廃都
異人王国とハイル王国の国境線にあたる大森林を破壊し、
東に東に進んでいく。
「がぁ...」
バルカス領か...。
いや、何を感傷に浸っている。ここにいるやつらも、みんな俺の敵だ。
蹂躙する...!
バルカス領を軽く囲む外壁を蹴り壊し、近場の家々から踏み潰していく。
領内は、阿鼻叫喚となった。
破壊の嵐が領内に吹き、それに俺の咆哮が乗る。
領主は殺した。後はパルツィ家、教会──いや、
考えるのはもういい。
俺ができるのは、殺戮と、破壊だけなのだから──。
「グォォオオオオオオ!」
一際大きく、吼える。
これが、直接お前らに叩きつける、宣戦布告だ!
地面が爆ぜる。
頬を撫でる風が気持ちいい。
そして、足元で鳴る、崩壊の音も。
辺りの家々を蹴り、爆散させ、引き裂く。
「ガァァァアアアアアア!」
十分と持たず、バルカス領は血に沈む。
ここからなら、王都まですぐだろう。
「待ってろ」
ラルク領、サーズ領、バルーニャ領──
王都周辺を囲むように位置する、各領地を次々に潰していく。
何故か。援軍を送られないようにする為だ。
俺は才能の制御ができるようになった。が、この才能の全てを理解できた訳じゃない。
もしかしたら使用回数に制限があるかもしれない。
使用時間が決まっているかもしれない。
そういった場合、想定外の出来事で足場が容易に崩される。
だから、安全に、かつ速やかに周囲の危険を排除し、
本命を叩く。
「残るは王都」
俺の仕返しは、気に入ってくれるだろうか?
「魔障壁?くだらない」
ガラスが割れるような音を鳴らし、王都を守る最大の防壁、
魔障壁を破壊する。
それに続く、第二の石壁も容易く破壊する。
そしたらほら──
「王都にこんなに簡単に入り込める」
気づいたことだが、才能使用中でも、咆哮と人語、区別ができるらしい。
まあそんなのは些細なことだ。
王都の人々が、俺を見上げている。
その瞳に映る感情は、恐怖。
今、その感情を消してあげるからな。
地面を殴り、壁を蹴り壊し、瓦礫と血の雨を王都に降らす。
ここでも城の周囲を潰していく。
魔法が飛んでくる。
難なく破壊し、飛んできた方向を見る。
ああ、いた。
一足でその場所へ詰める。
「今日がハイル王国の王子が産まれる日だと知っての狼藉か!」
そいつは、王城の展望台から、こちらにそう叫んだ。
「知らねえな。それよりも、仕返し、しに来てやったぞ王様」
口角を釣り上げ、目の前の人物──ハイル王国国王に向けてそう言う。
「仕返しだと?」
疑問形...あの程度のことなど覚えて無いということか。
なら──
王城を破壊する。ただし、まずは屋根だけ。
王の正妻を見つけたら王だけ残して後は全て破壊する。
そして王の前で正妻を殺し、父親と同じやり方で王を殺す。
そしたら新しい王子を殺してメルクの元に行く。
「ちょっと待ってろ」
予定通り屋根を破壊。出産間近の女を見つけ、産む前に攫う。
そばにいたたくさんの老若男女は、ついでに斬り殺す。
女を拐った手で王を握りしめ、蹴り、踏み、王城を破壊する。
王城の残骸の上に二人を投げ捨て、才能を解く。
「あ、アデル...?」
信じられないと言った顔で王が言う。
「そうだ」
「馬鹿な!メルク様の天啓では、お前は死ぬはず──ぶっ!」
歯を砕く。
「それ以上勝手に喋るな」
メルクの名を聞くだけで腹立たしい。
「聞かせろ。メルクから啓示が来たんだな」
今回のこれがなぜ起こったのか知りたい。
「そ、そうだ!」
「内容は?」
「私の失敗作は今北にいる。南の亜人と協力して殺すといい。あれは存在してはいけない。私の代わりに滅ぼしてくれ──」
どこか恍惚とした表情で話す王が不気味だった。
「もういい」
失敗作...。存在してはいけない。
「そうか、そこまで言うか。」
「だから!貴様は今ここで死ねぇ!」
どこに隠し持っていたのか、短刀を俺の胸目掛けて突き出してくる。
「悪いな。死ぬのはお前だ」
突き出した腕の肘を逆に極め、折る。
そのまま地面に顔からダイブさせる。
「まずは精神的苦痛を味わってもらう」
短刀を握り、女の元へ向かう。
「目の前で大切な人が死ぬのはどんな気分だ?」
嗤い、首に短刀を押し当てる。
「や、やめろ!」
それは、本音だろう。
「頼む!俺には何をしてもいい!だが、妻には、手を出さないでくれ!」
必死だ。俺を貶めることしかしてこなかった男が、俺に懇願している。
「ダメだ」
王の顔が悲痛なものになる。
「お前も俺の大切なものを奪っていった。自分の大切なものだけ許してもらおうなんて考えは甘いんだよ」
「そ、そこ──」
「安心しろ。お前の奥さんを殺してすぐ、お前も殺してやるからよ」
首に押し当てていた短刀を横にスライドさせ、首を斬る。
「あ、ああ、あああああ!」
王の叫びが、廃都となった王都に響く。
「うるさい」
指を切り落とす。
一本一本丁寧にじっくりゆっくり。
手の十本が終われば足の十本。
それが終われば短刀で皮を削いでいく。
薄く。薄く。
それをする度に王は叫び、気絶する。
気絶すれば目をくりだし、大腿部を大きく切開し、意識を戻す。
生きている限り、責め苦を味あわせる。
それを繰り返し、5分後。
血の海に二人の亡骸が沈んだ。
「さて、出産だ」
死んだ女の腹を開き、中にいる赤子を取り出す。
息をしない。
もうすぐ死ぬか。
短刀を逆手に持ち、赤子の胸へ突き下ろす。
なんか、微妙......。




