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星の旅人  作者: ホトトトギス


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5/5

ビルの迷宮ー足掻き

ウォナ先生のスキルの名前を

アカシック・レコードからグリモワールに変更しました。

よろしくお願いします。

 天が入学してから少し経ったいつかの日

「セナ先輩、僕にヒイラギ流を教えてください。」

 天はセナに頭を下げていた。

「また唐突、、というわけではないわね。教えてあげられるけど、、スキル持っているのは知っているし、、そんなに急がなくてもいいんじゃないかしら?」 


「そのぉ、、僕のスキルって刀出てくるんですけど、、人生で使ったことないどころか、戦いとは無縁だったもので戦闘の組み立て方とかわからなくて、、流派とかしれれば少しは変われるかなと思いまして、、」

「あなたもなかなか大変なのね。」

「おかげで退屈はしないんですけどね。」

「いいわよ。教えてあげる。」

 というような経緯を経てヒイラギ流を教わることになった。


、、、、

 ビルの迷宮内部 26階層

「みんな、、大丈夫か?」

「パドック、トント、ソラが別の場所に落ちたな。」

「パドックは問題ないだろうが、、トントとソラは、、、」

「急いで合流するんでいいんだよな?セナ。」

「ええ。少なくともパドックと合流するまでは私がリーダー、ツォルガ、サブリーダーをお願い。」

「任された。」

「それと、、、撤退する判断はあなたに任せるわ。お願いね?」

「ああ。その方が良いだろうな。にしても意外だな。何が何でも助けると言い出すものとばかり思っていたのだが、、、」

「、、、そうね。私自身も驚いているわ。別に彼らが嫌いだからとかではないわよ。私はソラにはヒイラギ流を教えているし、トントとももう長い付き合いよ。でも、パドックとも離れている今、副リーダーとしての務めがあるから。だから本当はこの時点で地上への帰還が正しいのだろうけど、、、」

「それ以上言う必要はないよ。みんなわかっているから。助けに行こう。あの二人を。パドックは、、大丈夫でしょ。」


、、、、


 パドック視点 

 パドックは土砂崩れ発生時に殿を走っていた。

 それもあり、土砂災害に巻き込まれずに済んだ。

 とはいえ

「、、、リーダーの俺だけ土砂災害を免れるとは、、、良いのか悪いのか判断に困るのだが、、今回は、、余計にその判断が難しい。お前もそう思うだろ?」

 そう告げる先には

 パドックのほかに土砂崩れに巻き込まれずに残った

 29階層に住まうバルティという蛇のモンスターその変種

 先ほどまでサブボスと闘っていたこともあり、消耗しているようだった。

「向こうもそれなりに消耗しているといいんだけど、、さっさとおまえを倒して助けに行くとしようか。」

 パドックは堂々と啖呵を切る。


、、、、

 他のメンバーが動き出している頃

 天はトントのケガの処置をしていた。

 

 土砂崩れ

 というよりも崩落という表現の方が近いのかもしれないが

 天が一人、位置的な関係で

 別の場所へと分断されかけたころ、天を含めたメンバーが

 助けに行こうにも、戻ろうにも足場なかったり使い物にならなかったりと

 各々が動けなかったところ

 一人、足場に恵まれていたトントが天を助けようとしたのだが、

 変種たちから発生した余波により

 他メンバーの元へ戻ることができなくなり、

 そのまま落下し29階層まで落下。

 その際にトントが天をかばうように落下したため

 トントが負傷してしまっていた。


「う、、、ぐ、、!トントさん!トントさん!」

 落ちていく際に自分をかばってくれていたトントを探す。

「ソラ、、くん、、、」

 岩陰から声が聞こえてくる。

 急いで確認する天

 そこには左脇腹から大量に出血しているトントがいた。

「ッ!トントさん!」

 急いで走り寄る天だが

 パニックで近づいて呼びかけることしかできない。

 こえをかけ続けるが、頭が真っ白になっている天には

 次の行動が出てこない。

 そんな天にトントが

「リュックの、、、なか、、に、、くすり、、が、、」

 天を落ち着かせるためにやさしい声色で指示をだす。

 それを聞き、バックを回収し

 あれこれ取り出しているうちに少しずつ冷静さを取り戻し

 教わっていた通りに適切に処置をする。

 大事になる前に処理を済ませることができたが

 ここ29階層において動けないのは致命的であり

 先ほどまで垂れ流していた血の匂いに誘われて

 変種どもの影響で腹をすかせたモンスターが寄ってきていた。


 複数の足音を聞いた天はトントを血だまりから別の岩陰に隠し

 天は血だまり付近に陣取る。

 とりあえず寄ってきている数匹を撃破後に逃げる際に

 下手に血の匂いをつけないようにするためである。

 天自身

なんだか妙に頭が回るな。

 とは思うものの

 今、この状況下においては都合がいいと

 足音が大きくなるモンスターに備える。


 おそらく1分も経っていないだろう。

 天からしてみれば、長く重苦しい時間であっただろうが。

 現れたのは3匹のラガール


ラガールって群れで生活するんだっけか?

