#17 愛03歳の悲劇
愛は息を引き取った。
突然のことだった。
少し前まではあんなに元気だったはずなのに。
止めようとしても涙が止まらなかった。
このまま泣き続けたら涙の海が出来て溺れてしまうだろう。
愛とは3年しか一緒にいられなかった。
短い間だったけどいい思い出がたくさんあった。
愛はもっと生きたかっただろう。
僕は大人になった姿をこの目で見たかったのに叶わなかった。
妻が亡くなって愛までいなくなった。
僕はどうやって生きていけばいいのだろう。
そんなことを考えていると誰かが僕の前に現れた。
「初めましてこんばんは」
その人は全身白の見たことがない若い女性だった。
「僕に何か用ですか?」
元気のない小さな声で僕はそう言った。
するとその人は予想外のことを聞いてきた。
「愛ちゃんを生き返らせることが出来るとしたら生き返らせたいですか?」
僕はそれを信じることが出来なかった。
誰だってそんなことは出来ないと思うはずだ。
でも、もし本当に生き返らせることが出来るのなら絶対お願いしたい。
「出来るなら生き返らせたいですけど。あなた何者なんですか?」
「私はミカという名前で神様的存在です」
ミカさんはどう見ても神様ではないが信じることにした。
「お願いします。愛ともう一度会いたいんです」
「愛ちゃんを生き返らせることは出来ます。でもどうしても愛ちゃんに残せないものが4つあります」
「何ですか?」
愛と会えるのならばどんなことだって受け入れようと思った。
「1つ目は人を好きになることです。愛ちゃんが誰かに恋することはありません」
「僕のことも嫌いになるんですか?」
「好きではなくなりますが嫌いにはなりません」
「良かったです」
「2つ目は笑うことです」
「もしかして心も笑わないのですか?」
「楽しい、嬉しい、面白いなどと思ったりはしますよ。顔に出ないだけです」
「良かったです」
「3つ目はあなたを父親だと思うことです」
「では僕を誰だと思うんですか?」
「それは分かりませんが別の人だと思うようになり父親はいなくなったことになります」
「それは困りましたね。でもしょうがないです」
「そして4つ目は私にも分かりません」
「分からないんですか?なんか怖いですね」
「残せないのが重大なものではないことを願っています」
「ありがとうございます」
「それと生き返させるのに2回目はありませんからね」
「そうなんですか。もう頼めないんですね」
「あと、もうひとつ言いたい大事なことがあったのですが忘れてしまいました」
「忘れないでくださいよ」
「さようなら」
「ちょっと待ってくださいよ、ちょっと……」
ミカさんは去っていき、その後愛は生き返った。
もう僕を好きと言わなくなり笑顔が見られなくなりパパではなくなる。
辛いことばかりだが仕方がないことだ。
僕だけではなく愛も相当辛くなる。
今回のことで愛が生きる上での障害がたくさん出来てしまった。
恋が出来なくて笑えなくてお父さんがいないと思い込む。
障害はたくさんあるが愛が生きていることに感謝しながら暮らしていこうと思う。




