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挑発

不思議な感じだ。

才能を持たない俺では受ければ確実に死ぬという魔法が、

まるで俺を避けるように軌道を変え、互いにぶつかり合って消える。

周りからの殺意はしっかりと感じるのに、攻撃が俺を避けていく。

なおも魔法の攻撃は続く。

この世界の魔法は想像の具現化。

高速でそれらを構成する要素を判断し、頭の中で一つの形として創り出す。そしてそれを対象に向けて放つイメージをする。

それができれば魔法の才能がなくとも多少の魔法は使えるようになる。


そして、ここまで止むことのない魔法攻撃は、熟練の魔法士でも無理だろう。

どれだけの人員を投入しているのか知りたい位だ。


そんなことを考えている時、魔法が止まった。


俺は精一杯の悪意を込めて

「あれ?おっかしいな?無傷なんだけど?しっかり攻撃してた?

あれが全力?それとも見かけだけすごいなんちゃって魔法だったの?才能無い人間にかすり傷一つ負わせられない魔法とか実用性あるの?」

そう言ってやる。


「アデル!貴様何をした!」

元父さんが怒鳴ってくる。


「何も?ただ魔法が俺の周りを綺麗に避けて行ってなあ。

俺は見ての通り無傷で今ここにいるんだよ。」

室内が、静まり返った。


「なあ、今俺に攻撃してきたってことは、俺もやり返していいんだよな?」

嗤い、周囲を見渡す。


「できるものならやってみるがいい。ま、才能の無いやつが何をしても無駄だろうがな。」

白髭の爺が鼻で笑う。


「その言葉、後悔しても知らねえからな?」

俺はそう言って、駆け出す。


俺が連れてこられた扉の方へと。


「な!貴様!逃げるか!」

後ろから怒声が聞こえる。


「この場でやってもジリ貧だ!次の機会に今日の仕返しをしてやるよ!」

逃げるが勝ちってな。

意味違うかもだけど。


俺はそのまま城を抜け出し、街に出る。


「さて、どうするかな?」

城を出て街の出口に向かう途中、人々から避けられた。

中には露骨に嫌悪を表してくるやつもいた。

おそらく、神父あたりが俺のことを神を信じる者の敵だとでも言ったのだろう。

正直言って居心地が悪い。

この空間から一刻も早く抜け出そうと思い、歩速を速める。


「どうして!」

その時、右側から子供の声が聞こえた。

俺も子供に分類されるが、俺よりももっと小さい子の声だ。


見ると、五歳位の男の子がこちらに目を向けている。

そしてそのまま近ずいてくる。


「ねえ!どうして!」

その子はどうしてとさっきから聞いてくる。

どうしても何も俺が何をした?と言いたい。

俺はこの子とは初対面だ。何かをしでかした覚えもない。


「何かあったのかい?」

仕方ない。

俺は優しくその子に声をかけた。


「なんでお父さんを殺したの!」


え?

その子は急にとんでもないことを言ってきた。


「君は俺を誰と勘違いしてるんだい?」

俺の身に覚えがない以上、確実に人間違いだろう。


「兄ちゃん以外にいないじゃん!僕見てたよ!お城の中ぱぁって光ったところ。あれ、魔法でしょ!」


ん?それが何か関係あるのか?


「それがどう関係あるんだ?」


「お母さんが言ってた。あれから城から出てきたのは兄ちゃんだけだって。さっきの魔法の光は兄ちゃんが撃ってお城のみんなを殺したんだって。」

母親の言うことを微塵も疑わない。

まあこの歳じゃそれが普通か。


「はぁ。俺は魔法を撃たれた側なんだが?」


「え?嘘、だってお母さん言ってたよ?」

目に見えて慌てだす男の子。


「母親がなんと言ったって事実は変わらないよ。」


「そんな...」

男の子は落ち込んだ。それはもう深く。

周りで見てる大人はなんの反応もなかった。


俺はそれら全てを無視して出口へと歩いていく。

大人はなんの反応もなかった。けど、侮蔑と敵意だけはしっかりと目に浮かんでいた。


この国に、俺の居場所は無くなっていった。

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