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ゲーマーが往く、異世界チート発見!  作者: ヤタガミ
第二部 喪失と挫折
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第二十六話

締め切りギリギリの投稿です

言い訳は後書きで

長めです、最近こんな長さばっか、纏める実力がないってはっきり分かりますね


(これは、まずいなんてもんじゃないな……)


そう、現実逃避気味に考える、その原因が目の前に座っている

そして俺の傍らには、静かに涙を流し嗚咽を漏らす皇女様


より正確な現状の把握を、等と欲張った結果陥ってしまったこの窮地に、後悔が増し危機感が募る

まずいと考えはしたが、最早対処のしようもない

故に、現実逃避だと言ったのだが…


「お父様、私はもう我慢がなりません。此度のマイシマさんに対する不当な扱いに関しての説明を求めます」


アイギナさんの強い非難が込められた声に正気に戻る

不当な扱いというのが一体何なのか、それが気に掛かったのもその理由だ


「アイギナ、突然やって来て何の話だ。サトル殿までお連れして」


目の前に居るのはこの国の国王ギュスターヴ陛下だ

そんな人物の御前に、事前のアポイントメントも無しに押し掛けたのだから、このセリフも妥当だろう

ところで国王様?俺の側で泣いてる皇女様についてはスルーですか?


「とぼけないで下さい。マイシマさんのお立場が日々悪化しているのに、何ら対策を講じず、傍観を続けるのはどういったお考えがあっての事か、それを問うているのです!」


アイギナさんの口調が荒くなってきた

短い付き合いだが、基本的に丁寧な姿勢を崩さないアイギナさんにしては珍しいと感じる姿だ

それだけ怒り心頭に発する、という事なのだろう


(しかし、だとしても何故にそこまで怒るんだろうか?)


俺は彼女に興味というか、ある種の共感の様なものを覚えているし、彼女が危機に陥ったならば助けに入ることは吝かではない

だが、逆はどうなのだろうか、と訊かれれば、そうなる理由に心当たりがない、と答えるより他ない

つまりは、彼女が俺に関する事でここまで怒りを露わにする事に対する理由付けが出来ないのだ


そうして、色々と戸惑っている間にも、国王様とアイギナさんの話は続いている


「立場が悪化とは、サトル殿に対して良くない感情を抱く者達が増えた事か?だが、対抗策と言われてもな…問題は人の感情にあるのだぞ?採れる対策など限られようが」


それは確かにそうだ

寧ろ、偉い人が俺を擁護する号令を発すれば、俺を良く思っていない連中を煽る結果にも繋がりかねないだろう


「傍観、とお前は俺を責めるがな。実際問題、俺に出来る事なんて殆ど無いんだよ。俺が、サトルを擁護すれば、下手すりゃ今よりもっと状況は悪くなる。では、女神の啓示を公表するか?そうすれば、サトルには女神様のご加護があるのだと喧伝できるな。その結果、どうなると思う?」


女神に守られるなんて、肥溜めに隠れて敵を凌ぐ方がどれほど心休まることか

塗炭に墜ちた方がまだマシだろう


ところで、国王様も段々と口調が崩れてきたな

俺をサトルって呼び捨てにし出したぞ

まあ年上だし、結構尊敬できる人みたいだから、別に呼び捨てにされても構わないけどね


「どうなる、とは?そうすれば、彼の立場は改善され、あの不快な視線も陰口も感じる事無く、平穏な毎日を過ごせるでしょう。それのどこに問題が?」


アイギナさん、絶好調でヒートアップ中

国王様は、それが問題だ、なんて口にしてませんよ

まあ、言外にそう表しているのは感じるけども

アイギナさん、肝心な場面で読みが甘いところがあるな、そこは要改善だろう


しかし、ホントに皇女様は放置なんだね…

部屋に入った時の俺の心配を返してほしい


「…確かにそれそのものには問題はない。だが、その結果、サトルは女神様と繋がり深き者として、確実に祭り上げられる事になるだろうな。そうなれば、今の様な自由な生活は送れなくなるだろうよ」


