ビルの迷宮
ビルの迷宮
この迷宮は1~10階層までとそれ以降の11~30階層までで
難易度は圧倒的な開きがあった。
そのため10階層まででレベル上げや依頼をこなす冒険者たちも多くいる。
そんな冒険者達だが
迷宮に入る方法は一つしかない。
これはどこの迷宮にも言えることだが
大きな大きな扉のない門をくぐるしかない。
門の先には迷宮がある。
学者たちが研究しても
門の先にある迷宮がなんなのか解き明かされていない。
そんな話はさておき
天たちもまた迷宮へと潜る。
言も言われぬ感覚に襲われながら
門をくぐった先には
「、、、マジか、、、」
草原が広がっていた。
「どうだい?ソラ。初めての迷宮の感想は。」
「そうですね。本で読んでいたとはいえ、、読むのと見るのとじゃ全然違う。吹いているそよ風も心地よく感じる。」
迷宮を堪能する天とそれを見ながら
初めて自分が潜った時の気持ちを思い出す面々。
ただ、ここは迷宮
いつまでもそんなものに浸っている余裕はない。
「ソラ。水を差すようで悪いんだけど、無粋なお客様がいらっしゃったようだよ?迷宮初戦闘、やるかい?」
「いただいてよろしいんで?」
「もちろんだとも。みんな、異論ないだろ?」
パドックの提案に異論はなかった。
「では、いただきます。」
天たちの目の前に現れたのは
ざっくり言えば大きな犬が数匹(ちょっと体と牙が大きいだけ)
まだ1階層ということもあり
一瞬のうちに首を切り落とす。
おそらく、15レベルあれば処理できるだろうと言った具合。
初参加の迷宮、それも1級冒険者の登竜門ともいえるこの迷宮で
天の初陣は快勝に終わった。
「ヒイラギ流も様になってきているのではないか?セナ。」
「そうね。打ち合いになったらからっきしだけど、こっちからの攻撃を押し付ける形とか、純粋な単発とかなら、私もあまり文句はないわ。ただ、、ソラ、徒手空拳好きなのよね。10階層過ぎたあたりから徒手空拳多分やりだすわよ。」
「いいんじゃない?そういうことやってられない状況になったら、こちらから指示飛ばせば従うんでしょ?」
「それは大丈夫だと思う。」
「ならいいじゃん。何が心配なのさ。」
「心配しているわけじゃなくて、、ヒイラギ流の体術、新しいの作り出しそうなのよね。」
「そうなの?」
「ええ。実際に教えてない応用に勝手にたどり着いたりしてるのよね。」
「やるねぇ。彼。あんまり話したことないけど。」
「メリッタは魔法職だからかかわりが少ないのは仕方のないことね。」
討伐した犬の飼いたいやらをトントとともにしている天を見ながら
あーだこーだと言い合う先輩方。
聞く気が無くても聞こえてくるため
「トント先輩。僕、褒められてるんですよね?」
「うん。それは間違いないよ。あの人たちあんな感じだから、、たまにわかりにくいよね。ごめんね?」
トント・レック
動けるぽっちゃりさん。
愛嬌があり、友達であろうとなかろうと
彼の蔭口聞くと心に来るよね。というタイプ。
トント自身も他の人の悪口を聞くと心を痛めるいい人。
友人も多く、ご飯もおいしいみんなの人気者。
そんなこんなで天も迷宮内でも戦えることを確認した一行は
さっさと10階層まで下りる。
10階層はいくらレベルが低いとはいえ、
低レベル冒険者たちの最終地点と言うだけあり
モンスターの数は多い。
そのため、陣形の確認などには都合が良く、
武器の消耗を抑えるため、徒手、魔法で代用して確認を行う。
モンスターの数は10階層からはさほど増えないが要求されるレベルが上がる。
ここまでは15~20あればどうにかなるでしょ。
と言われているが
11階層に入った瞬間、25レベルは欲しい。
と言われるまでに様変わりする。
とはいえ
戦闘員は天の40レベルが最低、あまり心配はないのだが
天が問題ないかの確認のため単独行動するタイプのモンスターがいたら
天が闘うという方針が決まった。
どれくらい一人で闘うのかは下りてみないことにはわからないわけだが。
10階層までは草原が広がっているのだが
11階層から20階層までは荒野が広がっている。
11階層で天は何度か連戦をしたりしたが問題なく対処し
今は14階層、15階層はすぐ目の前というところまでは到達しており
休憩を取っていた。
「俺が想定していたよりもソラ、お前できるな。うれしい誤算だ。」
「そう言ってもらえるのはうれしいですけど、、モンスターの数はそこまで増えていないのに、レベルが一気に上がってなかなか面倒です。」
「次の階層でこの迷宮の折り返し地点に行くわけだが、そろそろ俺たちも戦闘に本格的に参戦しようか。研石の準備もぬかりないわけだし。」