 心の中での独白ではあるが

 この迷宮内部、しかもこのような状況下に置かれてることからの

 恐怖、不安、焦りなどのマイナスの感情が

 独白に怒気を含ませていた。


 そんなことをしている間にもラガールたちはじりじりと天を取り囲むように 

 ゆっくりとゆっくりと歩を進める。

 天はすでに無銘(ななし)を手に握りしめているため、

仕掛けてきた瞬間ぶった切る

 これを頭の中で反復しながら構える。

 

 初めての迷宮攻略で

 このような状況に陥った者が生きて帰ってこられる確率というモノは

 調べようのないモノであることは間違いないのだが

 迷宮攻略者だけでなく

 迷宮に一度でも足を踏み入れたことのある者から言わせてみれば

 初めての迷宮攻略でこのような状況が発生した場合

 発狂するという者もあれば、あきらめると答える者もおり、

 手っ取り早く言ってしまえば、迷宮から出ることはなく死ぬだろうと答える者は

 約90%に近い。


 その中で天は生き残るための行動をとり続ける。

 天が異常なまでに生への執着というものを持っているのか、

 記憶を失っている元の世界で生に対する何かがあったのか、

 それがまっすぐなものなのか

 はたまた無意識に残っているかけらが寄り集まった結果なのか

 それは今の天には分からないことだが。


 天を取り囲んだラガールたちは天の周りをゆったりとしたペースで天の周りを周回する。

 ただし、その距離というのは着実になくなってきていた。

 それでもなお、天は構えの姿勢から動かない。


 じりじりと距離を詰めるラガール

 不動の天

 この状況下でどれ程の時間がたったのだろうか。

 先に仕掛けたのはラガール側であった。

 天の真後ろにいたラガールが天を大地へと押し付けようと飛び上がる。

ッ!

 ある程度予想していたのだろうか。

 まるでこう動くと予定していたかのように

 体勢を低くしながら体をひねりつつ

 そのついでとばかりに土煙で残りの視界を奪う。

 天の頭上をラガールにそのまま通過させるわけもなく

 そのままラガールに蹴りをお見舞いする。

 浅かったのか、後ろに引きはしたものの

 顔を少し振っただけで体勢を立て直す。

 無論、残りの二匹も黙ってはいない。

 落ち着きを見せ始めた土煙の中から2匹が仕掛けてくる。

 これに対し天は加速を発動させ前方へと走り回避する。

 再度、加速を発動させ、蹴ったラガールへとその速度のまま切りつける。

 このラガールと3対1という状況

 さっさと1匹もっていかないと とはやる気持ち

 そもそもの状況

 すべてが天の動きを鈍らせる。

 きっと1対1の状況なら

 ほかの先輩たちがいる状況下での1対3であったならば

 今の一撃で少なくとも足の1本くらいは持って行っていただろう。

浅い!

 この状況下では足の1本も持っていけない。

 とはいえ歩くのも難しいだろう。

 そんなラガールの前に2匹がかばうように前に出る。

 その様子を見てふと思う。

「お前らも必死なんだよな。僕もだよ。この感情はきっと、この迷宮を出ることができたのならば忘れてしまうだろう。だけど、、君たちのことは忘れないと思う。だから、恨みっこなしだ。」