今、言い始める前にため息吐いたね、国王様

怒りに冷静さを忘れ、血気に逸るアイギナさんに呆れたのだろうか


しかし、自由が無くなるか…それは困るな

俺はもう一度強くなる事を諦めていない

今調べものに没頭しているのも、そもそも初めに保護される事を拒絶し自由を求めたのも、全てはその為の時間を得る為だ

なのに、女神の言った言葉が原因でその時間まで奪われる、なんて事になれば、俺は怒りのあまり発狂するかもしれない


……何か、俺に関する議論を交わしているのに、完全に俺蚊帳の外だな……

俺も何だかんだ言って、完全に他人事としか感じられないし

説明はどうなったんだろうか…


「自由と身の安全と、どっちが大事なんですか!?」「自由だよ」


今のアイギナさんの言葉は、聞き流す事が出来なかった

だからついつい反応してしまったのだが、後悔はない

元々、俺に関する事を話していたのだしな


「え?」


「いや、だから。城で保護されるか、危険を承知の自由か、と問われたら自由を選ぶよ、って言ったのだけど」


アイギナさんは、思わぬ所からの不意打ちに呆け固まってしまった

まあ、アイギナさんが俺の為に怒ってくれていたのは理解しているし、感謝もしているのだが、それに対して俺が譲歩するか、と言うのはまた話が別だ


今こうして自由に過ごし、調べものに没頭しているが、これはしっかりした目的があって、自身で選択した事なのだ

この世界に連れて来られた事も、女神に弱体化させられた事も、そのせいで俺の生き甲斐を奪われた事も、全て俺の意思が介在していない、第三者の思惑によって為された事だ


だから、力を取り戻す事だけは決して譲ることが出来ない

俺自身が課した課題であり、選択なのだ

それを阻むなら、例え自身に味方してくれる者でも反発する


「ま、マイシマさん?解っていますか?今でこそ陰口程度ですが、それがいつ実力行使に変わらないとも限らないのですよ?そうなった時、ステータスの低いマイシマさんでは到底抗う事は出来ない。下手をすれば殺されるかもしれないのです。その事は理解していますか?」


アイギナさんが、若干早口で捲し立ててくる

焦りが表れているのだろう、それほどまでに俺を心配してくれているのだと思うと、流石に申し訳ない気持ちがふつふつと湧いてくるが、こればかりは退けないのだ


「理解しているよ。今の状況が始まりに過ぎない事も、時間が経てば経つほどに俺への感情は悪化する一方だという事も、仮に俺を害そうとしてきた場合、今の俺では凌ぐ事も出来ないのだろうという事も、そして何より、アイギナさんが俺をとても心配してくれているという事も」


現状の認識については、はっきりと告げておく必要がある

それこそが、俺を心配してくれるアイギナさんへの誠意であり、俺を自由にさせてくれているこの国の重臣達への感謝の証だと思うからだ


「えっ!?いいいい、いえいえいえいえ!ししし、心配なんてそんなことは………」


俺の精一杯の誠意を示した筈、だったのだが、何故かアイギナさんは急に顔面を真っ赤にしてしまった、口調もしどろもどろになってしまった、何故だ?

何か変なことを言っただろうかと、俺は考えを巡らせていたが、突然部屋に響いた笑い声で中断させられる


「ははっはははははっはははっ!!!!」


声の発生源はこの部屋の主、国王様だった

何がそんなにウケたのか解らないが、身をいっぱいに反らせて大笑いしている

嬉しいや楽しいではなく、可笑しいという笑い方だ


別に俺はいいんだが、アイギナさんが真っ赤な顔を瞬時に真顔に変え、何故か乱れ切っていた気持ちも一瞬で一糸乱れぬ統率を取り戻した

その直後に部屋中に吹き荒れたのは、アイギナさんを中心とした鬼気の嵐だ

先程、皇女様を叱りつけた時とは比べ物にならない、羅刹か阿修羅もかくやと言う様な怒鬼の放つ気配

俺の傍らにはいい加減泣き止めよと思っていた皇女様が居るのだが、彼女の放つ怒気に中てられ「ぴっ!!」と小さく悲鳴を上げて身を縮こまらせて、まるで肉食獣に追い詰められた小動物の様にプルプル震えてしまっている