「そうね。ここまで魔法や素手で多少戦闘はしたとはいえ、ほとんど武器を使わないツォルガ、武器の破損を気にする必要のないソラにかなり任せちゃったわね。魔法職のメリッタとジェフもここで魔力を消耗させるわけにはいかないし。トントとメイもありがとう。雑用担当で来てもらったのに戦闘に参加してもらって。」
「最終階層が近くなるにつれて僕たちは何もできなくなるからね。ここら辺なら僕たちも戦力になれるさ。」
「パドック先輩にもその優しさを分けてあげてほしいですね。」
「パドックは僕にも救えないよ。」
「おいおい。好き勝手言ってくれるじゃないの?とはいえトントもメイもお疲れ様。ここからは俺たちが戦闘するから鼻歌でも歌ってていいぞ?」
「そーさせてもらえたらうれしいけど、ここからまた要求されるレベルがあがるでしょ?大丈夫なの?」
「その心配もあるから、、17階層で今日は野宿にしようか。ここまでボチボチ休憩も挟んできているし、俺たちも参戦するし、いくら要求レベルが上がるとはいえ、このメンツなら問題ない。」
休憩も終わり15階層へと進出
パドックの言う通り苦戦はなかった。
なかったのだが如何せんモンスターの数が多い。
そこに時間を取られてしまったのと
16階層入ってすぐのところで
大型のゴーレムのような見た目の体の硬いモンスターと接敵
戦闘になったりとあったため
17階層にたどり着きはしたが
想定よりも遅い到着となった。
(ゴーレムをみんなでサンドバックよろしくステータス上昇の道具にしたのも原因だが)
迷宮内には各層にモンスターが寄り付かない地点が存在している。
と言われている。
これまでに見つかっている迷宮大小さまざまあれど、
すべての迷宮においてすべての階層で見つかっているわけではないが
寄り付かない地点は少なくとも1層は見つかっていること
すべての階層で寄り付かない地点が見つかっている迷宮があることから
そういわれている。
魔宮殿も例外ではなく、複数階層でそれらしい場所は見つかっている。
場所が場所のため検証が難しい。
ここビルの迷宮もすべての階層で寄り付かない地点
通称安息地が見つかっているため
そこを目指し、17階層に来てからは
あまりかからず安息地に到着していた。
安息地には天たち以外にも複数人がいるだが
基本的にはお互いに不干渉が暗黙のルールであるため
会釈程度で済ます。
料理はトント、メイに任せ
残りは武器の点検やらステータスの確認にいそしんでいた。
高原天
人族・来訪者
レベル:41
攻撃:400
防御:203
速度:400
精神:332
魔力:400
スキル:王を定めし12の騎士
アビ:隠密、加速
お、1レべ上がった。攻撃もカンストしてたんだ。
あのゴーレムみたいなやつぶん殴ったから、あん時の結果か。
今更だけど、、ちょっと痛かったな。
各々が自身のステータスの確認を行い、
ステータスアップに何が関係したのかを振り返っているうちに
食事ができていたようで、食事をとりそのまま睡眠をとることとなった。
ただ全員が寝ているのはさすがに迷宮内であるため
交代で見張りをすることとなった。
最初の見張りはパドックとセナ
リーダー、副リーダーが一緒になっていいのかとも思うが
実力的には問題ないだろうということになった。
「パドック、ここまで来たけど、、あなたの予定と照らし合わせてどうなの?」
「まぁ、想定通りっちゃ想定通りだね。ゴーレムのところで俺含めはっちゃけて想定しているより時間かかったのは事実だけど。ソラも戦闘を重ねて動きもいいし。」
「そうなんだけど、、ね?」
「ソラ自身というより住んでいた場所の価値観なんだろうけど、、モンスター欲しい奴がいるかどうかの確認が入るんだよね。多分無意識で。」
「そうね。各々が受け持っているときは、自分がやらないと他者に危険が及ぶことは理解しているからそういうことはないんだけど、、余裕があるときというか、1体だけのときとかに、ソラがとどめをさせる場所にいるときとか、自分がとどめ貰っていいの?みたいな顔するのよね。」
「頭では分かっているんだろうけど、、体が追い付いてきてない感じだね。迷宮内だし何があるかわからないから治せるといいんだけど、、一度ついた習慣はなかなか治らないんだよなぁ、、。」
「私も一階変な癖着いた時にそれ治すのに苦労したもの。」
「だよなぁ、、俺からそれとなく伝えておくわ。」
「頼むわ。」
天が寝ている最中に二人のリーダーたちの会議は続いた。
その後、見張りに起きてきた天に
パドックがそれとなく
「トドメもっとガンガンやっていいよ?何なら他の連中から奪ってやれ。」
的なノリで天にそれとなく促していた。
そんなこんなで翌日、、、、翌日?
