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婚約者に裏切られた田舎娘は、異国の地で獣人に甘やかされる  作者: にのまえ


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二十四 ルース村

 ルース村に着いたのは真夜中だったから、近くの街まで戻り宿屋で一泊した。朝方、私たちは街を出て村近くの町で荷馬車を預け、歩いてルース村に向かった。


「ティー、ルース村にもうすぐ着く?」


「はい。あの前に見えてきた門が、村への入り口です」


「あの門か……フウッ、緊張してきた」


「レオさん、私もです」


 二度と戻らないと決めて、一年前以上にこの村を出た。でも、行き着いたエルデ国で素敵なレオと出会い、私は彼に恋をした。


 今回の帰郷はレオの紹介と『レオさんと今度、結婚します』と、両親に報告するためだ。


「レオさん、この先がルース村です」


「長閑でいい所だ……そうだ、ティーに正式名称を教えるね……調べた所。このあたりを収めている国はサウザント国と言うんだ。その最北にあるマント男爵が所有するルース村がティーの実家だね」


「え、詳しく調べてくれてありがとう、レオさん。この辺りはサウザント国という国が収めているのですね。十八年も住んでいたのに全然知らなかった」


「ティーは十八歳なるまで、村の外に出てことがなかったんだね」


「はい、両親が早くに亡くなり学校に余り通えず、十三歳の頃から働いていたので……」


 リオンと婚約して彼の実家のパン屋で働く前は、知り合い農家の収穫のお手伝い、草むしり、家の掃除などをしていた。


「そっか、ティーは一人で頑張ってきたんだね。これからは俺がティーに苦労はかけない。守って、愛して、たくさん楽しい毎日を過ごそう」


「はい、私もレオさんをたくさん愛します。愛なら負けません」


「言ったね、俺だって負けないさ」


 住んでいた家に帰る前に、村外れにある両親のお墓参りに行こうと、レオと手を繋ぎ村の門を越えた。


 出て行くときは悲しくて、苦しかった。でも、それすら忘れてしまうほど、レオとの出会いがあった。私を森で助けてくれた金色に光るモフモフ毛玉は、いまは愛してやまないモフモフ。


 この繋いだレオの手は何があっても絶対に離さない。私の手に力が入ったことに気付いたのか、レオは私を心配した。


「ティーどうした、怖いのか? 怖いなら帰るか?」


 心配そうに見つめる瞳に首を振り、見つめ返して微笑んだ。


「ううん、レオさん、早く両親に報告しに行こう!」


「あ、ティー、いきなり走らない」


 ここを出たときは十八歳になったばかりだった。そして、私は違う国で十九歳になり後半年で二十歳。


(二十歳になる前にレオさんと結婚する)







 私たちはなるべく村の人に会わないように、村の中を通らずルース村の外れの墓地を目指した。ここにある両親のお墓は一年以上放置したから荒れてしまっていると思っていた。


 しかし、私の目に映るお墓は雑草一つもなく、綺麗に磨かれていて、枯れていない花が生けてある。


「嘘、誰かが両親のお墓の手入れをして、いてくれたみたい」


「うん、そうみたいだね。綺麗だけど、少しだけ掃除をしてから挨拶しよう」


「はい、レオさん」


 私たちは花と掃除道具を持ってきていたので、近くの小川でバケツに水を汲み。両親に帰ってきたと報告しながらお墓を掃除した。


 持ってきた花を置き、レオは着ていたコートを脱ぎ、元のライオンの姿になった。


 彼は胸に手を置き、ゆっくり頭を下げた。


「ティーラさんの両親シラカさん、カリアさん初めまして。俺はティーラさんとお付き合いをさせていただいています、エルデ国に住む獣人族のレオと言います」


 お墓の前に二人並んで立ち、レオは私の両親に挨拶をした後、もう一度深く一礼をした。


「俺はあなた達の大切な娘――ティーラさんを愛しています。守り抜き、大切にします。ティーラさんを幸せにします、どうか、俺と結婚させてください」


「私からもお願いします。お父さん、お母さん私の大切なレオさん素敵な人でしょう? 私の大好きな人で、愛した人で、可愛い人なの」


「可愛い人か……ティーラさん、ありがとう」


「ふふっ、レオさんにティーラさんと呼ばれると、なんだかドキッとするね」







 ルース村の外れ、私たち二人は両親に結婚すると伝えていた。隣のレオが何かに気付きピクッと反応した。しばらくしてカツカツと、こちらに近付く足音が聞こえた。


 その足音は村の墓地の中を通り、私たちがいる両親のお墓に向かって来ているようだ。レオは半獣の姿に戻りローブを羽織る。


 この領地に住む村人達は獣人族を見慣れていない。お墓に来た人を驚かせないようにする為だ。帰ろうとしたとき、カツカツと聞こえていた足音は私たちに気付き、手前でその足音を止めた。


「あ、ああ、嘘。……あなた、もしかしてティーちゃん?」


 その人が発した声はとても懐かしい声だった、振り向くとそこには花を持ち、掃除道具を持ったリオンのお母さんがいた。


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