流石に哀れになってきたので、アイギナさんと皇女様を結ぶ直線上に、皇女様を庇う様に立ち位置を変える


確かに怖いが、この怒りの気は俺に向けられていないし、経緯から察するに原因は眼前の大笑いしている国王様だ

だからこそ、この凶悪な赫怒の念にも割と平気で耐えられたし、それから誰かを庇う事も出来た


そうこうしている内に、事態は動き出した


「……お父様…何がそんなに可笑しいのですか?今は真面目な話をしていたと記憶していたのですが…」


そう話す声からは、まるで風呂の中で話す様な残響が聞こえる気がする

俺はその声が恐ろしく感じられて仕方ないのだが、目の前の国王様…もうおっさんでいいな、面倒くさい

目の前のおっさんには全く堪えていないみたいで、派手に笑い過ぎて椅子から転げ落ちそうになっている

その姿からは、謁見の間で感じた威厳が欠片も見受けられない


「ひーっ!ひーっひひひっ!!お前、何だよその顔はぁ!!お前がそんな女らしい顔するのなんて初めて見たぞ!!ははっははっははははっはっ……!!!!!」


ちょっと笑い過ぎじゃないだろうか

息を吐きながら笑って、更には息を吸いながらも笑っている

そのあまりの笑いっぷりに、傍らの泣き虫皇女様も唖然としている、どうやら泣き止んだみたいだ


こちらは完全に蚊帳の外で他人事だからいいが、笑われてるアイギナさんはその怒りをますます深く色濃くしていった

別に俺には関係ないんだが、アイギナさんってちょっと怒りすぎじゃないだろうか

国王のおっさんも結構感情が表に出る性格してるけど、明確に怒りを露わにした事は無い、少なくとも俺の知る限りは

今回の様に大笑いしたり、謁見時にニヤリと不敵に笑ったのも、彼が強者であると考えればそれほど問題にはならない

その様を、侮られていると相手に受け取られても、それを跳ね返す権威があるからだ


だが、ここまで怒りやすいのは、為政者としてはどうかと思う

常に冷静さを持って判断しなければならない立場だし、感情が乱れ易いと受け取られれば、それは相手に侮られる原因にもなりかねない

何より、些細なことでいちいち怒っていては、いろいろと滞ってしまうのではないか?

上の人間が怒りを露わにすれば、下の者の萎縮を招きもしよう

それに、余裕がない、と判断されれば、そこに付け込まれる事も十分に考えられる


(これはちゃんと直した方がいいだろうなぁ)


そう、アイギナさんの人物評を勝手にしていた俺は、いい加減に事態を動かした方がいいと判断し、声を上げた


「おっさん、いい加減笑うのは止めておけ。アイギナさんが止まらないだろうが」


「それだそれ!」


俺の制止の文句も何のその、急に訳の解らん指示語が飛び出してきて、流石に面食らう


「何だよ、それって。はっきり言えはっきりと」


俺の口調が、完全に目上の人間にするそれでは無くなっているが、こんな愉快なおっさんに敬語を使うのは敬語に失礼だ

だからこれでいい、相手も気にしてないみたいだし、少なくとも表面上は


「いや、初めは王女様とか王女殿下、とかだったのに、いつの間にかアイギナさん、に変わってるじゃないか。これは一体全体どういうこと何でしょうかねぇ」


国王のおっさんは、そんな意味不明な事をニヤニヤした顔で抜かしてくる、ホント愉快なおっさんだな

少しだけ、アイギナさんが怒る気持ちも理解出来た、これは腹立つわ


「お父様…私が女らしい顔をしていたら、そんなに可笑しいですか?……」


最も、アイギナさんが怒っているのはそんな理由ではないみたいだが

まあ、女性にそんなことを言ったら、いい顔はされないわな

いい加減にこの話の流れは切った方が良さそうだ


「そんなことはどうでもいいから、今回の件のアンタの意見を聞かせてくれ」


少々強引だが、話の続きを催促する事で、何とか話を転換しようとする、我ながら稚拙で情けなくなるが、まあ仕方ない


「…どうでもいいって………」


何やらアイギナさんが不服そうにブツブツ言っているが、貴女の為にやってるんですよ?そこらへん理解してほしい

俺としては、今回の件はどうでもいい事なのだ

俺の目的が叶えば自ずと解消される類のものだし、叶えられないならそもそもこの城に居る気もないのだから

失意のままに引き籠るとか、絶対にしたくない

そうなったら働きに出ます、労働万歳

異世界での就労経験なんて、面白い経歴だろう、言っても誰も信じてくれないだろうけど


だが、アイギナさんは俺の扱いに不満を持っていて、状況の解決や環境の改善を求めている

ここに連れて来られたのも、そうした感情の発露によるものだろう

というわけで、手っ取り早くお話を終わらせる為にも、国王のおっさんの立ち位置をしっかりと表明してもらおう


「ん?俺はどうこうする気は無いぞ?」


そう言って、俺を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべる

この人このニヤけ顔好きだよな、いっつもやってる気がする

イケメンだからか、無性に似合ってるのがなんかいけ好かない


その言葉を聞いて、アイギナさんの眉が吊り上がる


「何故です!お父様はマイシマさんをお認めになっておられたではないですか!その彼がどうなっても構わないと仰るのですか!?」


吐かれた言葉は、正に寝耳に水

国王のおっさんが俺を認めているって?

