会議
どうやらあの化け物はゲイツが化したものらしい
大至急解析していた大人たちはAIの成長スピードに驚愕しながら鼻息を荒くして説明してくれた
私はあの偉大な研究者の娘だからなんのつっかかりもなく理解できたが、専門用語のオンパレードに会長と奈々さんは初めは頑張って理解しようと努めていたけれど次第に意識がどんどんどこか遠くへ行ってしまったようだ
「とにかく、このままではプレイヤーが全滅せるのも時間の問題です。何か手を打たないと」
「まあゲイツは下の層から食い尽くしているようだし、みんながいる8層まではまだ時間がかかるだろうから、それまでに真衣たちが解体してくれるのを祈ろうか」
1人だけまったりとコーヒーを飲みながら慌てふためく私たちを見物している父は悠長なことを言うが、それどころではなさそうだ
「ゲイツが、8層を吸収しだしました。すでに8名ほどプレイヤーが飲み込まれています」
「なにっ!?どうする安達」
不測の事態に皆父の発言を待っていた
あの天才と呼ばれる安達なら何か解決策を提示してくれるのではないかと期待していた
しかし私は父がそんなことを言うような人間じゃないことを知っている
どうせ意味のわからないことを言ってみんなを困惑させるだけで終わるだろう
「いやー、AIってのは賢いんだねえ」
皆手を止めて父を注視する中、父が放ったのは案の定大した言葉ではなかった
「私が、現地に行って時間稼ぎしてきます。あいつを攻撃しまくれば少しは吸収の邪魔はできると思うんです」
「いや君が行ってもしやられてしまったらこの世界は本当に奴のものになってしまうぞ?」
「じゃあこれならいいでしょ?」
私は可視化した管理者権限を机に置き、父に差し出した
「このゲームの管理者として、安達聡をこのゲームの管理者に任命します」
問答無用で権限を父に送りつけ、私は晴れていちプレイヤーに成り下がった
今の私ならやられようがこの世界の存続に影響ない
「奈々さん、会長、行くよっ」
2人の手を掴んですぐさまワープして8層へ向かった
「...やっぱり俺の娘だな」
しみじみと娘の成長を感じる父親のような顔を見せるがすぐさま指揮官としての顔へ切り替える
「今から自分の指示に動いてもらう。これは恐らく最終局面に近づいてるから、もう少しだけ頑張ってくれ」
物静かな者が多いプログラマーたちがこの時ばかりは誰よりも熱く燃えさかっていた




