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一つの可能性

前から思ってたんですが、この作品、会話多すぎますね笑

「アデル、大丈夫か?」

ランドが駆け寄ってくる。


「ああ、なんとか。」


「なんか急に消えたけど何かわかるか?」


「神とやらが俺が生きることを望んでるんだと。どういう風の吹き回しなのか知らないけど。」

未だ混乱した頭でさっきグラストが言っていた事を簡潔に伝える。


「神が?お前が生きることを望んでる?どういうことだ?」


「俺にもわかんない。」

神は俺に『才能』を与えなかった。その代わりとしてこの世界の生き物に俺を殺させないようにしたのか?

それとも、『才能』を与えなかった人間がどう生きていくのか眺めるために、それこそ、娯楽のために、俺を生かしてるのか?


「アデル?」


「あ、ごめん。とりあえず今は何もわからない。」


「そうか。もう休むか。その体じゃ何もできないだろうし。」


そう言ってランドは野宿の準備を始めた。




「なあランド。ここから異人王国に行く途中に大きな街とかないか?」


「ん?大きな街か?」


今は野宿の準備が全て終わり、焚き火で暖をとっている。


「んーゴルデラならあったと思うぞ。」


「ゴルデラ?どういった街なんだ?」


「あそこは絶対に行かない方がいいって言われてる街だ。

あそこの街は弱肉強食。強い者が覇権を握り、弱い者は淘汰される。無秩序の鏡の街だよ。」


その説明を聞いてゾッとした。

この世界での強さの指標は『才能』だ。

そして、俺はその『才能』を貰えなくてここまで流れてきた。

そんな俺がその街に入って『才能』がないとバレたら?

間違いなく排除される。あの神父の様に大量の人の前で時間をかけて殺すのではない、わかった直後にはあの世行きだ。


「メルク教徒は?どのくらいいるんだ?」


「確かあそこは全員がメルク教徒だ。」


それも、そうか...。メルクが与えた才能でその中で生きられてるんだからそうだよな。


「お前、まさか行こうと思ってたのか?」


「...」


「行こうと思ってたんだな...。やめとけ。俺ならともかくお前が行けばどうなるかくらいわかるだろう。」


「俺は、一つ信じたい可能性があるんだ。」

さっきの、グラストの言っていた神が俺を周りから守ってくれる可能性だ。


「それとゴルデラに行くことにどんな関係があるんだ?」


「別にゴルデラじゃなくてもいいんだけど。

もしかしたら、俺の今の立場を、元の状態に戻せるかもしれないんだ。」


「どういう、ことだ?」

ランドが眼をはって聞いてくる。


「俺もよく理解できてないんだけど。

もしかしたら、俺が今こうやって逃げ回ってるのはメルク教信者の暴走が原因かもしれないんだ。」


「ん?そいつらの暴走でお前が追いかけられてるかもしれない今の状況をどうやって元に戻すんだ?暴走してるんだ、平常時よりももっと難しいだろ。」


「まあ、そうなんだけど。俺が言いたいのは、神メルクが俺を殺せとみんなに啓示したわけじゃないだろう?勝手に信者たちが俺を神の反逆者だとか言ってるだけで。」


「まあ、そうだろうな。神から啓示がきたって話は聞いてない。」


「なら、神の本心は分からないわけだ。」


「あ、つまり、アデルを殺すことが神の望んでいることではないって広めればいいのか!」


「そう考えたんだけど、どうだ?」


「いいんじゃないか?おかしなことは言ってないはずだ。」


ランドが賛成の意を示してくれる。


「じゃあ、協力、頼むな。」


「任せろ。じゃあ一旦ラルク領に戻るか。」


「わかった。」

今後の方針を一時的に決め、その日は終わった。

評価をつけてくださると今後の執筆のモチベがあがるので、もし続きが気になる、面白い等思われましたら評価をつけてくださるとありがたいです。

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