第29説 米兵による少女暴行事件への……
米兵による少女暴行事件への国民の憤激が広がっている。九月四日午後時頃、沖縄本島北部で、沖縄駐留海兵隊所属の米兵三人が買物帰りの女子小学生を待ち伏せ、車で拉致して乱暴した。レンタカーを使い、手足を縛る粘着テープを用意するなど計画的な犯行だった。沖縄県警は三人の身柄の即時引渡しを要求したが、米軍は「被疑者の起訴前は米側が被疑者を拘禁する」という日米地位協定第十七条C項を盾に拒否。この事態に対する県民の抗議が広がり、沖縄県議会は全会一致で抗議決議を可決した。沖縄では復帰後、米軍関係者による犯罪は十二件の殺人事件を含めて五千件にも上るという。今年の五月にも保険外交員の女性が三人の米兵に襲われ、ハンマーで頭を殴られ死亡している。犯人は一人しか捕まらず、その身柄はこの時も起訴後にやっと引渡されている。一昨年に嘉手納基地で起きた婦女暴行事件では、米軍が拘束中の容疑者がアメリカ本国に逃亡するという事も起きている。日米地位協定に阻まれ、米軍の犯罪は半ば野放しになっているようだ。
日米地位協定は日米安保条約に基づいて、日本国内における米軍の地位を取決めたものだが、占領時代の米軍の特権をそのまま温存した不平等なものだ。例えば米国は日本のどこにでも施設と区域の提供を要求でき、国有地はタダで無期限に、民有地は日本政府が税金で買収または強制収用して提供することになっている。空でも海でも米軍の訓練が優先され、漁船の立入りが制限された場合、その補償は日本国民の税金で支払われる。米軍機には航空法は適用されず超低空飛行もお構いなし。米軍は公益事業の利用優先権を持ち、高速道路料金、着陸料、入港料など免除。米軍車両には道交法は適用されず車検もなし。免許証なしの運転も可能。米軍の財産は非課税。米軍の公務中の事故による損害補償は日本政府が行う。等々。このような米軍の特権がみとめられている分だけ、日本の主権、国民の基本的人権は侵されているのだ。こういう米軍基地が全国に一四二か所もある日本は本当に独立国なのかという気がしてくる。
この事件に対する日本政府の態度は卑屈なものだ。河野外相は九月一九日、「地位協定を見直す必要はない。現行のままで事件の解明に支障はない」と発言した。問われているのは事件解明への支障の有無ではなく、日本国民に犯罪行為を働いた者を日本の警察が逮捕できないという屈辱的状態をどうするのかということだ。政府は一方では九月二十六日、米軍に対する「思いやり予算」の三十億円増額を決定している。法的には何の支払い義務もない駐留経費を日本政府は「思いやり」と称して負担してきた。それは施設建設費、労務費、水道・光熱費にまで及んでいるが、今後はそれに訓練移転費を加えるというのだ。
安保条約は本当に必要なのか。正面から検討すべき時期がきたようだ。




