反撃の狼煙
『おいお前』
声が聞こえた。
誰の声か、一発でわかった。
『お前、まさかもう勝てないからって諦める気か?』
ああ、そうだ。俺には人からもらったものしか無かった。
もらったもの全部奪われて、初めてわかったんだ。
俺は最初から、何も無くて、誰にも勝てない。
今、再度認識した。俺はこの世界で最低辺の弱者なんだって。
最初に理解したのは祝福の儀式の時だ。
カッ カッ カッ
『お前には、人からもらったものじゃないのもあるだろう。
例えば、今まで変わらなかった復讐心に、前世の記憶が一部しか回復してないのにあらゆる物事に対し、12とは思えないほどに難しい知識を出すその頭も。
これだけじゃない。お前が持ってる爺さんの技。これだってお前が掴み取ったものだ。』
だから、なんだ。お前が言っているに復讐心はあいつに縛られた。爺さんの技はあいつに通用しない。
俺の持っている知識も、こんな状態じゃ何も役にたたない。
カッ カッ カッ
死の時が迫る。
『お前はバカなのか?いや、何故この時に考えるのをやめる?
面倒くせえが、一から十まで教えてやる。
いいか!よく思い出せ。お前の才能は今封印状態じゃない。』
は?何言ってる。俺の才能は封じられたんだよ。
『違う。確かに封印はされた。でも、忘れたのか?お前の才能系統は破壊。封印を破壊したんだよ』
いや、それなら封印される前に封印を壊せていたはずだ。
むしろ感情での強化でそっちの方が強かったはずだ。
『もう一個思い出そうか。俺と初めて会った時、お前は才能を十分に扱えてなかったよな』
ああ。
『で、俺はこう言ったはずだ。お前の破壊の力が俺と神との契約の一部を破壊した、と。』
確かにそんなこと言ってたな。
カッ カッ カッ
『ここまで言えばわかるだろ?』
感情を奪われて封印が解けた。
扱えていない才能が神との契約を破壊した。
扱えていない?
扱えていないならば感情が、介入することは無い。
つまり──
カッ カッ
「さて、まあまあ楽しかったよ、アデルくーん。死んだらまた僕が僕の玩具として生き返らせてあげるからね、嬉しいでしょ?」
不快な声が真上から降ってくる。
「じゃあなぁ!アデルゥ!」
見なくてもわかる。空気を切り裂く音が、繰り出された攻撃の威力を教えてくる。
当たれば俺は必ず死ぬ。
だが、当たらなければ問題は無い。
反転。メルクを正面に捉え、突き出されている左腕を脇に挟む。
血が迸るが無視してメルクの左腕を固定。
そして、
特大の咆哮を放つ。
──俺の才能は、メルクにもらった力が逆に枷になっていた。
感情という枷を無くした今、俺の力は神をも超える。
「な!さっき封印したはずだぞ!」
「さあメルク。こっからが俺の逆襲だ!」




