十二 お出かけが楽しみなレオとティー
レオの胸に引っ付いて寝る日々。それを幸福だと感じはじめた。彼と出会ってから半年近くが経ち、レオは優しくて微笑むと可愛い。
このままレオとの暮らしが続けばいいな。
「ねぇティーさん。今日から三日後ぐらいになるけど、王都に日用品を買い付けに出かけない?」
「王都にですか?」
「うん」
ある日の朝、朝食のときにレオが提案した。
普段の買い出しは近辺の町まで、一緒に出かけているけど、王都に行くのは初めてのことだ。
「ティーさんに僕の仕事場と友を紹介するよ」
「はい、行きたいです」
「じゃ、決まりね」
とは言ったものの。レオは休みを取るために自室で書類整理をしたり、それを持って王都に行ったりと慌ただしい。今日も夜遅くまで書類の整理をしていた。
「レオさん、余り無理をしないでください」
頼まれたコーヒーとサンドイッチを机に置くと、レオは書類を置いて、コーヒーを手に取り微笑んだ。
「全然、無理なんてしてないよ。ティーさんとのお出かけが楽しみで、元気が有り余ってるくらいだ」
「私もです。明後日のレオさんとのお出かけ楽しみです」
レオは書類の整理に戻り、私はクローゼットから水色のワンピースを出してドレッサーに座った。
(でも、ここで作業をするのは迷惑かな?)
彼の仕事の邪魔をしたくなくて、裁縫道具を持って部屋を出ようとして止められて"僕のことは気にせずに、ここで作業すればいいよ"と言ってくれた。
静かな部屋の中で書類にペンを走らせる音だけが聞こえた。その音を聞きながら私はお出かけに着る、バックリボン付き、水色ワンピースの尻尾穴にアップリケを縫っていた。
もちろんデザインは決まっている。あの後からも練習は重ねたけど上達はしなかった……だから、気持ちを込めて一針一針丁寧に縫っていた。
分からないところは彼を見ればいいと、書類に目を通す、レオをチラ見していた。
(ドキッ)
いつもとは違うレオの雰囲気に心を奪われた。料理や掃除をする姿も素敵だけど仕事中のレオも素敵。 そんな彼から目が離せずに眺めていた。カサっと書類を置く音に"アッ"と我に帰ったけのだけど、彼と視線がかち合う。
(レオに見てたのバレちゃった)
と、焦る私に、彼は微笑んで優しい言葉をかけてくれた。
「ティーさんどうしたの? 疲れたのなら先に休んでいいからね」
「は、はい、もう少し進めたら寝ます」
「うん、わかった」
レオの視線が書類に戻り、ホッと胸を撫で下ろした。びっくりした、あまりにもレオを見過ぎちゃってた。
もう一度だけソッと彼を見て、私はキリの良いところまで進めようと針を持った。
♢
作業に戻ったティーに、レオは書斎机でドギマギしていた。な、な、なんだ、ティーのあの可愛い表情はなんだ。俺を見ながら頬を赤めて微笑んでいた。
これは気を抜くと顔がニヤける。
(ダメだ、集中できない)
レオは書類に視線を戻したのではなく、赤くなった頬を書類で隠していたのだ。数分後、気分を落ち着かせて仕事を再開させたのだった。
互いに集中していた。
そんなとき。あ、また聞こえた、時折部屋に聞こえる彼女の鼻歌に、アップリケを楽しそうに縫う姿。ティーも俺とのお出かけを楽しみにしているんだな。
今度は喜びで、尻尾が止まらなくて困る。




