捜索
「ふう、探してみたけど、ないわね」
待たせていた会長たちには先に次の層へ行ってもらい、私たち3人で部屋中を隈なく探したのだが、ベットの下にもソファの隙間にもなかった
「もしかして誰かに盗られちゃった、なんてないよね?」
冗談めかしに私が言ってみると
「そうかもしれない...」
と真衣ちゃんが神妙な面持ちで呟くので本当に盗まれたような気がしてきた
「昨日の夜まで遡ってこの部屋に入ったプレイヤーを調べるからあいちゃんはワープの履歴確認してみて」
「わ、わかった」
もう圭太に見られていることなど忘れてしまうくらい熱中して私の記憶を奪った悪党を探す
だがしかし
「誰もいない」
「こっちも」
すぐに見つかると思ったが、プレイヤーの特定どころかこの部屋にワープしてきたり侵入してきた形跡すら見つからなかった
これはもう圭太がここまで来る途中で落としたかプレイヤー以外の何者かが盗んだとしか考えられない
でもモブキャラにそんなプレイヤーの居住区に入るような芸当は無理だしあの怪しげな仮面は私のお父さんだから違うし
他に怪しいやつなんて...
「いたっ!」
「えっ?!」
「真衣ちゃんあいつだよあいつ、あの胡散臭い神父だよ。あいつみたいにCPUのフリをした人間が盗んだんだよ」
「あー、そんなやつもいたような?」
「とにかく調べてみる」
検索対象をプレイヤーからCPUに切り替えて調べる
「あの、さっきから何やってるんですか?」
「えっ、うん、これはね、まあ人探し的な機能を使ってるんだようん」
「へー」
常人にはできてはならないことを、このゲーム内のログ解析をしているのを圭太に見られていたのを思い出しギョッとするも、私たちがやっていることの凄さをちっともわかっていない圭太には見られたところで大丈夫だとわかり、なるべく怪しまれないように無難な答えをした
そんなやりとりを聞きながらも私のタイピングは遅くなるどころかぐんぐんと加速していく
今までは自分が人工知能だと思っていたからできて当然だと思っていたこれも実は人間だとわかったことで自己肯定感が増して自分スゲーという快感が脳内を埋め尽くしていく
「見つかった。シリアル番号送るね」
「おっけー、まかせてね」
この部屋にやってきたコソ泥の正体を真衣ちゃんに送り、そこからコソ泥がどんな経路を通ってきたか、盗んだあとどこへ行ったか、今どこにいるかを真衣ちゃんが調べ上げる
「居場所がわかったよ」
拡大されたビジョンの前に私たち3人の前に1層の一部が拡大される
「行くっきゃないよね?」
「もちろん」
姉妹の想いは一致していた