 自分に言い聞かせているのか、なんなのか。 

 天にもわからない。

 そもそもこの言葉を言っている自覚があるのかどうかすらわからない。

 だが

 風は凪いだ。

 その瞬間

 1人と2匹は同時に動き出していた。

 右前足による大振り

 バックステップにより回避

 そこにもう一匹が爪を突き立てんと迫る。

 それに対し天はその爪の通り道に

「ファイアボール」

 火球を一つ設置する。

 天は現状使える魔法が圧倒的に少ない。

 いくら前衛職をしているとはいえ少ない。

 ただ、一つ一つの魔法の使い方はうまい方である。

 ファイアボールが出現したことで

 攻撃をやめ離れるラガールに、設置したファイアボールで追い打ちをかける。

 ただまっすぐ飛ばしただけなこともありこれは回避される。

 これを視界の端でとらえつつ

 もう一匹にもファイアボールを3発同時に放つ。

 一つは、ただただまっすぐ進むだけの速度もさほど早くないもの

 一つは、右方向の横回転がかかったもの

 一つは、左方向の横回転が右回転よりもかかったもの

 天に言わせれば

ボールなんだから回転をかければ相応の動きをするよね。 

 というわけである。

 まっすぐ進むファイアボールをバックステップでかわすラガール。

 そこに右回転のファイアボールが襲い掛かる。

 しかし、これも難なく回避

 左回転もバックステップで回避する。 

 その結果

 天たちからは離れてしまっていた。

 天はあえて速度を落としかわしやすく、

 かつ

 後ろに下がるようにファイアボールを放っていた。

 ファイアボールに回転をかける。

 ここまでは天がこれまでに練習をして身に着けたものである。

 ただ、それを用いて相手の動きをコントロールするほどの技術はなかった。

 この窮地で身に着けたわけではなく、たまたまの産物でしかないのだが

 今の天にとってはありがたいことこの上なかった。

  

 そんな天だが、もう一匹のラガールと近接戦を展開していた。

「ヒイラギ流・三日月」

 一瞬のスキを突き、一匹目を討伐する。

 

 ヒイラギ流・三日月

 単発の近距離斬撃


 手負いのラガールを仕留めようとするが

 すでにもう一匹が仕掛けてきている。

 それを交わすが 

 手負いのはずのラガールもまた天へと牙を突き付ける。

あんとき骨確かに切ってねぇけど、、もうそんなに動けるのかよ。

 とはいえ着地時や走っているときは切られた足をかばうようにしているのは見ればわかる。


 元気なほうのラガールをファイアボールで牽制しつつ

 手負いのラガールを追い詰める。

 互いに一撃を放ち、かわされる。

 これを幾たび繰り返す。

 そして、天の一撃がラガールの片目を切り裂いた時

 流れが一気に変わる。

 それに気が付いたもう一匹がファイアボールをくらうのをためらわずに突撃してくるが

 遅かった。


 ふたたびヒイラギ流・三日月で首を切断した。

 最後の一匹gすさまじい速度で天へと強襲する。

 だが、あまりにも一直線であった。

 加速を用いてカウンターを放つ。

 カウンターが決まり、ラガールの片足を切り飛ばす。

ズザザザザーーーー!

 かたあしを切り落とされたことで着地の体勢が取れずに転び滑るラガール

 それを見逃さずに

 一閃


 これにて3匹のラガールの討伐を完了する。

 討伐したのを確認し急いでトントの元へと向かう。

「トントさん!」

「ぶじ、、、、かい?」

 天の言葉にトントが反応を示す。

「ラガールを討伐しました。他のモンスターが来る前にここを離れましょう。」

「ここ、、、、が、どこだか、、わかる、、、かい?」

「落ちるときに上に行くための道は見つけています。」

「じゃぁ、、、いこ、、、うか。」

 歩けるだの、おぶるだのあったが、

 天が強制的におぶることでこの話を終わらせた。

 天の隠密のアビを使い極限まで戦闘を回避するためにも

 おぶる方が面倒がないということもあるが

 天としてはトントの身を案じての行動であった。


 休憩をはさみながら

 天とトントは戦闘ゼロで上の階層へと至ることに成功する。

 その間も天は隠密のアビを切らずにいる。

 天の顔にも汗がにじみ、息が絶え絶えになり始めていた。

「ソラ、、、くん。そろ、、、そろ、隠密、、、の、アビ、、、を、解い、、、て、休んだ、、、方が、、、いい。」

 天はそれを否定しながら

 もしかしたら、ボスの討伐に向かったほうが良かったのではないかと

 今になって思うようになっていた頃


グギョギョギョギョギョギョ!

 どこからか薄気味悪い声がこだました。


 全身の毛が逆立つような悪寒が走るようなその声に

 天とトントは恐怖を覚え、 

 加速を用いて、身を隠せそうな場所まで全力疾走する。

 あの声が聞こえてからというもの

ズウン!ズウン!

 という足音が聞こえてきており

 最初はどこから聞こえてくるものなのか分からなかったが

 岩の隙間に隠れてからは

 その足音が前の方から天たちの方へと向かってきていることを理解した。

 そこら辺に落ちている石ころや削っても向こうから見えないように岩を削り

 自分たちが隠れているところを見られないように補強し

 音が大きくなるにつれて

 体勢を低く、死ぬ気で隠密を使う。

ズウン!ズウン!

 天たちが隠れている付近まで一定のペースで歩き続けていた

 足音が急に止まった。


 天も自分の心臓がバクバクと言っているのが聞こえてくる。

 再び動き出した音が聞こえ、遠くへ行ったが

 天は動けずにいた。


 もし仮に外に出ようと岩をどけ顔を出した時に

 あの足音の主の顔があったら?

