第86説 マイケル・ムーア監督の最新作……
マイケル・ムーア監督の最新作「キャピタリズム マネーは踊る」を見た。資本主義というものを正面から問おうとする映画だ。確かに彼のこれまでの作品の流れを追えば、資本主義そのものを問うことになるだろうという気はする。日本の芸術・文化界にこんな問題意識を有している表現者はほとんど見当たらない。ムーアは資本主義が民主主義に敵対し、それを否定するものであることを告発する。キリスト教の倫理にも反することも強調する。そのモウケ至上の弱肉強食の実像を、彼独得の、パンチのきいた、テンポのいい映像展開で見せていく。しかし、金袋を持ったムーアが、公的資金によって救済された銀行に返金を要求しに行く突撃場面は、これまでに比べればいささか迫力を欠き、彼の老いを感じさせた。
資本主義をどう克服するかという問題が、現在人類が直面している大問題であることは確かだ。ソ連型の共産党独裁による「社会主義」がその道ではないことは明らかになった。しかし、他の道筋を人類はまだ見出していない。いずれにしても、生産者=労働者が連帯・共同し、そのまとまった力が政治・経済を掌握し動かしていくことが基本となるだろうが、そこにどのようにして至るか。民主主義の深化・徹底が必須であることは確かだが。
マイケル・ムーアの映画は前作「華氏911」もそうだったが、上映期間が異常に短い。地元の映画館で上映が始まったのはいいが、一日に複数回上映されたのは最初の一週間だけで、翌週は一日一回となり、その翌週にはもう打ち切りだ。なぜなのか。観客が少ないためか。何らかの圧力が働いているのではないかと気になる。




