に行くかである。僕がフォローしている間は、プロのやり方を見て、その後休憩に行ってもらって戻って来てからまた、見て何が違うかを確認している。


 妲己姉さんにもそろそろ休憩を挟んでもらいたいし、僕自身じっくりと妲己姉さんの誘導を見ていたいという思いもあり、誘導の場所、列の最後尾に行った。今日も炎天下ということもあり、並んで入るお客さんは、地下のホールで涼みながら水分補給して、スマホいじったり、喋っていたりして待つ時間を過ごしていた。


 最後尾まで来ると、そこには昨日とは一点違ったものがあった。そう、ステージである。なんで?今日イベント確か予定に入ってなかったと思うけど……。もしかして……と思ってステージの上を見上げたら、妲己姉さんがそこにいた。何故なぜに???


 もう、他の人のフォローなら、感動することはあっても、変に驚くことはない。でも、妲己姉さんのとこに来ると毎回斜め上の、僕の予想もしない事態におちいっているような気がする。


 今は音楽を流しながら、演舞の真っ最中であった。えっ、最後尾はって、なんか若い男の子が頬にピンクのキスマークつけて、壇上を見上げながらプラカード持ってましたよ。妲己姉さんや、あんた一体なにやっちゃってるの?おっと、またアドレナリンが発生し、怒りのボルテージが上がってきた。


「す~~っ、は~~っ、す~~っ、は~~っ、す~~っ、は~~っ、」


 深呼吸を数回行い、落ち着きをなんとか取り戻す。


 また、お客様や周囲の通勤の方や観光客の方に行列で迷惑かけているから、ご奉仕して、サービスしてるんですね。うん、僕納得します。


 でも、これの誘導のフォローって、明らかに異質過ぎない?妲己姉さん個人の資質によるものが高すぎて、模倣もほうするのは明らかに無理じゃない???これって交代するとき、僕が壇上でなにかやるの?そんなの僕、何も出来ないよ。


 歌は音痴だし、運動は苦手だから、演舞とかダンスとかも、変な踊りになって少しも見てて楽しくないと思うんだ。笑いものになるってのはあるかもしれないけど、それは果たして意味あるのかな?


 音楽が徐々に小さくなり、演舞が終わった。軽く妲己姉さんが壇上で一礼する。すると、観客からの一斉のアンコールだ。


「アンコール!アンコール!妲己ちゃ~んサイコーだったよ。もう一回お願い!!」


って声があちらこちらから飛んでくる。


 もう、僕はえ~~~って感じですよ。ヘタなコンサートより高い熱気と盛り上がりがそこにはあった。昔から、そういう熱気に同化、一緒に騒げない僕は、しら~~~っと眺めるのであった。


 どう収拾しろというのだろうか?というかここまでするなら、隣の音楽堂借りて、開いた方がいいんじゃないかと思ってくる。路上ライブでここまでするのか……。


 これって、ここで僕がまた昨日みたいに、妲己姉さんと休憩の交代したら、凄いブーイングが来るんじゃないですか?この状況は……。


 僕が見ながらぼ~~っと舞台を見ていると、スーツを来た男性の方がこっちにスタスタと近寄ってきた。


「こんにちはダンジョンマートの方ですか。私この地下ホールのイベント管理してます。柳沢営一やなぎさわえいいちと申します。」


「おはようございます。僕はダンジョンマート金沢店の代表を務めておりますウィーンと申します。宜しくお願いします。」


手を出されてきたので、こちらも手を出しを握手する。


「ウィーンさん。さぞかし驚かれたでしょう。ダンジョンマートさんのオープン2日目で、また行列が出来はじめ、あちらの妲己さんが路上で演舞されてました。昨日テレビの特番で、オープン一日目のものが流れていたんですね。そこには妲己さんが、地下ホールで演舞や歌唱している姿が流れてまして。本来日曜ではあるのですが、電話でのお問い合わせが駅や県庁、金沢市の方まで、ひっきりなしに今朝からかかってきてました。

 金沢駅の駅員さんに、連絡して確認したところ、今日も朝から、地下ホールでイベントの予定はないが、演舞や歌を歌われている方がいると聞きまして。しかも、昨日より多くの方が集まられているみたいなんですよ。遠くから演舞を見れない方が押しかけて、前にでそうになったり、トラブルになりかけておりました。

 それで、こちらで、金沢市長、石川県知事にご連絡して、了解をとった上で、急遽、業者にお願いして、ステージの設置、音響、ついでに司会までさせてもらっている状況です。」


