第二十八話
お待たせしました
今回は二話同時投稿です
「ここが騎士団の詰所ですか…意外と近いんですね」
俺が起居しているのは、王城の政務を取り仕切る区画だが、ここはそこからすぐの場所
王城の城門を出て、すぐ脇に在った
「これほど近くに在るのなら、いっそ城門の中に設置しても良かったのではないですか?」
真っ先に浮かんだのはそんな疑問だった
この世界、国家間の戦争はもうずっと無いらしいが、それでも防衛面で言えば、ここに設置するよりも門の中の方が条件としてはいいんじゃないかと考えてしまう
「城の中にも騎士団の拠点は在るぞ、当然な。だが、ここに詰所を置いてあるのは、初動が速くなるからだな。見ての通り、城門は常時開放されている訳じゃない。脇の通用口は何時でも開いてるけどな」
そこまで言われて、初めて思い至る
確かに、緊急時に城門が開くのを待つのは現実的ではない
だからといって、通用口は数人が通り抜けるくらいの幅しかない
これでは、確かに初動が大幅に遅れることになるだろう
やはり、素人が口を出すものじゃないな、反省反省
「勿論、もっと大きな、貨物用の搬入口もあるが、それでもこの方が動き易さで勝るだろう?だから、ここに詰所を置いたんだそうだ。なら街中に置けばいいんじゃ?と思ったことがあるが、それだと城中とのやり取りが遅れるからな。何だかんだと上手く出来てるもんさ」
本当にそうだ
俺も、やれ天才だとか言われているが、所詮は大した経験もない若造一人
経験豊富で老獪な大人達が寄って集って知恵を絞った事を、そう簡単に上回れる筈もない
だが、そういうのこそが本道、人の営みだと思う
天才なんて、彼らが踏みしめる土台の一つでも作れれば上出来な部類だろう
「立ち話はこれくらいにして、中に入るぞ。ある程度用意は出来ているとは言っても、やる事は色々あるんだからな」
そうだ、時間もそう多くはない
やれる事はすぐに済ませてしまおう
「ここが、受付だ。騎士団は憲兵も兼ねているからな。通報はここで受け付ける事になっている。おい、この坊主は例の異世界人の一人だ。担当は、たしかアルベルトだったか、荷を装備品倉庫にまで持ってくる様に伝えてくれ。俺はこいつを倉庫まで連れて行って、装備品の選定をさせるから」
受付の美形なお姉さんにヘクターさんがそう話し掛けると、お姉さんは何処かに掛けていった
恐らく、そのアルベルト氏の所に向かったのだろう
「サトル、俺達はこっちだ」
ヘクターさんが引き続き案内してくれる様なので、それに従い後を付いていく
何やら外の開けた空間に出たと思ったら、頑丈そうな扉に閉ざされた建物の前に連れて来られた
ヘクターさんは、懐から鍵束を取り出し、その内の一本で扉を開け放ち、中に入っていった
俺もその後に従い、中に入っていく
「今明かりを点けるから、少し待ってな」
そう言って少ししたら、上部の採光窓からの薄明りでぼんやりと薄暗かった建物内に明かりが点った
どうも、炎の類の明かりでは無さそうだ、どちらかと言えば電灯的な明かりだ
俺達が召喚されたあの祭壇みたいな部屋を照らしていたのは、確かに炎による明かりだった
恐らくあれは、儀式的な意味合いの物なのだろう、要は気分の問題だな
「うおぉ…」
明かりに目が慣れてきた俺は、一面にずらりと並ぶ、重厚な装備品の数々に、思わず唸り声を上げてしまう
片や鈍色に光る硬質な全身甲冑、片や大小様々な盾が規則的に並べられ、更に奥には剣、槍、斧、鎚、弓や変わり種としてはフレイル、鉤爪なんかもある
剣も、幅広の両刃剣のみならず、大人の身の丈程もありそうな大剣、簡単に圧し折れてしまいそうな程細い刀身の細剣、肉を斬りやすそうな片刃の曲刀、取り回し易そうな短剣など、種類は様々だ
これは正直、男の子としてかなり胸が熱い
自分でも凄く興奮しているのが分かる
自分で使うとなると、流石にこんな暢気な反応はしてられないが、ただ見るだけ手に取ってみるだけなら、これほど興奮する光景は、そうはないだろう
「すごいだろ?伊達に世界最大国家の一軍団をやってないぜ?ここには多くの装備が収められている。ここの装備を使うのは騎士団だが、その性質上、上質な装備は騎士団に集められる事になっていてな。ここからな好きに選んで持っていくといい。とは言っても、ステータスで装備制限があるから、何でもとはいかないがな」
そう言えば、装備品の中には特定のステータスが一定以上の数値でないと装備できない物もあるんだったな
低レベルでも強い装備着けて勝率生存率up、というゲームなんかではよくあるスタイルは無理なんだ
真っ先に思い浮かんだ対策案だったからな、真っ先に潰れた案でもあるけど
