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遺失物

「ゔぅ、ぐすんっ、ごめんね、圭太...」


「ああ大丈夫だって、ダメージそんなに食らってないし」


いくら私があげた激レア防具を身につけているからといって、こっちも最強の杖を装備しているわけで、しかも私の知力は馬鹿高いから普通に痛みを感じたはずだ


懸命に回復魔法をかけ続けたおかげで魔法を喰らう前よりかえって体力は増えているくらいだけど、私が攻撃してしまったことには変わりない


「ほんとごめんね」


「そんな謝んなくていいって、俺も悪かったわけだし」


こんなやりとりをずっと繰り返していると、


「え、何があったの?」


流石に私の帰りが遅かったから真衣ちゃんが見に来た


事の顛末を説明すると


「それはおねえ、じゃなくてあいちゃんも悪いけど圭太がドタバタしてて気づかないのが1番ダメなんじゃない?」


「それは、ごもっともです...」


「だいたいなんで朝からそんなドタバタしてたの?集合時間とっくに過ぎてたのよ」


「それは...そうだった!失くしちゃったんだよあれをっ」


「あれ?」


「あの指輪みたいなやつだよ、昨日もらった」


「あー、あれね」

「あれ失くしちゃったの?????」

「ええっ?」


私と妹のリアクションの差が激し過ぎて思わず驚いてしまった


「そんなにあれすごいものなの?」


私が首につけている同じものを見つめてみるが、特段すごく高級なものには見えない


「あれはね、お姉ちゃんの記憶が保存されているんだよ?だからあれがなかったらもう二度と記憶が戻らなくなっちゃう」


「はあ?なんであんなものに私の記憶を保存しとくのよ?バックアップは?バックアップはとってあるのよね?」


「バックアップとったら外部からハッキングされて改ざんされたり盗まれたりするかもしれないからとってませんっ」


私の大事な大事な記憶がなくなってしまい、はじめての姉妹ゲンカが勃発してしまった


「あれ、やっぱり大事なものだったのか?」


言い合う私たちにとても不安げな顔で聞いてくるから、さすがに本当のことを言うのは気が引けてしまう


「い、いやーそこまでのものでもないかも」


「そ、そうよだいじょぶよ」


「はあ、やっぱ失くしたらまずいよな」


私たちの大根役者っぷりでは残念ながら圭太を安心させることはできなかったようだ


「とにかく見つければいいのよ、ね?あいちゃん」


「そ、そうですね真衣先輩」


この場のどんよりとした空気を打開する機転の良さには姉としても見習わなきゃいけないなと思ってしまうくらい感心してしまう


「それじゃあ、指輪捜索作戦開始ー」


「おーーーっ」


落ち込む圭太を少しでも元気つけるため、私たちは全力でテンションを上げて高らかに作戦開始を宣言した















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