坂本ですか?
「何、あれ?」
私の護衛をしてくれている会長が、カーテンの隙間から何かを見つけたようだ
見てみるとカーテン越しにわかるくらい明るかった外が日が沈んだみたいに暗くなっている
ここ数分AIからの攻撃が止んでいたから少しくらいいいかと画面とのにらめっこをやめて窓に近づくと、そこには、闇に染められた巨大な漆黒の生き物なのか物体なのかがこのワールドを飲み込まんと口を大きく開けて建築物を咥え出した
「まさかあいつ、この世界ごと消し去る気じゃ?」
すぐに調べてみるとオブジェクトたちが本当に消えてしまっているのがわかった
幸いまだ誰も飲み込まれてはいないようだがこの層には何十人ものプレイヤーがいる
「とりあえずみんなをワープさせるから、会長は奈々さん呼んで来てください」
「わかった!」
とりあえずみんなを別の層のどっかへ飛ばし、今いる建物の周りを巡回中の奈々さんを連れ戻して私たちは3人で本部へと向かわなければならない
圭太たちが居なくなって数時間、早くも局面を迎えたようだ
あーしてこーしてっと、よし、これでいけるはず」
真衣がキーボードを叩いて何か弄ってロックを解除したようだ
プログラミングとかよくわかんないけど中学生でこれだけ素早くできるってのはきっとすごいんだろう
姉のために必死で練習したのかと思うと意外と健気でいい子だなとしみじみ思う
「これであいつを動かしているコンピュータのある部屋が開いたわ」
「あ、ああ」
真衣は少しテンパった自分を不思議に思うも話を続けた
「あとは私がそこへ行って色々設定をいじって弱体化させて、あっちでお姉ちゃんたちがとどめを刺してもらってそのあとみんなを強制ログアウトさせてあっちの世界をAIだけにしてこの世界のコンピュータを破壊してやつの存在を仮想空間諸共消しさる。そしてみんなで現実世界へ帰ってお終い、わかった?」
よくわかんなかったが2人してとりあえず頷いた
「だからこの世界でやることは私1人でできちゃうんだけど万が一のために2人のどっちかだけ残って護衛して欲しいんだけど、どっちが残る?」
坂本1人でなんとかなるとは思えないし、残りたがらないだろうからおれが残ろうと手を挙げようとしたら
「おれが残る。だから圭太はあいちゃんのことを助けに行ってやれ」
「さ、さかもと?」
こんなにも坂本が頼もしく見えたことがあっただろうか
「ほら、さっさと行ってこい」
「ああっ」
どうやって戻るかなんて考えずとりあえずおれは走り出した
「さっき入ってた機械に入れば戻れるから」
おれの考えを見透かしているのか、真衣が方法を大声で叫んでくれたからなんとかなりそうだ
待ってろよ、あい。
今助けに行くからな
「あの2人には幸せになって欲しいなほんと」
坂本は目を潤しながら圭太の背を見届けた
「あーあ、坂本くんじゃなくて圭太くんの方が強くて頼もしかったんだけどなー」
真衣はそんな感動的な場面をぶち壊すように本音をぶっちゃけた
「はあ!?」
「さあ、私たちも行くよ」
「お前、言っていいことと悪いことがあるだろ」
「中学生にはわかりませーん」
果たしてこんな2人で世界を救うことができるのだろうか




