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エッセー拾遺 ― 文芸誌のコラムから  作者: 坂本梧朗
1990年代

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第21説 細川連立内閣が成立して……

 細川連立内閣が成立して二カ月が過ぎた。中味は一向に明瞭ではないが、とにかく「新しい」ということで、マスコミにもてはやされた「新党」が、自民党政治の腐敗にあきあきした国民の期待を一定程度集めて成立した内閣である。内閣発足の記念撮影を中庭で行ったり、米国大統領風に立って記者会見に応じ、記者をペン先で指名したり、「新しさ」のパフォーマンスは手抜かりなく見せてくれたが、肝心の政治の内容ではどんな新しさを示してくれているのか。成立から二カ月をへた現在、どうやら自民党政治と変わらないその素顔が現われてきたようである。

 この内閣が最大の政治的使命としている「政治改革」にしても、やろうとしているのは「小選挙区比例代表並立制」の導入であり、国民が一番強く望み今回の政権交替の起動力となった政治腐敗の防止、その最大の決め手である企業献金の禁止については何の実効的措置も取ろうとしていない。これは自民党の「政治改革」と同じである。小選挙区制は三割台の得票率しかない政党でも八割以上の議席を占め得るという民主主義破壊の選挙制度であり、これはただ後で述べる保守二大政党体制作りと憲法改悪のために出されてきているもので、政治腐敗の防止とは何の合理的関連もないものである。問題のすり替えがマスコミも動員して大々的に行われているわけだが、この事についてはここで触れる余裕がない。

 財界は早くから保守二大政党制を望んでいた。保守一党制ではその党が失政や政治的スキャンダルで国民の批判を浴びた場合、革新的な野党が政権を取ってしまう恐れがある。ロッキード・リクルート・共和・佐川・ゼネコンと政治腐敗が深まるなかで、自民党政治に対する国民の批判の高まりに財界は危機感を強めていた。政権交替のできるもう一つの保守党を作っておけば、一つの党の政権が行き詰まっても、それを批判する形でもう一つの党が政権を取ることで、政治を保守、つまり財界の利益を図る政治の枠に留めることができる。保守党間の政権のキャッチボールで目先を変え、国民の批判をかわすことができるのだ。この財界の意向を承けたのが続々結成された「新党」各党であり、またそれとの提携に動き出した既成諸党である。こうして細川内閣を支える連立与党は全体として自民党とは別の()()()()()()()()となっている。そしてこの保守二大政党制への流れを制度的に促進し定着させるために出されてきているのが小選挙区制の導入なのである。

 最後に社会党について言えば,この党は遂に行き着く所まで来てしまったようである。口では革新的なことを言い、行動では与党と妥協し馴れ合うというこの党の二面性が、つまり変革能力をもたないこの党の本質が第二保守党政権に加わったことで公然と明らかになってしまったのである。どう取り繕おうとも社会党は保守党の一部になったのである。細川内閣の成立は社会党的「革新」の終焉をも意味した。



















 

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