 そう考えると恐怖で動けなくなっていた。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


 こうなるのも無理はなかった。

 落ちるとき天は見ていた。

 サブボスのすがたを。

 この迷宮のサブボスはゴブリンの上位種なのだが

 いま、迷宮にいるサブボスは変種であり

 その様相が異なっている。

 普段なら、ただの大きく、筋量が増したゴブリンという表現が正しいが

 今いるのは

 身長は同じくらいなのだろうが

 腕が異様に長く、脚は短い

 胴体は贅肉がこびりついたような

 腹は突き出てたるんでいる。

 そして何より顔が左右非対称にもほどがあるような凹凸のある

 あまりにもいびつな形をした顔

 それがもし、ニタァっと笑いながらこちらを見ていたら

 それを想像するだけで

 天は動けなかった。


 そんな天にトントが声をかける。

「ソラく、、ん、だい、、じょ、、うぶ。しんこ、、きゅうし、、ようか。」


 その言葉に促されるように深呼吸をする。

 トントの内心も

 天に対する申し訳なさでいっぱいであった。

 最悪の場合は、自分が犠牲になって逃げてもらえば良い。

 そう考えているわけだが。

「たぶ、、ん。さっきソラくん、、、がたおし、、、た、もんす、たーのち、、のにおい、、をたど、、ってる。にげ、、る、なら、いま。」

 実際にそうであるかどうかはわからない。 

 ただ、

 逃げ切れるならそれで良い。

 見つかるにしても、自分が食べられている間に他メンバーと合流しやすくなるように

 そう考えていた。

 元居た世界では考えられないが

 この世界、、こと冒険者をやっている人々はみな

 あまりに命を軽く考える。

 それはトントも例外ではなかった。


 天もこの世界の命の軽さに気が付いており、

 トントが今何を思ってるのかも察している。

 ゆえにサブボスが目の間にいたらそん時はやってやる。

 その覚悟はできた。

 トントを身代わりにする方がはるかに嫌だから。


 少しずつ少しずつ

 辺りを確認しながら小石を取り除き

 天が一人外に体を出し、モンスターがいた場合に備える

 が

 辺りにモンスターは見当たらない。

 先ほどのサブボスの移動により近くにはいないのだろう。

 そう判断し

 トントを担いで上へと歩き出す。

 もちろん

 隠密は解かない。


 でてくる前に、自身のステータスが強化ないしはアビの進化が起きていないか

 この確認をするべきだったと後悔できる程度には

 落ち着きを見せていた。


 基本的にはモンスターを見かけても隠密で隠れてやり過ごし

 どうしようもない場合は隠密による奇襲をかけて

 問題になるまえに処理していた。

 気が付けば27階層までの道が見えてくる。

 そんな場所まで来ていたのだが

 

ズウン!

 あの音があたりに響く。 

 それを聞いた瞬間に近場に隠れられる場所がないか探すが

 トント一人が隠れられる程度の大きさの場所しかない。

 穴の中にトントを隠しているうちに


グギョギョギョ!

 明らかに先ほど聞こえた足音の距離よりも近くで

 笑い声が聞こえてくる。


モンスターそれもサブボスの変種ともなれば、、、

人間が使えないようなルートも使えるわけか。


 これまで天たちが通ってきた道は

 これまでの数えきれない冒険者たちによって開拓されてきた

 安全ルートである。

 迷宮と言えど、峡谷や野原だけでなく

 砂漠、ジャングルその他多くのフィールドで構成されている迷宮も少なくない。

 もちろん、迷宮と言われて思いつくようなただの迷路もあるが、、、


 峡谷、野原、砂漠、ジャングルと言ったフィールドはその全てが移動可能地点となっている。

 そのため多くのルートが開拓されたが、

 足場が不安定で危険、崖を上るための装備の持ち込み、純粋に強いモンスター

 人には純粋に道として認識できないようなもの

 多くの問題点がある。

 そのため記録として残っているものの

 今はもう使われていないルートはこのビルの迷宮にも無数に存在している。


 今回、サブボスはそんな人には使えないルートを通って近くまで来ていたのだろう。

 その事実に天は舌打ちすらできない。


 先ほどから近づいてくる足音

 天自身隠れる場所がない。

 天が隠れて隠密を使った場合、トントが襲われるだろう。

 そうなった場合、今のトントではどうあがいても食われるのは目に見えている。

 仮にその選択を取ったとしても

 先輩たちは天を責めないだろう。

 天自身もそれはなんとなくわかる。 

 ただ、

それは嫌だ。

 天自身がその結果を受け入れられない。

 そもそも責められないだろうと察している自分に嫌気がさす。


 ゆえに残っている手段はただ一つ。

戦って(やって)やる。」

 静かに覚悟を決める。

  

 覚悟を決めた天のその前で

 足音は止まるのだった。

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