「この中で装備できる物なら、何でも選んでいいんですか?」
一応、確認しておく
好きに選んでいいと言われたばかりだが、それに対する確認行為は重要だ
後で問題になっても困るからな
「ああ、装備できない物を手に取ると軽い反発を感じる筈だから、見分けるのは簡単だ。ただ、ここは広いし、武器種も豊富だからな。どんな武器が好みか、防具はどの程度積むのか。教えてもらえればそっちも案内できるぞ」
確かに、ここから見える景色から察しても、相当数の装備が収蔵されていると見える
この中から、一人で武器防具を揃えるのは、丸一日使っても厳しいだろう
武器に関しては当てがある
自身の戦闘スタイルに沿ったものを選べばいいのだから、簡単だ
問題は防具だ
先ず、軽装はどうか
アクションゲームなんかで、装備重量に動きの速さが左右される場合なんかは、敢えて軽装を選択することもある
速度重視で敵の攻撃を回避し、隙に堅実に攻撃を叩きこむスタイル、俺は結構好みなんだ
速攻で敵を撃破する事で、結果として敵攻撃の頻度が減少してダメージ機会が減る、という利点もある
だが、現実では装備が軽くなれば、それだけ急所を晒す事にも繋がるし、防具の耐久力自体も重装のそれと比べて頼りない物になるだろう
では重くすればいいのか、と言われると、そちらも判断に迷うところである
戦略シミュレーションゲームなんかでよくあるのだが、重装甲のユニットは総じて足が遅く、攻撃機会に恵まれないパターンが多い
SLGなら、相手と交互にターンが巡ってくるものが殆どだが、ここは現実だ
こちらがもたもたしている間に、相手が二度三度と攻撃をしてくるなんて事態が容易に想像出来てしまう
そもそも移動もターン制のゲームと違って、こっちが攻撃行動する前に距離を取られる可能性も十分に考えられるのだ
勿論、守備特化でダメージを減らし、結果として安定して立ち回れる、というスタイルは極めてポピュラーで、ゲームによっては耐久型をパーティに組み込まないなんてあり得ない、とまで言われる事もある
だが、今回は俺一人での攻略だ
攻撃出来ないのは、はっきり言ってただの迂遠な自殺行為と変わらない
RPGと違って、逃亡したらもう追ってこない、なんてご都合展開もあり得ないのだ
遭遇したら、必ず殺すか、最低でも撃退しなければならない
ここまで言えば解るだろうが、既に理想とする装備は考えてある
本当に、後は実戦あるのみなのだ
机上で詰められる所は、可能な限り煮詰めてきたのだから
「では、案内をお願いします。まず武器は……」
広い装備倉庫だったが、俺が望む類の装備は割と近くに在った
そもそも、奥の方は高レベルの者で無ければ装備できない物や、貴重な装備しか置いていないらしく、今の俺には完全に無縁な所だったのだ、始めにそう言ってほしい
「しかし、変わった装備だな…そんなので本当に大丈夫なのか?」
選んだ装備品を身に纏う俺の姿を、ヘクターさんは不思議そうに見る
「まあ、我ながら突飛な装備だと思いますが、考え抜いた結果のこれですから。後は実戦で試すしかないですよ」
ヘクターさんは、現場からの叩き上げだと聞いている
その彼がこう言うのだから、やはり相当に珍妙なのだろう
それでも、それに関する批判が無いのは、それだけ信じてくれている、正確には俺自身を高く評価してくれているからなのだろう、と考えるのは思い上がりだろうか
俺が選択した装備は六つ
額当て、胴体全体を覆う鎖帷子、胴体正面正中線を守る軽鎧、膝より先を守る具足、肘より先を守る籠手、そして武器として細身の曲刀
額当てを選んだ理由は、単純に頭部を守護する物の中から、動きを阻害しない様な軽くてしかし頑丈な物を選んだ結果だ
鎖帷子を選択したのも、動きを阻害しない為
初めはこれを無しにして、完全に無防備状態にして軽量化を図ろうかとも思ったが、流石にそれは拙かろうと考えて帷子を装備する事にした
軽鎧を選んだのも、動き易さを重視した結果だ
この軽鎧、本当に最低限しか覆っておらず、腋や脇腹辺りなんかは丸見えだし、背中は留め具だけなのだが、寧ろそれがいいと思いこれを選択した
割と、背中周りや腋周りの動き易さっていうのは大事なのだ
具足だが、これと籠手は少し変わり種だ
先ず、二の腕と太ももは、同じく鎖帷子で最低限の守備しか確保していない
これは先も言ったが、関節周りの動きは重要だと考えたからだ
そして、肝心の具足、これと籠手は重戦士が装備する重装甲の全身鎧の物を流用している
従って、非常に重たい
