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エッセー拾遺 ― 文芸誌のコラムから  作者: 坂本梧朗
1990年代

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第32説 最近我々が生きている社会の相貌を…… 

 最近我々が生きている社会の相貌をくっきりと見せてくれるような出来事が多発している。オウム事件がそうだったし、沖縄駐留の米兵による少女暴行事件、そして今回触れる住専問題、薬害エイズ問題もそうだ。

 住専問題は、住専(住宅専門金融会社)の抱える不良債権の処理に村山前内閣が六八五〇億円の税金を投入することを決め、橋本現内閣もそれを引き継いだ予算案を提出していることから生じている。住専の不良債権はバブル時に厳密な審査もなしに「担保貸し」をでたらめに行った結果、バブルが崩壊して担保としての不動産の価格が下落すると、融資の回収の目途が立たなくなったというものだ。大手銀行を先頭とする金融機関が目先の利益を求めて狂奔した結果だが、それを後押しした大蔵省・日銀にも責任のある問題だ。ところがその尻拭いを政府は国民の税金で行おうというのだ。そうしないと金融システムが崩壊するという根拠のない脅し文句を吐きながら。

 苦笑させられるのはこんな道理も何もない税金投入策がいとも簡単に政府案として出てくる日本の政治だ。阪神大震災の被災者の救援には「日本は私有財産制の国だから」という屁理屈をこねてまで公的援助を渋った政府が、それこそ私利私欲の追求に失敗して損をした企業の救済には、主権者国民の反対を押し切ってでも税金を出そうというのだ。この現象の裏には銀行業界からの政治献金がある。その額は大手二一行で十二億円程度と言われている。金を貰った政党・政治屋はそのお返しを政策、つまり国民の税金で何倍にもしてするのだ。さらに大蔵省の官僚にとって大手銀行は天下り先として大切な所だ。高給で優遇され、数年の勤務で巨額の退職金を手にすることのできるおいしい場所なのだ。もちろんタダでそのポストに座れるわけではなく、銀行への貢献をこれまでにしてきた、或いは今後することを期待された上でのことだが。こうして政・官・財の癒着構造が作られており、この構造の中で政府の住専処理案は出てきているのだ。数年前の政治改革論議では、悪の根源である企業献金を断つことが眼目であったのに、マスコミの翼賛報道のなかで小選挙区制導入にすり替えられ、企業献金は大手を振って健在だ。

 薬害エイズ問題も同様だ。製薬会社から薬事審議会(この場合はエイズ研究班)のメンバーへの献金、厚生省幹部の製薬会社への天下りによる癒着の構造だ。この利得のトライアングルがエイズ汚染の恐れのある非加熱製剤の継続使用を容認させ、罪のない数百人の国民を殺すことになった。

 これらの出来事は我が国の行政がどこを向いて行われているかを端的に示している。沖縄の米軍基地問題への対処の仕方もそうだが、それは決して国民の方を向いてはいない。我々はこうした社会に生きている。

                   

   



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