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【モブ武将】松下嘉兵衛は、木下藤吉郎を手放さない!~おこぼれの小大名で終わりたくないので、三英傑を手玉に取ってビッグになろうと思います!  作者: 冬華
第4章 川中島・援軍編

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第209話 嘉兵衛は、バカ殿を修正する

永禄4年(1561年)閏3月下旬 信濃国上原城 松下嘉兵衛


半刻(1時間)程後に、俺は書状に記されていた通り、城内のはずれにある楼閣にやってきた。どうやら、義信公は藤吉郎を返してくれる前に俺と話がしたいようで、到着早々、飯富殿から2階へ上がるように促された。


「ああ、ご心配なく。藤吉郎殿はあちらに……」


一体何をやっているのだと言いたい所だが、それは後回しにして俺は梯子を上る。今は無事な姿を見られただけで十分だ。強引に奪い返せない事はなかったが、相手は武田の御曹司。ここは返してくれるという話を信じることにした。


「松下大蔵少輔にございます」


「武田太郎だ。今張良と評判の貴殿とこうして話す機会を得たことを嬉しく思うぞ」


話す機会を得たねぇ……。うちの家老を人質に取って、こうして呼び出しておいて、よくもまあそのような事を言えるなぁと思わないでもないが、三条の方様からの依頼のこともある。直接こうして話す機会を得た事は、俺にとってもそう悪い話ではない。


「それで、某に話とは?」


そして、まずは義信公のお話とやらを伺う事にした。どうせ碌な話ではないのだろうが……これも人となりを知るためには必要な事だ。


「単刀直入に伺いたい。父を隠居に追い込むにはどうすればよい?」


しかし……いきなりそんなことを初対面の俺に訊くか?


「それはご謀反をお考えになられていると思ってよろしいでしょうか?」


「……そうだ。俺は父がかつて祖父に対してやったように、父から家督を奪いたいと思っている」


「ちなみに、それを今川の家臣である某に、このように打ち明けて巻き込めば、太郎様の舅である今川の太守様が激怒なされるのは……もちろん、覚悟の上なのですよね?」


しかも、俺の言葉が正しく理解できていないのだろう。「なぜ、舅殿が激怒されるのだ?」と真顔で聞き返してきた。


だから、ため息を堪えつつこのバカ殿に教えてやる事にした。今川の家臣が信玄公を追い落とす陰謀に加担したとなれば、武田と今川の同盟は破談となることを。だから、義元公は激怒される結果になることを。


「だが、俺が勝てば……父上を追い落とせば、問題はないのではないのか?」


「果たして勝てますかな?今、ここでこうして話している事も、おそらくは筒抜けでしょうし……」


俺はわざとらしく天井を見上げた。チューチューとネズミの鳴き声が聞こえたが、信玄公の忍びが居ると確信した。ただし、義信公は「そんなはずはない!」と強気を前面に出すだけで、その存在に気づいた様子はなかった。


「なお、同盟が破談となれば……太郎様の奥方様も駿府にお戻りになるでしょうな。本当にそれでよろしいので?」


「だから、そのような事にならないと申している。俺は勝つ、勝つ、勝つ!!」


今度は堪えることなく思いっきりため息を吐き出した。ダメだ、話にならないと思って、これ以上巻き込まれないためにも俺は席を立つ。しかし、1階へ降りようと思ったら、梯子が外されていた。


「これは、どういうおつもりなのですかな?」


「父を隠居に追い込むためには、どうしても貴殿の力が必要なのだ。策を授けて下さったら、梯子を用意するし、迷惑だと思うのならば、ここで会ったことも誰にも言わない。だから、どうか……うがっ!?」


まあ、普通に我慢の限界を超えた。俺はこのお坊ちゃんに特別な課外授業を施してやることを決めて、鉄拳制裁を加える事にした。ああ、懐かしいな。この感触は……。


「な、なにをするか!俺は武田の嫡男だぞ!?殴ってタダで済むと……」


「思っていますよ。何しろ、今のあなたはれっきとした謀反人だ。首をもぎ取って信玄公に差し出したら……そうですな。褒美として甲州金一袋は固いでしょうかねぇ?」


「だ、だれかぁ!」


義信公が叫んだから、階下の飯富殿が梯子をかけてきた。だが、俺はその飯富殿を制止した。これは三条の方様からの頼み事だと言って。


「は、母上の……?」


「そうですよ。あなたのお母上は、あなたと信玄公が仲直りするのがお望みです。ゆえに、某としては先程の謀反を許すわけにはいかないのですよ。例えこうしてそのお体で理解して頂くことになったとしてもですね……」


そして、再び拳を振るって義信公の顔を殴った。逃げようとしたので思いっきり尻も蹴飛ばした。馬乗りになって襟元を締め上げて、とにかくこれから信玄公の元へ行って、謝りに行けと命じた。


「だ、だれが……」


「俺も一緒に行って謝ってやるからさ。つべこべ言わずに行くぞ」


拒否は一切許さない。返事は「はい」か「YES」の二者択一だ。あ……この時代は「YES」はなかったな……。


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