籠手に関しては、流石に取り回し易さの観点から、動かす事に支障が出る程ではないが、具足は全体を確りと支える為か、水をたっぷりと内に溜め込んだ長靴を履いている様に、重量動き易さ両方の意味で重たい
足を踏み出しても、具足は一歩遅れて動き出すから違和感があるし、そもそもの重量も相当なものだ
これでは、とても俊敏な機動など望めない事だろう
恐らくは、これがヘクターさんから見て異様に写ったのではないだろうか
次に籠手だが、特に頑丈で、それでいて手指の動きを妨げない物を選んだ
これはヘクターさんの談だが、こうした籠手には、持ち手をそもそも固定化してしまう物と自由に動かせる物があるそうだ
前者は、盾などの手放してはならない物をしっかりと把持する為
後者は、細かな操作を求められる装備を扱う為
俺が選んだのは後者という訳だ
最後の曲刀だが、これはあくまでも非常時用で常用はしない
これにも理由があるが、それは後でしよう
これだけ見たら、ヘクターさんの様に奇異に写るだろうが、勿論この装備を選択した理由はちゃんとある
極めて単純な理由だが、これが俺の戦闘スタイルに最も合致する物だと考えた為だ
俺は家族を守る事を目的に己を鍛え上げた
言うなれば、俺は家族の盾だ
その盾が、あっちこっちに移動するか?
盾は常に守る者を後ろに置かねばならない
その為、俺が動き回るのは主義に反する
その為に足元を強固に支える重い具足を選択した
ならば軽鎧は?鎖帷子は?盾として、と言うなら些か頑丈さが足りないのではないか?
それにもきちんとした理由がある
それを説明する為には、籠手の説明を先にしておこう
先ず言っておくが、この籠手こそが俺の武器であり、防具である
この頑丈な籠手で相手を殴りつけ、時に重さに任せて振り下ろす
そして、頑丈な籠手で相手の攻撃を受け、逸らし、流す
その煩雑な動作を邪魔しない為に、特に肩部背部の動きを妨げない装備を選択した
それが軽鎧と鎖帷子だ
額当ては、何も無いよりはいいと思い装備した
これも役立つ日が来るかもしれないし、邪魔にもならないからという理由からだ
一応目算はあるが、あまり期待しすぎない方がいい中身なので、説明は省く
最後に剣だ
これは非常用だ
一般的とも言えるこれを常用しないのは、これが俺の主義に反する物だからだ
俺に戦い方を教え、戦う力を与えてくれた先生は俺の剣技を、人殺しの剣技と評した
当時は容易に納得できなかった
守るため力を求めたのに、俺に向いているのは人殺しだ、とそう言われたのだから、それも無理からぬ事だろう
当時、小学校六年生だった事を加味すれば、寧ろ最終的に受け入れられた事に驚きを禁じ得ない程だ
まったく、小六男児になんて事を告げるんだか
まあ、そういう理由で、俺にとって剣は本当に非常用、出来れば使いたくない部類の装備なのだ
だが、あまり甘えた事を言っていられる状況でもないと考え、最も俺に向いている曲刀を選択した
もう一度言うが、後は全て、これからの実戦で試すだけだ
「ヘクターさん、装備はこれでいいのですが、後は何か予定はありますか?無いなら、早速街の外に向かいたいのですが」
気が逸ってしまうのも無理もないだろう
これが俺の再起の第一歩となるのだから、成功すればだが
「そう焦るな。サトルに付ける予定の騎士がまだ来てないんだ。サトルに持たせる荷も一緒に持って来させているから、少し待て」
そう言えば、さっきそんな事を受付の人に言っていたな
確か、アルベルト、だったか
なんか、現代物理学の父と呼ばれそうな名前だ
物理の話題なんかあんまり知らんぞ、話は合うだろうか
「装備の選定が思ったより早く終わったからな、まだ時間が掛かるか……」
何やらブツブツ呟き出したヘクターさんに、軽く好奇心が疼いたが、それも何やら大きな音が響いた事で消し飛んだ
何事かと辺りを見回すと、丁度俺の後ろ、倉庫の入り口が開け放たれ、誰かが立っている光景が目に映った
「来たか、アルベルト」
どうやら今入ってきたのが、アルベルト氏の様だ
初めは逆光でよく見えなかったが、線の細い兄ちゃんだった
まあ、この世界の人間は皆、妙に線が細い痩身の奴が多いんだが
あれか?食糧事情が良くないのかな?でも、王様や元帥なんて偉い人まで細身なのはどうなんだ
「オルブライト元帥閣下。アシュレイ・アルベルト一等近衛騎士、ただいま到着しました」
そう言って、ビシッと効果音が見えそうな程、確りした敬礼をして名乗りを上げるアルベルト氏
アルベルトって苗字だったのね、名前かと思った
まあ、一介の騎士を元帥が名前で呼ぶ訳も無いか、盲点だった
ところで、近衛騎士って言った気がするんだけど、近衛って王族の守護とかする役職じゃないの?
