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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第7章 京・政争編

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第304話 半兵衛は、心の内に思惑を秘めて

永禄8年(1565年)1月上旬 近江国佐和山城 竹中半兵衛


今川家との交渉をまとめた俺は、すぐに観音寺城を発ち、斎藤軍の本陣が置かれているこの佐和山城に戻ってきた。そして、広間に入り、待っていた稲葉(良通)殿や舅殿(安藤守就)らに結果を報告した。


「そうか。よくやってくれたな、半兵衛」


「これで我らも後顧の憂いなく、斎藤家を巣立つことができるということだ」


その稲葉殿と舅がそう声を上げて、他の諸将からも安堵の息が零れるが、82万石の大大名・斎藤家を解体するのだから、やらなければならない事は寧ろこれからの方が多い。その筆頭というべき事案が……稲葉山城の喜太郎様の説得だ。


ちなみに、あの連署の血判状はもちろん偽造で、軟禁状態に置かれている本人はまだ何も知らない。


「なあ、半兵衛。いっそのこと、後腐れなく殺っちゃった方がいいんじゃねえか?それで……先代の弟君である玄蕃様(斎藤利堯)に継いで頂いて……」


「いやいや、待たれよ。玄蕃様が貴殿の甥ゆえにそう考えられる気持ちはわからぬでもないが、流石にそれは……」


「なっ!儂はそういうつもりで言ったわけではなくてだな……」


「じゃあ、どういうつもりで申されたのですかな?ここに集まっている皆に分かりやすく教えて頂きたいものですな」


稲葉殿の言葉に舅殿が応戦するが、周りの雰囲気は圧倒的に舅殿の味方だ。それに、俺も喜太郎様を殺すことには反対ということもあり、この場で却下した。


説得は喜太郎様の大叔父にあたる長井隼人正殿と氏家殿にお任せすると伝えて、次の話題に移る。


「降伏した以上、我らの人事権は今川家に移ります。従って、近いか遠いかは別にして、美濃から他国への国替えは行われるでしょう」


この話は和睦を申し込む前に行っていたため、不満を言い出す者は皆無だ。いつでも移動できるように準備を進めるようにと、この場で申し渡した。その上で……


「例えどこに行こうと、この場に居る者たちは仲間である事を忘れない様にして頂きたい」


そのように伝えて、困った時は互いに助け合うための「互助会」の設立、さらには加入を皆に求める。


「畏れながら、そのような物に加入してどのような利があるのでしょう?」


「徒党を組むことで、今川家より誰かに理不尽な要求がなされた時、団体でこれを拒むように交渉したいと考えている。我らは降伏した家の家臣ゆえ、これから先酷い言いがかりをつけられる事もあるかと思いますので、それらに対する保障となるでしょう」


もちろん、限界はあるだろうが、大なり小なり今川家に対するけん制にはなると俺は皆に説明する。もっとも、本当の狙いは他にはあるが……ここでは口にしない。


自分で言うのも何だが、きっと今川家は俺に対する警戒を解いていないから、この城に間者が潜り込んでいるだろうし、それにここに居る者も我が身可愛さからいつ裏切るかわかったものではない。


「半兵衛?如何した。急に黙り込んで、何かあるのか?」


「あ……いえ、少し考え事をしていました。すみませぬ」


そう……それはこの舅殿であっても同じだ。本当の狙いはいつか叶う日が来るまで胸の内に秘めて、俺は話を続ける。互助会に加入する者は改めて連判状を回すので、署名と血判をお願いしたいと。


「承知した。某は加入させていただく」


「某も同じく!」


すでに何人かがこうして手を挙げた事にホッと胸をなでおろして、今日の所は難しい話をこれで仕舞いとする。新年を迎えた事とそれぞれの門出を祝って、酒宴を始める事にした。


「おお、皆の者!新年会とは、俺も混ぜてくれ!」


だが、そこに呼んでも居ない男が乱入してきた。元・南近江の守護・六角右衛門督だ。


「申し訳ございませんが、今日は内々の会でございまして。酒肴はお部屋にお届けしますゆえ……」


「そうか。それなら仕方ないが……ところで半兵衛。今こそ今川を討ち、我が観音寺城を取り戻す機会と心得るが……如何に?」


そういえば、この近江に攻め込む口実としてこの男を連れてきていたのだなと思い出したが、今川に降った我らには不要の存在だ。


しかし、折角の門出を血で汚すのは縁起が悪い。


「畏れながら、今はまだその機にあらず。隠忍自重して時をお待ちいただきたい」


「そうか。相分かった」


何も知らない右衛門督を適当にあしらって俺は追い返した。いずれ気づいた時にどうするのか、出ていくかもしれないがはっきり言って興味はない。


まあ、残っていたら、今川家に差し出すのも一興だ。きっと喜んでくれるだろうし。


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