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エッセー拾遺 ― 文芸誌のコラムから  作者: 坂本梧朗
2010年代

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99/110

第88説 NHKテレビの「ゲゲゲの女房」を……

 NHKテレビの「ゲゲゲの女房」を毎回楽しみに見ている。二年ほど前に「ゲゲゲの女房」が朝ドラになるという報道があり、期待していたのだが、その後なかなか番組が始まらず、立ち消えになったのかと思っていた。それだけに放送開始は嬉しく、第一回目から熱心に見ている。もちろん勤めがあるから録画だ。録画し忘れた時は土曜日のBSで一週間分をまとめて放送するのでそれをこれまた録画している。

 期待に違わず毎回面白い。貧乏に屈せず、夢を持って生きていく男とその男に寄り添う女。この夫婦の心の絆。そして二人を取り囲む人々との交流。涙が出る場面がいくつもある。私は水木しげるの愛読者ではないが、彼が軍隊ではよく殴られ、戦争で負傷して片腕を失くしたことなどは知っていた。「ゲゲゲの鬼太郎」はもちろん読んだことがある。テレビでの放映も見ていた。そのトボけた主題歌も好きだし、「ねずみ男」のキャラクターは人間の一典型を示すものとも思っていた。

 私は概して貧乏物語が好きだ。そこには夢があり、人と人との温かい交流がある。芸術家の貧乏物語は特に好きだ。主人公に自分を重ねることもできるし。水木しげるは原稿が金にならなくても、自分の才能に自信を持って描き続けた。大したものだと思う。見習いたい。

 主題歌がまたいい。いきものがかりの「ありがとう」。五分ほどもある長い曲だがCDを買って十回以上も聴いてようやく覚えた。齢をとると歌詞も節もなかなか頭に入らない。家路の自転車の上で口ずさんでいる。



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