そんな人を俺の護衛にして大丈夫か、どんな弊害が出ても責任持てんぞ、俺は
「ああ、ご苦労。アルベルト、こちらが、お前が担当する異世界人だ。名前は覚えているな?」
「はい。マイシマ サトル。召喚された異世界人の中で、唯一の役立たずだと聞いております」
おっと、さらりと毒吐かれたよ
事実なだけに言い返せないのが悔しい
俺は特に気にしなかったが、ヘクターさんはそうはいかなかった様で
「……言葉に気を付けろ…彼らはこちらの都合に付き合わされている者達だ。その彼らに対する侮辱は許さんと、事前に通達が行っている筈だぞ。それを、よもや忘れたとは言うまいな……」
灼熱の殺気の氾濫をその身から発生させる
以前に国王に殺気を向けられた事があったが、ヘクターさんのそれは国王のものとは質が違った
国王の殺気が極低温の吹雪だとすれば、ヘクターさんのそれは火砕流の様だ
共通しているのは、彼らの殺気はそれ自体が質量を持っているかの如く、こちらに堪え難き重圧を与えてくる点だろう
俺は、何だかんだとこういうものには慣れてしまっているので、明らかに自身に向けられない限りは平気平然としていられるが、アルベルト氏は堪らんだろう
そう思って、アルベルト氏に視線を向けると、意外や意外、怒濤の様な殺気の波濤を涼やかな顔で受け流しているではないか
その様子から彼の技量を垣間見た俺は、尚更彼ほどの男が俺の様な役立たずに付けられるのか、理解に苦しんだ
「勿論忘れてなどおりません。ですが、自身に課せられた役目を果たせない者に、敬意を払う必要は無いと思いますが。……随分と悠々自適な日々を過ごされておいでだった様ですし……」
そう言って、俺を冷ややかな眼差しで一瞥するアルベルト氏
まあ、悠々としてはいなかったが、自適ではあったか、ある意味
しかし、言いにくい事をはっきり言う兄さんだねぇ、初めてだよ、面と向かって言われたの
寧ろ気持ちいいね、今まで陰口ばかりだったから
「……………」
しかし、いい加減にこの熱波の様な殺気は何とかならないかな
幾ら平気平然としていられるとはいえ、それは気にもならない、という事ではないのだ
こんな暴威に曝されて気にしないで居られる訳も無く、正直気に障り始めている
さっきはこれを受けても涼やかな顔をしているアルベルト氏を、相応の技量を持っているんだなと評価したが、これほどの殺気に曝されて冷や汗一つ流れないのは、逆に問題だと思うんだが、もしかして剛胆な訳じゃなくて単に鈍感なだけなんじゃないだろうか……
「……何も反論為さらないのですか?」
今も完全にヘクターさんを無視して、俺を睨みつけているくらいだ
剛胆でも鈍感でも、どっちにしろ神経が太い事には変わりないようだな
普通なら、これだけ悪し様に罵られ蔑まれれば、怒りの一つも湧こうというものだが、如何せん、微妙に反論しにくいというか、我ながらここに来てから人に甘え過ぎた感が否めないので、そこを責められると弱ってしまう
「見解の相違だな。ただ、色んな人に支えられて、今こうしているのは理解しているし、それが厚遇に過ぎるという事も理解している」
そう、俺のこっちに来てからの生活を非難するというのは、ある程度理に適っているのだ
確かに、自分の思うままに過ごしてきたし、この世界の人間が思う様には動いていないだろう
挙句、権力者に保護され、何の代償も無く寝食の世話をしてもらっているのだ
普通に考えれば、嫉妬もするし不服もあろうというものだ
俺がもし怒るとすれば、世話になった人を侮辱されるか、女神の所業に絡めて非難される事くらいだろうが、彼はそれをしなかった
ならば、言い返す事も無い、苛立ちはするが
「………」
いや、アンタまで黙ってどうするよ
ヘクターさんも、さっきよりも大分マシになったとはいえ、苛立ちを隠そうともしない態度でだんまりを決め込んでいるのに、アンタまで黙ったら、俺は誰と話せばいいのか分からんだろうが
「はぁ……もういいか?なら、話を進めて欲しいのですが」