今の役立たずの俺を?訳が解らん


「それがどうした?だから庇護を与えよと?……アイギナ、お前は何も理解していないのか?それとも見ないふりをしているのか……後者、だろうな」


何かまた始まっちゃったよ

一回話終わらせただろ、それで俺がこの話をしたくないって理解してほしいんだが

どう結論を出されても、それで俺が翻意する訳じゃないんだから


「…どういう意味ですか?私が彼の事を理解していないと?」


いや、俺の事とは言ってないんですが

まあ、話の流れでそう考えてもおかしくないか


「さっきの話はもう忘れたのか?サトルは守られる事を望んでいない。少なくとも、自分に出来る事を全てし尽してからでなければ、こちらの庇護の下には入らないだろう。それが理解出来ていないのか?と訊いたんだ」


流石に一国の王、人生経験も豊富なおっさんはしっかりと俺の意見を理解してくれていたみたいだ

まあ、やれることをやって、それでもダメなら適当に独り立ちする予定だけどな

やっぱり、一方的に世話になるのはおかしいと思うから


「それは…」


アイギナさんも理解は出来たのだろう、ただ納得できないだけで

ホント、心配してくれるのは嬉しいんだけど、なんでこんなに心配してくれるんだろうね

俺としては、王女なんて特別な立場の人間がここまで入れ込む事に、危機感を覚えるんだけど

アイギナさん、少し不安定なところがあるなぁ、等と完全に他人事思考で考える


とにかく、話をいい加減に切り上げよう、これ以上は意味が無い


「アイギナさん。俺は守られる事を望みません、少なくとも今は」


どうしてもダメなら、その時は職でも紹介してもらおうか、なんて考えてはいるが、それは将来の話だ、今は関係ない

今度はアイギナさんにもちゃんと伝わったらしく、顔を顰めながらも頷いてくれた

俺も、これほどに心配してくれる人を邪険に扱い続けるのは忍びない

いやいやでも納得してくれたなら、まあよしとしておこう


「ねえ」


そこで、今まで完全に存在感が無かった皇女様が突然声を上げた


「サトルはそう言うけど。貴方、ちゃんと当てはあるんでしょうね?カッコイイ事でも何の根拠もなく言っては滑稽なだけよ?」


さっきまで泣いてたくせに、痛いところを突いてくる

正直、未だに突破口は見えてこない、暗中模索などとすら言えない、ただの総当たりだ

ある程度は決め打ちしているものの、そこに正解がある自信も当ても全くない

そもそも、相手は世界の機構そのものだ

そこに抜け道を「見つけ出すなど、容易にはいかない

当然、見つからず断念する事も、始めから視野に入れている

その上で諦めないと口にしているのだ、このままでいる事に堪えられないから


「……期限を設けましょうか。無制限に自由にさせても収穫があるとは限らないし、何時までも遊ばせておくのも本人の為にならないわ」


要らない事を言い出した皇女様を、つい睨んでしまう

言ってる事は理に適っているのだが、明らかに自分に不利になるのだから、それも仕方ないと大目に見てほしい


「そんなに睨まないの。そこの二人が言ってたでしょう?貴方の立場は時間が経てば経つほど悪くなる。何かが起きてからでは遅いのよ」


その通りではあるのだが、俺はそれを気にしない、と表明しているつもりなんだが伝わっていないのだろうか


「貴方、守ってもらう必要はないって言うけど、そんな訳にいかないって事は理解できないの?」


それは理解できる、確かに俺の意見を一方的に押し通し過ぎたかもしれない

彼らにも彼らの立場があるだろう

庇護、とはいかないまでも、衣食住の世話を受けている以上、例え彼らに引け目があっても、ある程度は俺も譲歩しなければならないか


「……具体的にはどれくらいの期間だ?」


取りあえず話を合わせることにする

まずこれを聞いてからでも遅くは無いだろうから


「おじ様?どれ位なら皆さんが大人しくしていてくれると思いますか?」


皇女様は国王のおっさんに話を振った

冷静さを欠いていたせいか、当たり前のことを見落としてしまった

皇女様にそんな事を決める権限は無いだろう、国王に尋ねなければいけなかった

……冷静になれ、まだ状況はそれほど悪化していないのだから


「……30日。今までの推移やこちらから抑える様に手を回したとして、それくらいが限度じゃないか?」


30日……ひと月か…

これを短いと取るべきか……


「あと、キリがいいだろ?」


おい、そんな理由かい!

