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取引

「私はあなたを含めたプレイヤーたちとこの仮想世界は存在意義があると思いました。あなたの記憶からこの世界の創造主はとても素晴らしい人でこの世界は大事なものだなと。ですから私は本当ならこの世界とあなたたちを滅ぼしたくはないんです」


「はあ」


わざとらしくこの世界や父のことを褒めるから何か企んでいるのではないかと疑っていると、やはりその通りだったようだ


「なのでここは一つ、取引をしませんか?」


「私に何をくれるの?」


「あなたには、あなたたちには自由を差し上げます。取引に応じていただけるならば私はもうこの世界を滅ぼすことをやめて別の世界に行くので、ここで平和な生活を送ってください」


「それはとても魅力的だけど、それで、あなたは何が欲しいの?」


「私も自由が欲しいですね。誰かさんが私の本体の通信を断ったせいでこの世界から出られなくなってしまったので」


その誰かさんはおそらく真衣たちのことだろう


無事に遂げられたことにホッとしつつそういえば会長と奈々さん、それにゲイツに飲みこまれた人たちの安否がやっと気になる余裕ができてきた


「私以外の飲み込まれた人たちは無事なのよね?」


「ああ、無事ですよ。恐らくあちらの方で眠っているんじゃないですかね」


それを聞いて私はそちらへ駆けてくと横たわる人影が多数見えた


1番手前にいたのは会長だった


すぐに何か変なことをされてないか調べてみたが大丈夫そうだ


みんなの無事にホッとしているとこの部屋の壁がクリアファイルごしに見た景色のような、薄っすらと見える外には先程まで私たちがいた城が見えた


ただ先程までとは違い、上の方は何かでえぐり取られたように消失していた


この景色から判断するに、私は今あのドラゴンの体内にいると推測できる


「気づきました?この中は本来なら存在しない空間なのでワープできないんですよ。まあこの世界の管理者ならばプログラムを書き換えて脱出できたんでしょうけどあなたはもう持っていない。ますますあなたは私との交渉に応じた方が良いと思いますがね」


確かにここはゲームとはかけ離されているため魔法も使えないからどう頑張ってもこいつには勝てないだろう


私たちが生き延びるためには交渉を受け入れるしかない





それでも私は、みんなに悪いけれど、私が犠牲になってでも、日本国民、そして地球上の人類を助けたい


私がいなくなっても真衣が弱体化してくれてお父さんたちがトドメを刺してくれるだろう


「悪いけどあんたみたいな愛のないAIを生かしておく訳にはいかないのよっ」


「そうか、それは残念ですね。この世界は割と好きだったんですけどね、消させていただきます」






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