連合軍
文中での王国というのはハイル王国(アデルの住んでた国)のことです。
異人王国のことではありません。
紛らわしくてすいません。
「さて、メルクに会う方法は見つかった。それに必要な材料にも当てはある。が、今すぐやるわけにはいけない。」
「どうして?」
昨晩、涙を枯らしたのか、今日のキャンデルに躊躇は感じられない。
「まだ、力を使いこなせてない」
俺の目標を達成するにはこの才能を使えなければならない。
「あ、教えるって言ってたけど全然出来てなかったもんね」
アハハとキャンデルが笑う。
「キャンデルのじいさんはどうやって破壊の力を使ってたんだ?」
「んっとね、おじいちゃんはなんか、触れただけで物壊してたんだよね」
「は?」
触れただけで物を壊す!?つまり何も触れないってことじゃ...。
「あ、しっかり自分で壊す物と壊さない物を区別してたらしいよ」
「なるほど...。他に何か知ってることは?」
結局それも自分の才能を詳しく知らなきゃ出来ない。
「あとは...ごめんね、知らないや」
「そうか...」
まずは触れた物を壊すっていうのやってみるか。
「キャンデル、森行かない?」
とりあえず木で試してみよう。
「うん?いいよ」
森は異人王国の東側に位置していて、一番早く夜が始まる場所だ。
「はぁ!」
「てぁ!」
「せぇ!」
「きゃ、キャンデル...こんな感じ...?」
一通り考えられるようなやり方はやった...。
「うーん...おじいちゃんは本当に触れるだけ、なんだよね」
嘘だろ...!?
「はぁ!」
「てぁ!」
「せぇ!」
その後、夜に入っても、明け方になっても、その森でずっと才能
使えるように努力した。
「おつかれ、アデル君」
「う、うん...」
が、才能は使えなかった。
そのまま俺らは宿に帰り、朝飯を食ってはまた森へ、という生活を繰り返す様になった。
そんな生活が続いて2年程経ったある時。
ガンガンガンガン
警鐘が鳴り響いた。
続いてマイクによる放送。
『ハイル王国、亜人公国の連合軍が迫ってきています。
能力者のみなさんは速やかに準備してください。
繰り返します──』
「王国と、公国の...連合軍だと...!?」
何故だ!?公国と王国が戦争せず、何故手を組んで異人王国に来る?
「アデル君、戦争は、どうしたの!?」
キャンデルの驚きの声が耳を打つ。
「わからない。でも、これだけは言える。歴史の流れが、改変された。行くぞ、キャンデル」
彼女の手を握り、門へと足を向ける。
「え...。公国のみんなと敵対するの...?」
それは信じられないものを見たときの目だった。
「忘れたか?俺の邪魔をするなら排除する、と言ったのを」
「そ、そういえばそうだったね...でも...」
まだ憂いがあるか、
「キャンデル、公国じゃお前はもう死んでる事になってるはずだ。今更お前が出てっても意味ねえよ。はみ出し者同士、仲良くやらねえか?」
握っていない方の手を差し出す。
「ふふっ、もう、二年も仲良くしてるでしょ」
俺の手に彼女の手が触れる。
「もう、すっかり割り切ってるな」
「アデル君といるとそうでもしないと一緒にいれないんだもん」
「そうか。じゃあ行くぞ」
「うん」
「ん?君は──」
「僕達も戦えます」
門番の人は、初めて異人王国に来た時に出会った人だった。
「いや、しかし...」
こんな子供を戦場に出したくないんだろう。
「緊急時に、大人も子供も関係ありません。それに、二年間も住んだこの国に、恩を返さなきゃいけないんです」
門番は悩んでいた。
「では、行かせてもらいますね」
その隙に、門をくぐって外にでる。
後ろからああ!と声が聞こえるが無視する。
そして見たのは、地の果てまで続くような、大軍だった。