「なんかほんとすみません。うちのオープンのせいで、関係各所色々な方にご迷惑をかけているみたいで」


 僕は、ほんと申し訳なくなってペコペコと頭を下げて平謝りした。


「いえいえ、謝ることなんてダンジョンマートさんは何一つないんですよ。むしろ、石川県や金沢市が感謝したいくらいなんです」


「えっ、それはいったいどういうことですか?」


「それはですね。新幹線が停まるようになってからは、テレビでも特集が組まれ金沢は日本全国の方に知ってもらえるようになりました。でも、今回のダンジョンマートさんのオープンそして、なんといっても、妲己さんのこの歌唱力と演舞力は、石川県民ならず、日本全国の方から、ご興味の的となっています。

 こちらが企画しなにかするわけでもなく、これだけの宣伝効果をあげた。これは多きな石川県に対しての貢献になりますよ。是非、今後もダンジョンマートさんには、定期的に地下ホールまたは、近くの音楽堂でイベントをやってもらいたいくらいです。」


「そんなことになっていたとは驚きました。そういえば、忙しくて全然テレビでニュースを最近みてませんでした。テレビの放送も1週間後くらいだと思っていたので。でも、妲己さんは、ダンジョンマート金沢店のスタッフではなく、別の支店から来た応援スタッフになりますので、定期的なイベントは難しいと思います。ご期待に添えられなくてすみません。」


「いえいえ、そんな謝らないでください。ある程度はこちらも予想しておりましたので。でも、ちょっとだけお願いできませんか?今日一日、妲己さんにこのままこちらでステージに上がって頂くことに。」


「今日一日ですか?いくらなんでも彼女一人では、体力的にも厳しいし、何より僕の判断では許可できません。本人の意思も確認しないとですし。」


「ええ、妲己さんにはステージを設置した時に、条件付きでOKをもらっております。その条件はダンジョンマートの代表であるウィーンさんのOKがもらえたらやってもいいと。こちらとしても彼女一人にぶっ続けでやれなんて無茶なことは申しません。適宜休憩てきぎきゅうけいを挟みつつ、代役で近くの音楽家の人たちにも演奏してもらいますので。なに分これが出来ないと、ちょっと大変なことになりそうなんですよ。」


「えっ、大変なことですか?」


 ドン引きした形で柳沢さんに尋ねる。


「そう大変なことです。今お昼の11時ですが、現時点で例年とは比較にならないほどの、新幹線、特急電車しらさぎの乗車率だそうです。なんでも2倍はすでに達してるとか。そして、近くのホテルの宿泊に関しても、少し気になって電話したところ、昨日の時点で延泊が63件、今日の宿泊が235件増えているようです。明らかに昨日のダンジョンマートさんのイベントに関係して、影響が大きいと思われます。

 突発的なものであるため、これから来る人ももしかしたら、今日もあるかもしれないという形だとは思います。ですが、落胆した人達がどのような行動をとるかわかりませんし、地下ホールの関係者としても、せっかく楽しみにして頂いた県外からのお客様に落胆して、帰ってもらうわけにはいきません。せっかく来て頂くのであれば、楽しんで、満足して、石川県に金沢市に来てよかったと思って頂かなければ。おもてなしの心も大事ですからね。」


「そんな大事なことになっているとは。ええ、本人が了承しているのであれば、問題ありません。倒れないように体調管理と休憩を適宜挟んでお願いします。」


「今後もし、ダンジョンマート金沢さんでイベントするようなことがありましたら、事前に私共の方に連絡下さい。こちら遅れましたが名刺になります」


「はい、ありがとうございます。とは言いましても、妲己さんがいない以上、これから地下ホール等でイベントをすることは私としては考えておりません」


「いえいえ、言葉足らずで申し訳ありません。そのイベントに係わらず、ダンジョンマートさんの店舗で行うイベント全般に関してになります。夏の花火、肝試しinダンジョンとかそういったたぐいのイベントのことです」


「そういうイベントでしたら、今後開催するかもしれません。予定は今の所は何もないですが。でも、連絡するほどのことでしょうか?」


「ええ、是非に連絡をお願いしたいと思います。ウィーンさんはお気づきでないかもしれませんが、この北陸3県、いえ、日本海側において、唯一あるダンジョンマートがここ金沢店なんです。妲己さんのステージで広報力が上がったとはいえ、元々のダンジョンマートさんの影響力も大きなものなんです。こちらは、一県民として、石川県に携わる企業として、そのようなイベントがある際は是非にご協力させて頂きたいと思っております。」


「なるほど、そういうことでしたら、こちらからも宜しくお願いします」


 話が終わった所で、妲己姉さんもアンコールが終わってこちらに視線を送ってきた。僕は大きな○を腕で描いて、笑顔で頷いた。妲己姉さんも微笑んで頷いたので、言いたいことは伝わったようだ。


 また地下ホールが魔訶不思議まかふしぎな空間となることにびっくりしたが、僕はそのままダンジョンマートの受付へとスタスタと戻っていった。


お読み頂きありがとうございます。


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