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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第4章 川中島・援軍編

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第237話 嘉兵衛は、甲越和睦の仲介をする(3)

永禄4年(1561年)9月中旬 信濃国善光寺 松下嘉兵衛


ああ……やってしまった。俺は戻ってきた藤吉郎から聞いた後始末の条件を思い出しながら、本来の役目である和睦交渉に臨む。思わず目を逸らしたくなるが、浮気相手とこうして顔を合わせて。


「…………」


「管領様、お言葉を」


「あ、ああ……すまぬ。では……ま、松下殿。そちらの条件をまずは伺おうか?」


しかし、目を逸らしたいと思っていたのは、どうやら俺だけではなかったようで……政虎公は昨日まで「大蔵」と親し気に呼んでいたのに、何処かよそよそしく「松下殿」と言った。しかも、どこかに目線をずらして正面から見ようとしない。


そうなると、不思議な話だが、俺の気持ちに余裕というものが生まれてくる。


「それでは、武田家と上杉家の和睦につきまして、その条件を提案させていただきまする」


俺は昨夜の事を一先ず脇に置いて、和睦の条件を口にした。即ち、国境は犀川を境とする現状のままとして、その上で不可侵条約の締結、加えて上野並びに飛騨への双方不干渉の約束を交わしてはどうかと。


「また、信濃から上杉家に頼られた国衆につきましては、武田家への仕官を認めて、かつての居城の返還と周辺にその家格に応じた領地を与える事にします」


「武田家への仕官を望まない者については?」


「向こう5か年に渡って、家格に応じた禄をお渡しする事にします。先に申し上げた領地もそうですが、旧守護の小笠原家、村上家に1万石、あとの家につきましては大体2千石から5千石を目途にしたいと考えております」


この辺りの数字については、喜兵衛にもここに来る前に相談済みだ。財政的に大丈夫ではないかとお墨付きを得ている。


「ちなみに、信濃の連中がどちらも拒めば……どうするつもりだ?」


そして、ここで政虎公もどうやら調子を取り戻されたようで、俺が提案した提案に質問を投げかけてきた。


「…………」


なお、藤吉郎が午前中に纏めてきた昨夜の後始末だが、昨夜の事は絶対に政虎公も口外しないし、尾張に押し掛けたりしない代わりにお互いに文を送り合う事、更には1年から2年以内に俺が越後へ出張するなどして、会いに行くことになっている。


出張の用事は……義元公にご相談して、何かしら作ってもらわないといけないな……。


「大蔵……どうした。答えぬのか?」


あ……いけない、いけない。またつい思い出してしまった。今はまず仕事を優先させるべく、俺は気持ちを切り替えて政虎公からの下問に答えた。それは、上杉家で判断されたしと。


「信濃の連中に引き摺られてこの和睦提案を蹴るも、和睦を結ぶために信濃の連中を宥める、あるいは切り捨てられるのも、管領様の思し召しのままに為されるがよろしいかと。武田家としては、最大限の提案をさせて頂いておりますゆえ……」


「わかった。信濃の衆の事については、一旦保留にいたす。だが、その上で訊ねたい。この和睦における上杉・武田両家の利益とは何だ?」


「武田は飛騨を、上杉は上野を押さえるにあたって、敵を一つ減らすことができます。それは、両家にとって喜ばしい事に繋がるかと存じます」


「なるほどな。つまり、武田は飛騨……さらに越前や越中、加賀をこれから狙うという事か。だが、越中や飛騨には我らに味方する者もいる。これを見捨てよと?」


「それを言い出せば、武田は北条と盟約を結んでいるので、上野防衛に本来であれば協力しなければなりません。それを見捨てるのですから……条件は同じかと」


「ふむ……」


政虎公はこの条件を評議にはかると言われて、一度目の和睦交渉はこれにて終了した。回答は明日、同じ時刻にここで行うので、今夜もこの善光寺に宿泊だ。


「殿……お判りでしょうが、今宵こそお持ち帰りされないように……」


「わ、わかっている。それよりも、本当に大丈夫なんだろうな?政虎公と文通などして。おとわにバレたら、確実に殺されてしまうぞ」


「大丈夫ですって。この日の本で政虎公が女だと知る者は限られた数しかいませんし、例え届いた手紙を見られたとしても、おとわ様はお気づきになられないかと」


だけど、藤吉郎の言っている事は理解できるが、相手はおとわである。妙な嗅覚が働いて、ある日突然撃たれたりはしないかと心配になるわけで……。


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