十五 ワンピースとヘアピン
レオは笑い"ティーさんは俺のたてがみを撫でるの好きだもんな"と、これは意味ありげなことを言った。
「え、私がレオのたてがみを撫でるのが好き?」
その話を聞いてみると、
「隣で寝ているときに、俺に抱きついて触ってくるよ」
と、レオはサラッと言った。それを聞いた私の頬が真っ赤になったのは言うまでもない。私は寝ているときに!そんなことをレオにしていたなんて。
「ごめんね」
「謝らなくていいよ、俺もティーの髪を撫でているから、おあいこだね」
と、お姫様抱っこをしたまま笑った。
「ティーさん、ここが服をくれたのリコの洋服店だよ」
私を下ろして、レオはカランコロンとドアベルを鳴らして店に入って行く、私はその後について入っていった。
「いらっしゃい、あらレオ来たの? ん、んん? 隣に可愛い子連れちゃって、まさかその子が?」
「そうだよ。この子が前に話をしたティーさんだよ」
「ティーラと言います。リコさん、この前はたくさんのお洋服をありがとうございました」
リコは黒髪、丸いモフモフの耳と長い尻尾のお姉さん。少しレオより年上の感じがした。
リコはにっこり笑い。
「いいんだよ、今日のワンピース似合っているね。尻尾穴のライオン素敵だよ」
「本当ですか、ありがとうございます」
アップリケを褒めてもらった。
「リコ、頼んでおいたもの出来てる?」
「ああ、バッチリだよ。ティーさん、こっちに来て」
リコに手を引かれて、店の試着室の前に連れて行かれた。リコは私に"ちょっと待っていてね"と店の奥に入っていく前に。
「そうだ、レオはまだ見ちゃダメだから、反対側を向いて」
「ああ、わかったよ」
レオはリコに言われた通り背中をこっちに向けた。でも尻尾がフリフリと左右に楽しげに揺れている。
「レオったら、すごく期待してる」
「あたりまえだ、期待してる」
二人の話についていけず"なんの期待?"と首を傾げていた。お待たせと、奥から戻ったリコは私に真新しいワンピースを手渡した。
「そのワンピースを試着室で着替えてみて、後ろのファスナーは私が締めるから」
「は、はい、おねがいします」
リコに背中を押されて試着室の中に入る。いまリコに渡されたワンピースは、少しデザイン違う尻尾穴のない真っ白なワンピース風ドレスだった。
あの日、レオが私のワンピースをやぶいてしまったのを気にしていたんだ。
「ティーちゃんに渡したそのワンピースはね、レオがデザイン、生地、レースまで全て選んだ物なんだ……まだ、できるまでもう少し、時間はかかるけど着てみて」
(レオがこれを?)
私はドキドキしながら、そのワンピースに袖を通した。後ろのファスナーを止めてもらうのにリコを呼んだ。可愛い、髪型も変えようも、サイドを編み込みアップにして、ドレスと同じ白い花の髪飾りを付けてもらった。
ワンピースのサイズはぴったりで、前よりも生地が良くてデザインが素敵。
「レオ、ティーちゃん終わったよ」
呼ばれてレオがこっちを振り向いた。彼の瞳が上から下まで動く、もう一度動き、嬉しそうに笑い"うんうん"と何度も頷いた。
「いい、可愛い、ティーさんに似合ってる」
「ありがとう、レオさん」
あまりにも真剣にレオがみるから照れてくる。
でも、可愛いといわれるのは嬉しい。
「レオ、こっちに来て」
リコがレオだけを手招きして呼んだ。二人で背をこっちに向けて何か話して。
「それいいな、そのまま進めて」
「わかった、それなら、もう少しレースを付けて派手にしても良さそうね。コッチができてから取り掛かるよ」
レオは楽しそうに頷いた。
「全て、リコに任せるよ」
「任された、出来上がったら連絡するわね」
「楽しみに待ってるよ、今日はありがとな」
「ありがとうございました」
"またねっ"と、リコにワンピースと髪飾りを返して、元のワンピースに着替えてお店を後にした。次は裏通りの雑貨屋さんに行くらしい。
少し路地の奥。
「ここだよ」
扉を開けた店内には、可愛い雑貨が所狭しに置かれていた。元いた村や町にはないお店であっちを見たり、こっちを見たりと目を輝かせていたら。レオに"レジにいるから気に入ったのがあったら持っておいで"と言ってくれた。
(こんなに可愛いものがある中で選ぶの?)
そうだ、前から髪留めが欲しかったと白い花のヘアピンを二つ選んで、レジでモグラの店主さんと話をするレオの元に向かった。
「レオさん、決めました」
と、白い花のヘアピンをレオに見せた。
「うん、可愛い。ティーさんに似合うね。あとは? 他に欲しい物ない? もっと選んでもいいよ」
「そうだよ。レオはお金持ちだから色々買ってもらいなよ」
もっと選べと高い物を選べと、ここの店主さんまで言い出した。
でも私は。
「私はこのヘアピンが欲しいです。……あ、あの、レオさん、また、お時間があるときにこのお店に連れてきてください」
「この店気に入ったんだね。わかった、また来ような。モコ、これを包んで」
「ありがとうございます。変な人間だな、もっと高い物をたんまりと、レオに買って貰えばいいのに」
「私、こんなに可愛いお店に来たのは初めてだから、一回だけでは勿体ないです」
「そう言ってくれると、嬉しいね。またレオとおいでよ」
「はい」
あと、これには言えない下心もある。何度もお店に来るということは……何度もレオとお出かけができるということ。
「ティーさんのお気に入りの店かできたね。じゃ、時間ができたら、また来ようね」
「はい」
レオに白いヘアピンを買ってもらい、モコの雑貨屋を後にした。




