一般生徒の実力
「早く行かないと、誰かがやられちゃうよ」
「わかってる。だけどツリーまでワープできないのっ」
何度も連打してワープを実行しようとしているのにどうにもうまくいかない
「もしかしてアイテムを捧げたパーティーしか戦闘できないとか?それであのサンタのまわりが侵入禁止アリアになっててワープをできないのかも」
「それは、あり得るね。じゃあもう走って行こう!」
「ええっ?それはツライ」
「そんなこと言わないっ、会長の命が危ないんだから」
父親がゲームの管理に携わりだしてから明らかに難易度が上がっている
もしかしたら撃破できずにみんながゲームオーバーしてしまうかもしれない
この攻略の指揮を執る会長ももしかしたらやられてしまうかも...
「それはさせないっ」
いくら死なないとわかっていても、このゲームが終わるまで会えないなんて悲しすぎる
妹の腕を無理やり引っ張り走りだした
一生懸命走ったはいいけど、雪道を走ることに慣れなさすぎて15分もかかってしまった
しかしサンタの姿は消えていない
微動だにしないサンタの姿が薄っすらと見えている
「だめだ、これ以上近づけない」
あと100メートルの地点でよく見ないとわからない半透明の壁が存在し、私たちの侵入を阻む
「お姉ちゃんどうしよう??」
「たぶん交戦中のパーティーに入れれば私たちもこの壁をすり抜けられるはず」
急いで壁の中にいるプレイヤーを検索してその人のパーティーに無理やり入ってやる
もしも見つからなかったらそれはつまり...
「誰かいてっ」
実行を押すと、意外にも次から次へとプレイヤーの名前が出てきて画面が埋め尽くされた
「なんだ、いっぱいいるじゃん」
「会長が生きてるかわからないでしょ?」
まだ油断はできない
気を引き締めて迅速に操作して私たちは壁を突破する
壁を抜けた瞬間、街が突如戦場へと化したかのように人々の叫び声、爆破音が鳴り響いている
弓道部が合図に従って一斉にサンタに射撃している
科学研究部は魔法使いを集めて巨大な爆発を引き起こしている
他にも沢山の生徒たちがサンタの足元で剣を振り回している
サンタがどうして微動だにしなかったのかがわかった
みんながサンタを一方的に殴り続けていたからだ
常にガードを強いられたサンタは技を撃つ隙すらなかったのだ
「これは私たちいらないみたいだね」
「そうだね」
私は見くびってらしい
私たちが駆けつけてから3分、サンタは倒れみんなの歓声が上がる
「あれ、2人ともいたの?」
遠くから歓喜の渦を傍観していた私たちに気づいた会長がやってきた
「いやもう会長のことが心配で急いで来たんですよ」
真衣が私のセリフを横取りして会長に擦り寄る
「そんな心配しなくても、私たちだって十分強いんだからね」
久しぶりに見た会長のドヤ顔に私は思わず笑いがこぼれそうになった
「...だから、私たちにもっと頼っていいんだよ?」
会長の私たちには私と真衣は含まれていないようだ
何か私と真衣の正体を見透かしたような悲しげな目に私は唇を噛んだ




