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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第7章 京・政争編

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第301話 嘉兵衛は、行く年を振り返る

永禄7年(1564年)12月下旬 近江国観音寺城 松下嘉兵衛


除夜の鐘が鳴り響く。もうすぐ今年もお仕舞いだ。


「それにしても、色々ありましたな」


「真に……」


藤吉郎と慶次郎が酒を飲みながらしみじみと零しているが、それは俺も同じ気持ちだ。正月に松永様が隠居したと思ったら、安宅摂津守が粛清されて、7月には三好修理大夫(長慶)が亡くなった。後継者として養子の孫六郎重存が継いだが、やはり揉めた。


反対派は阿波に居た彦二郎長治を立てて、孫六郎を擁する宿老三人衆と争う姿勢を示しているのだ。


「それで、松永様はどちらに付くのでしょうかねぇ。殿……その辺りについて、何か聞かれていますか?」


「いや、聞いていない。こちらが心配して文を送っても、返ってくるのは菊幢丸の話題ばかりだし、果たして何をお考えなのか……」


ただ、あの爺さんの事だ。このまま本当に隠居してフェードアウトするとは考えづらい。なので、こないだあずさに教えてとお願いしたのだけど……


『未来を知れば、父上は必ず変えようとするはず。それは松下家の為にはならないので、教えるわけにはいきません』


……などと、にべもなくあっさりと断られてしまった。ちなみにあずさは、俺が改変した先の未来——西暦でいうと2039年からやってきたということだが、このまま俺の思うとおりにすれば、そんなに悪い結果にはならないとだけ教えてくれた。


「でもなぁ、やはりモヤモヤするよなぁ……」


「殿……如何なされましたか?モヤモヤとは……」


「あ、いやなんでもない」


「ははぁん、さては……あずさ様の事をお考えになられていましたな?」


藤吉郎の言葉に思わずギクリとしてしまったが、続いて聞こえてきた「蒲生家との縁談をどうするかお悩みなのですね?」……などという見当違いな言葉にひとまずほっと胸をなでおろした。いや、それはそれで悩んでいる事には違いなかったが……。


「しかし、藤吉郎殿もあずさ様がお嫁に行かれたら寂しくなるのでは?あれだけ『藤吉おじさんのお嫁さんになるから』と幼い時から申されていましたし……」


「あのな、慶次郎。儂がいくらモテなくてもだな。おしめの世話をした子に手を出すほど、落ちぶれてはおらんよ」


「本当ですかな?少しは考えたりはしませんでした?」


「ないない。第一、そんな事をしてみろ。織田家の権六殿のようにおとわ様に髷を落されて……いや、儂の場合は確実に殺されてしまうだろうが!」


なお、あずさが藤吉郎の嫁になりたかった理由というのは、お妙の子が俺の孫を殺して、松下家を牛耳ろうとしてお家騒動を起こすのを防ぎたかったという事らしい。正室になれば、例え問題の子が生まれても、縁を切って家から追い出すことができるからと。


しかし、今となってはその問題もクリアーできたので、藤吉郎と一緒になりたいという気持ちはないようだ。もっとも、だからといって短命な氏郷と一緒になるつもりもないようだけど。


「そういえば、あずさ様と言えば……藤吉郎殿が美人局に引っ掛かりそうにもなりましたねぇ。ホント、あの時は寧々殿のお供をして大変で……」


「その節はホント済まなかったな。迷惑をかけた」


慶次郎から聞いた話によると、寧々が観音寺の屋敷に到着した時……お妙は中々手を出そうとしない藤吉郎に業を煮やして、眠り薬を盛って事を為そうとしていたらしい。まだ交わる前だったからセーフだったけど、激怒した寧々が大暴れして修羅場になったと……。


「しかし、殿……」


「なんだ?」


「あの時の話ですが、未だに不思議に思うのです。どうして、あずさ様があのような事を言ったのか……」


一周回ってまたヤバい話になり、俺はどう答えようかと悩んだ。すると、その時襖が開いてそのあずさが入ってきた。


「ど、どうしたのだ?」


「お市さんの陣痛が始まりました。その事をお知らせに……」


そういえば、あずさの前世は女医だったなと思い出しながら、俺は席を立つ。もちろん、まだ幼いので医療活動に従事してはいないが、もう少し大きくなったらやってみたいとも言っていた。


あ……鐘の音が止まったな。永禄8年の幕開けだ。

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