迷宮内では時間は固定と言われているため
外の時間との感覚が狂いやすい。
一応、それ対策の道具もあるため持ち込んでいるわけだが、
迷宮に入った時間を記録し、入ると同時に道具を起動
道具に込めた魔力がなくなるまで時間を測り続けるという代物であるため
いろいろと面倒だった。
そんなこんなで気が付けば19階層にたどり着いていた。
そんなこんな中に何かあったのかと問われれば特に何もなかった。
モンスターを討伐するだけ。本当にそれだけ。
あっという間に21階層目前まで到達してしまう。
21階層から29階層まではレベル35は最低でも欲しいと言われている。
30階層がレベル40が最低ラインになる。
一度休憩をはさみ
21階層へと到達した。
ここから先は21から29階層が一つの空間となっている。
広がるのは峡谷であり、
21層から29階層にかけて下っていく。
下っていくわけだが、21階層に来て早々
モンスターが現れる。
「ラガールか。珍しいな。25階層以降の下の方に生息しているはずだが。」
ラガール
見た目は虎に近い形をしており、生えそろった鋭利な牙が2本
非常に筋肉質な肉体をしている。
ここまで各々好き勝手にと言った具合での戦闘が多かったが
ここからはパーティらしく叩く。
天たちが翻弄し、魔法職が体勢を崩し、ツォルガなどが一撃を入れる。
それでも沈まない場合は、
近くにいる誰かしらがとどめを刺すか、一撃を入れた者が離脱できるように
ヘイトを買うことになる。
今回は一撃で終わったわけだが。
「25階層以降のモンスターだったが問題なかったな。」
「珍しいん、、、ですよね。」
「珍しいっちゃ珍しいな。」
「そうだね。こういった繋がった空間だと±2階層くらいまでは許容範囲というか実質同じみたいな扱いになるけど、、5階層はマレだね。」
「どうだい?初戦が25階層以降のモンスターだったけど、行けそうかい?」
「問題ない。一人でも勝てそうだな。」
ツォルガの一言から
天を含めた全員が問題ないと答える。
「何があるかわからないからそれはあまりしたくないけど、、問題無いことは分かったよ。それはそれとして今みたいに何が起こるかわからないから、何か気がかりなことがあったらすぐ言ってくれ。ソラも言ってくれて構わないからな?」
リーダーとして、先達として天を気に掛けるパドック
そこから数度の戦闘を挟み
あっという間に25階層付近までやってきたのだが
「パドック先輩、モンスター、少なすぎる気がするんですけどこんなもんなんですかね?結構広いですし。」
「誤差だ、、と言いたいところだけど、、セナ、どう思う?」
「私よりもツォルガの方が知っているんじゃないの?こういう階層がつながっているところは。」
「ふむ。確かに、、少ないな。ここはモンスターの出現数が多い。他の迷宮ならこの程度でもこの広さなら、何ら不思議に思うことはないのだが、、もっと言えば先ほどまでで遭遇したモンスターだ。あれらは28,29階層のモンスターのはずだ。世の中に出回っている情報が正しいならという条件付きだが、ここはギルド公認の情報だった。そして、この峡谷に来てすぐのモンスター。パドック、、これは人族の仕業ではなく、モンスターの変種がいるかもしれないぞ?どうする?ここは迷宮内部の最終階層付近だ。それにこの迷宮は40レベルは欲しいと言われている。分かるだろう?」
「よかったわ。ツォルガ、あなた、ちょっかいかけに行こうとか言い出すんじゃないかとひやひやしたわ。」
「ここが地上なら言っていたな。」
「だから怖いのよ。」
豪快に笑うツォルガとそれに突っ込むセナ。
これはいつもの光景。
「それで?パドックどうするの?」
「とりあえず、21階層の安息地まで戻ろう。ここまで戦闘は少なかったとはいえ、戻りはいつも通りに戻っている可能性もあるし、、21階層で休憩を取りつつ、すぐに20階層まで行けるようにする。正直このまま20階層まで戻りたい気持ちはあるが、、20階層の安息地は少々遠いからな。体力があるならそこまで行くのもありだが、、20階層までなら何ら異常もなかったから、、戦闘回数は少なかったとはいえ休憩もあまりできていないしね。」
ということで21階層の安息地まで戻ることとなった。
戻る際中、全員が言も言われぬ感情に襲われていた。
そして
それは24階層から23階層に上がる近辺で起こった。
ドゴ――――――ン!
大轟音が聞こえてきた。
それも直ぐ近くで
「走れ!」
パドックが一瞬で危険を察知し指示を飛ばす。
が少し遅かった。
大轟音の主は2匹
一匹はこの迷宮のサブボスの変種
もう一体は29階層に住まうモンスターの変種
この二匹が暴れたり、喰らったりしていたのだろう。
モンスターの数は減り、生き延びたモンスターは上階へ逃げていた。
そしてつい先ほど2匹は邂逅してしまった。
お互いに察知していたのだろう。
満を持して雌雄を決しようとしてた。それに巻き込まれてしまった。
サブボスの攻撃により大地へと叩きつけられた29階層のモンスターの影響で
土砂崩れが発生し
それに巻き込まれ
全員が25階層よりも下層へと落下した。
皆さんもトントさんとは友達になることをお勧めします。
他のメンバーのステータスとかも書いた方がいいですかね?
別件にはなりますが、来週はこちらの更新ができるかわかりません。申し訳ございません。




