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エッセー拾遺 ― 文芸誌のコラムから  作者: 坂本梧朗
2000年代

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第58説 三月二十日、米英軍は遂にイラク攻撃を……

 三月二十日、米英軍は遂にイラク攻撃を開始した。この戦争を止めさせようと、世界各国で未曾有の規模の反戦集会やデモが行われた。ローマ三百万人、ロンドン二百万人、マドリード二百万人、ベルリン五十万人…などの数字が記録されている。アメリカでもベトナム反戦以来の大規模なデモや集会があった。これらの平和を願う人類の声に挑戦して、ブッシュとブレアの両政権は戦争を始めた。

 ブッシュ政権は、サダム・フセインのような好戦的な独裁者が、大量破壊兵器や生物化学兵器を保有していることは脅威であり、彼等がそれらを使って罪のない人々を攻撃し、平和を破壊する前に対処する必要があるということを開戦の理由にしている。これは、やられる前にやる、という先制攻撃の論理だ。しかし、現在の国際法はこの論理を認めていない。

 国連憲章は二つの「例外」の場合にだけ武力攻撃を認めている。一つは自衛権の行使だ。今回の場合で言えば、米英がイラクから攻撃を受けたか、あるいは攻撃が差し迫っているという場合だ。もう一つは、ある国が世界平和を脅かしていると国連が認定し、集団的措置として武力行使を行う場合だ。この際、脅威の認定を行うのは国連の安全保障理事会だ。米英軍のイラク攻撃はこのどちらの「例外」にも当て嵌まらない。イラクは米英を攻撃していないし、攻撃が差し迫っている状況にもなかった。安保理の認定、つまり決議の方は、米英が多数派工作を展開したが、反戦世論の国際的高まりもあって失敗した。そこでアメリカは過去の国連決議を引いて武力行使を正当化しようとしているが、安保理決議一四四一及び六八七はいずれも、決議違反の疑いがある場合、国連安保理による「協議」「認定」を義務付けており、自動的な武力行使を容認するものではない。湾岸戦争の停戦決議である決議六七八は、イラクのクウェートへの侵略阻止を目的にして「あらゆる必要な手段を行使できる」としたもので、今回どこも侵略していないイラクに適用できるものではない。こうしてみると、米英軍のイラク攻撃は明白な国連憲章違反なのだ。

 武力行使を違法化した国連憲章は、この数世紀の国際社会の経験、とくに二次にわたる世界大戦の反省の上につくられたものだ。国際社会を「力の支配」ではなく、「法の支配」の下に置こうとするものだ。今回のイラク攻撃はこの国際法の秩序を覆そうとする暴挙だ。しかも政権の打倒、社会の変革などを口にして他国を攻撃することは、各国の主権や各民族の自決権を否認するもので、十九世紀の植民地主義の時代に世界史を逆戻りさせるものである。

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