初めは俺を睨みつける男に、後は眉間に皺を寄せて怖い顔をしているヘクターさんへ
それぞれに、いい加減状況を進展させてほしいと、暗に明に告げる
「ん?ああ、そうだな。サトルには時間が無いんだったな」
ヘクターさんから反応があったのは良かったのだが、意外な事を言われて軽く驚いた
「……ご存知だったのですか。ええ、残りは27日。長い様で短いです、無駄に過ごす事は出来ない」
だから、早く話を進めてほしいのだ、と言外に告げる
ヘクターさんも心得たもので、サクサクと話を進めてくれた
近場で狩りに向いている場所、そこに出没する魔物の種類、その対策、倒した魔物の扱い方、用意された荷の説明、そして、魔法に関する事
魔法に関しては、非常に残念ながら、俺は全ての属性に対して適性が無かった様だ
あり得ないとは言われたが、実際に全ての属性に違和感をおぼえたのだから仕方ない
まあ、無い無い尽くしのこれまでだ、魔法の適性が無いくらいは今更だろう
これも女神の仕業なら、俺の怒りがまた一段と深くなるだけ
何れにしろ、今はどうしようもないので棚上げにしておく
あと、アルベルトとは一向に対話出来ていない
何せ、こちらを見ようともしないのだから、もうお手上げだ
流石に、俺を見捨てる様な真似はしないだろう、と高を括って、この問題は放置する事に決めた
「サトル、王都西部にある草原は、子供らに狩りを教える為の場だ。確かに脅威となる魔物は出没しないが、だからといって危険でない訳では無い。それに、お前のステータスは普通からしても尚低いものだ」
そこまで言って、ヘクターさんはこちらをじっと見つめてくる
「それで?」
ややぶっきらぼうになったが、続きを催促する
そうしろと、言われている気がしたから
「生きて帰ってこい。命冥加は恥ずべきじゃ無い。こんな所で無為に死ぬくらいなら、恐怖に這い回り、漏らしても構わず逃げてしまえ。俺はお前の帰りを待っている」
ああ、どうしてこう、俺を大事にしてくれるのか
ニカッと明るい笑顔で、そう言ってくれたヘクターさんに、思わず泣きそうになる
この世界に来てから、失くしてばかりだったが、こうして得た物もある
その事実が俺を勇気づけるのが分かる
俺は調子を合わせて、言葉を返した
「解ってますよ。アンタや国王様、王女様たちには世話になりっぱなしなんだ。恩も返さず死ねるかよ。美味い飯でも用意して待ってな」
俺も、ニカッととびきり明るく満面の笑みを見せて、荷を担いで倉庫を後にした
二話同時投稿になったのは、単に分割したからでした
二週間の締切を設けた理由は他にあります
その理由については次回後書きにて
以下は設定のお話、興味ない、という方は次話へどうぞ
作中で、理のステータスが通常より低いとヘクターさんが仰っていましたが、それは理のみならずクラスメイト全員に当てはまる事です
流石にアベレージ100は高い方ですが、それでも突出した物が無い彼らのステータスは、オースベル人から見れば些か頼りないものに見える様です
勿論、オースベル人にも平均的なステータス型は存在しますが、その場合でもアベレージ100は低い部類に入ります
例えば、アベレージ120 成長率9%の場合
最終的なステータスは生命力魔力以外の能力値が8187です(能力値120で計算した場合)
対象ステータスによっては高いですが、それでも平均から逸脱するものではないです
更に言えば、成長率9%というのは、オースベル人からすればかなり有望な部類に入りますので、実際はもっと低い数値になるでしょう
そのことからも、アベレージ100は相当低く見られてしまいますが、クラスメイト達の強みは、高い成長率(9.5%以上)と高いレベル上限にありますので、その辺の評価は覆る訳です
以上の話がどう活きるかは分かりません
もしかしたら死に設定化するかもしれないです
私の話にはそういうものが多数含まれますが、そこはご了承を
そもそも、こういうの覚えていられるかも怪しいですしおすし




