#16 愛04歳の変化
あの日から約1年がたった。
もう愛は4歳だ。
成長が嬉しくて仕方がない。
子供の成長が嬉しくない親はいないだろう。
体はあんなに小さかったのにとても大きくなった。
顔はだんだん整ってきて美少女になった。
言葉は喋れる数が増えて発音が上手くなった。
そして自分のことはほとんど自分でするようになった。
他にも愛の色々な変化に毎日驚いている。
あの日以来もっと愛を見るようになり変化にも気付けているのだと思う。
自分のことだけで手一杯の僕に子育てが出来るのか心配だった。
でも今日まで何とかやってこれた。
子育てで母親の大変さを知ったが喜びも同時に知ることが出来た。
でも最初の頃は喜びよりも大変さの方が勝っていた。
最近になって気持ちに変化があってやっと喜びが勝るようになった。
愛が生まれてから4年がたったがその4年の間に様々なことが起こった。
たくさんの変化があって大変だった。
一番印象に残っているのはあの日のこと。
あの日に起きたことは一生忘れないだろう。
4年は長いようで短かったが
短いようで長かった気もする。
とにかく忙しかったことは確かだ。
僕と愛にとてつもない変化をもたらしたのが妻の死。
妻が生きていたら愛は今と変わっていただろう。
今ここに妻が現れて愛を育ててくれたらもっと良い子に育つだろう。
もちろん今も十分良い子なのだがたまに悪い子になる。
そこも含めて可愛いからそれでいい。
僕は妻が亡くなるまではあまり健康に気を遣っていなかった。
だけどその後、段々と気を遣うようになった。
健康に気を遣っていたので僕も愛も病気にかかる訳がないと思ってしまっていた。
でもあの日はあんなことが起こってしまった。
あの日以来もっと愛の体調の変化を気にしている。
子供というのは疑問にまみれた生き物である。
愛も最近は色々なことを質問してくる。
「誠一さんはパパの代わりなの?」
愛のその言葉に涙が出そうになった。
ずっと育ててきた娘にそう言われると悲しいものだ。
僕はどうせ分かってもらえないので「そうだよ」と答えた。
そしてまた愛が疑問をぶつけてきた。
「パパはどこに行ったの?」
本当のパパはどこかに行ってしまったと思っているのだ。
僕がパパだと言いたかったが無駄だと思ったので言わなかった。
そして「知らないよ」と答えた。
僕は逆に愛に質問することにした。
「僕のことどう思ってるかな?」
すると無表情でこう言ってきた。
「誠一さん嫌い」
僕はショックでしばらく落ち込んでいた。
あの日から愛は変わってしまった。
僕の知っている愛はもういない。