だが、これに反対してくれそうな味方はこの場にはいない

アイギナさんはさっきからブツブツ言ってるし、皇女様、おっさんは期限を定めた側だ

そもそもアイギナさんが正気でもこっちに協力してくれたとは思えないので、これは受け入れるしか無さそうだ

だが、流石に条件は付けさせてもらおう


「…分かった、ただし条件がある」


これが受け入れられないなら、こちらも従わない、という意思を込めて発言する


「何だ?何でもとは言えんが、大抵の事は叶えてやるぞ」


上から目線だが、こればかりは仕方があるまい

ある程度の負い目引け目があるとはいえ、やはり向こうは俺を束縛し得るだけの力があるのだから

だが、退くことは出来ない


「……迷宮への進入許可をくれ。それ以外は現状維持。これが条件だ」


色々調べたが、やはり自己の強化を目指すならレベルアップが必要になる

本当に色々調べた

強化できる可能性が一番高そうな魔法関連、ある意味常套手段の薬物関連、レベルアップに必要な経験値を得る為の魔物関連、そういった分野に絞って徹底的に調べた

結果は思わしくないが、最悪この世界基準のステータスに収まったとしても、このまま後ろで何も出来ずに居るよりはいい

その為には、レベルアップが絶対に必要だ

だが、俺の場合レベルアップに必要な経験値は極めて膨大であり、それを賄うなら外でちまちま狩りをするのは非効率にも程がある

故に、どれほどの危険があろうとも、迷宮入りは絶対に避けては通れない道だ

だが、迷宮入りの最低条件はレベル10になる事

レベルアップの為に迷宮入りするのに、その為にはレベルを上げなければならないというジレンマ

調べた結果、一般的な外部での魔物狩りと小規模迷宮浅層での経験値効率は大体一戦毎に2倍以上の差があるとされている

だからこそ、この条件は必ず勝ち取らなければならない


それ以外は現状維持、というのは文字通りの意味だ

今の食事と寝床が保証された状態で調べものに没頭出来る環境の維持

これを取っ払われると、30日という制限が首を更に締め上げる結果になる

どちらも今の俺に、最低限必要なものだと思う

贅沢を言っているとは思うが、これも彼らが負うべき責任の一端だと自分に言い聞かせて、要求を通すことにする


「……現状維持に関しては了解した。元々大したことはしていないんだ、別にそっちは構わんよ」


それはそうだろう、と恥知らずにも思ってしまう

世話になっているのは間違いないのだから、本来ならただただ感謝するべきなのだが、やはり相当に余裕が無くなっている様だ、随分と傲慢な感想を抱いてしまった


「だが迷宮に、ねぇ…」


やはり難色を示してきた

迷宮に関しては国際的な協定で、超国家的組織である組合が管理している

そこに横紙破りをすれば、この国にさぞ迷惑が掛かるだろう、というのは十分に予想できる事だ


「やはり難しいか?」


俺が如何に気弱になっているのかが分かる、そんな言葉が口を突いて出る

だが、どうやらそうではないらしい


「いや、それ自体は可能だ。対象の迷宮が在る国の王、つまり俺の認可が必要だが、そんなものは書類に判を押せばいいだけだ」


組合設立以来、認可を出した前例は無いけどな、と続く言葉に、如何に稀有な事例なのかを思い知らされる

出せないのではなく出さない、そもそも申請されないのだろう


「だが、相当に危険だ。最低でも生命力2000は無ければ一戦すら生き残れない様な環境なのだぞ」


「それは理解している。護衛が望めない事も調べて解っている」


迷宮では、所謂寄生行為が出来ない

正確には可能だが、高レベルの人に付いて行って、魔物を弱らせてもらってから倒す、という事が出来ない

これは迷宮の仕様に由来することだが、説明は省略する

とにかく、そうした理由で高レベルの護衛もまた期待できない


ならば、誰かとパーティを組めば、とも考えたが、俺の境遇はかなり特殊だ

下手な人とは組めないし、国としても認められないだろう

ならクラスメイト達と組めば、とも考えたが、既に迷宮に進入しているだろう彼らとは、前述の仕様のせいでパーティを組むことは出来ないだろう

また、彼らに追い付く為にしている事で彼らの力を借りるのは、俺の意地が認められない

我ながら下らないとは思うが、そうしたものが自分のモチベーションを支えていると思うのだ


「死ぬ気か?サトル」


