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 加害者の父親と待ち合わせをした。こちらに来ませんか、と華のほうから電話をしたのだった。場所はモールの駐車場。東京から車で来ると聞いたからだ。

 シルバーのセダンからくたびれた喪服を着た中年男が出てきた。ほかに誰もいない。弁護士や妻を帯同すると予想していたが単独行動にしたようだ。相談もしていないのかも。こちらに負い目を持っている男が一人でやってきたと思うと胸が高鳴った。

 宇田は深々と頭を下げたが、無視して助手席に乗った。

「出して」

「……はい」語尾が疑問調に上がる。

「ホテル行きません?」

「ああ、はい、ラウンジで話しましょうか」

 駅の反対側に星が五つ煌めいているホテルがある。だけど私が行きたいのはもっとぎらぎらしたホテルだ。

「そこの」ラブホテルを指さした。「慰めてくれませんか?」

 宇田は抗わなかった。まるで自分が犯した罪を償うように、聖なる儀式のように私を抱いた。

 この男は私の言いなりだ。奴隷のようなものだ。奴隷を実家に連れ帰ることはしない。

「ごめんなさい、両親が宇田さんの焼香を望んでいないから……」

 安堵と泣き笑いの混ざった表情で宇田は帰るしかなかった。

 私を抱いた直後にどんな顔をして弟の白木の位牌と対面するのか、興味はあったけれど、それはまだ先でもいいと思った。

 その後も、呼び出せば宇田は必ず来た。永遠に続く関係ではないとわかっていたから遠慮なく貪欲になれた。


 四十九日法要と納骨が済んだ翌日、宇田の弁護士から電話があった。墓参りをさせてほしいと。

 宇田と弁護士が肩を並べてやってきた。前に会ったときに何も言っていなかったのに、と恨めしく思った。

 罵倒されることを覚悟していたであろう宇田は、両親の歓迎ぶりに戸惑いを隠しきれずにしきりに目で問いかけてくる。私は笑顔を返す。

「納骨が終わってようやく両親もほっとできたみたいね」

「それは……安心しました」宇田は納得しようとしているようだった。

「ねえ、弁護士は……知ってるの?」

「まさか、話せるわけないでしょう」

 宇田は額の汗を白いハンカチでしきりに拭う。二人の内緒話を笑い飛ばすような豪快な母の声が聞こえた。

「あらあ、弁護士さん、まだ独身なの。ちょうどよかった。どう、うちの華は」

 母の斡旋を如才なくあしらった弁護士は、加害者の刑の減軽を願う手紙を書くことまであっさりと了承させた。視界の外でほっと息を吐いた宇田の気配を感じ取った。

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