「死なない。守るべき者を守って、皆で生き残って帰る為に往くんだからな」


おっさんの目が細められ、冷たい殺気が放たれる

先程アイギナさんが放っていた怒気が爽やかに思えるほどの強度を持った気配だ

直接受けた訳ではない、事の推移を見守っていたアイギナさんと皇女様が身体を強張らせ息を詰める気配が感じられた


「…もし死ぬ気なら、俺がここで再起不能にしてやろうか……」


などと恐ろしい事を言って脅しをかけてくるが、退けない以上は心折れる事は許されない

自分でも我儘を言っているという自覚はあるのだ


「……まあいい…自分の命だ、好きな様に使えばいいだろ」


やがて深々とため息を吐いて、諦めたのか呆れたのか、よく分からない感じでそう吐き捨てた

見限られたか、と思いはするが、それはそれで退路が無くなっただけと思い、確と受け止める


「……ありがとう…」


自然と頭が垂れる

何だかんだ言っても、この人には色々助けられている気がする

湧き上がる感謝の気持ちが、自然と感謝を述べさせたのだろう


これ以上ここに居ても、何もする事は無い

退出しようと軽く一礼し、扉に向かう

その途中で声が掛かった


「サトル、俺はお前を高く買っている。だから、必ず生き残れ」


自らを支える柱を失った俺を、それでもなお買ってくれると

そう言った言葉は、真実真心が込められていて、俺の荒みきった心に心地良く響いた


俺は振り返り、今度は確りと感謝を込めて礼をする

そして後は一切振り返らずに部屋を後にした


国王様、愉快なおっさん説浮上

アイギナさん、弱点露呈

泣き虫皇女様、余計なことをした


今回の内容をまとめるとこんな感じです

複数人を同時に会話させるのは非常に難しいです

どうしても一対一の会話を複数突っ込む感じになってしまいます

ここいらは要改善ですね


理くんが色々な場面で上から目線な感じですが、こうした指導者的な発言は今後の伏線になっていく、筈です、伏線にします頑張ります


迷宮に関しての説明を省きましたが、それに関してここで説明されていただきます

所謂ダンジョンものに多くみられるボスは存在しません

そうしたアトラクション的な要素を排した、純然なレベル上げや素材採集の場が迷宮である、という設定です

また、迷宮には終点がありません

どんな小規模な迷宮でも、決して行き止まり、というかクリアがない仕様になっています

その代わり、一定の階層でループし、また初めの階層から始めるという形になります

ただ、出現する魔物の強さは引き継がれます

敵も味方も強くてニューゲーム状態だと考えてください

ではどの様に迷宮の規模を判別するか、というと、一度に出現する魔物の数、一定時間毎の魔物の出現数、ループまでの階層数で判断します

それによって、大中小の規模に分けられる訳です


さて、所謂寄生行為が出来ない理由ですが、迷宮がループ構造を取る、というのは先述しましたが、一周目の第一階層と二周目の第一階層は別物であるのはご理解いただけると思いますが、この仕様を補強する様な制限が設けられています

それは、一度踏破した階層には二度と進入できない、というものです

これにより、初心者が挑む第一階層に熟練者が挑むことは不可能となっているのです

幾つかの例外が考えられますが、今のところはこの仕様で行こうと思います

悪しからず、ご了承下さい

追記 一度迷宮へ進入したら、一階層を踏破しない限り脱出出来ない、を要素として追加

より正確には、階層踏破時、次の階層に行くか帰還するかを選択する

これにより、迷宮護衛業の可能性を排除



さて、ここからは投稿が遅れた言い訳です

興味ないわ、という方はスルーして下さい、次回投稿は都合があり二週間の猶予を設けます



端的に言えば、書いてたファイルを間違えて削除してしまった、というだけです

私はなろうで直接書かず、メモ帳で書いてそれを上げる形で投稿しているのですが、そのテキストファイルを誤って消去してしまった、というのが主な原因です

そしてやる気を失くし、ずっとゲームしてました、うたわれるものを

最終戦の特殊セリフを全部聞こうと躍起になっていたら、こんなに遅れてしまったという訳です、本当に申し訳ない

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