救出へ
「みんな、話を聞いてっ」
会長の通る声を聞きぞくぞくと人が集まってきた
「私たちの仲間がダンジョンで危険な状況になっています。だから、みんなの力を貸して欲しいの」
みな何か話しているだけで誰も名乗り出ようとはしない
「お願いっ、このままだとみんな死んでしまうの」
「俺たちでよければ」
そう言って現れたのはあのサッカー部の面々だった
1番先頭の馬場先輩と目が合うとさわやかにはにかまれて思わずうっとりしてしまう
馬場先輩はめちゃ強かった印象なのでこれは心強い仲間が増えて会長もさぞ喜んでいると思ったら睨みつけていたので見なかったことにした
「英治君、どのツラ下げて来たのかな?私のこと放っておいてさー」
「いやいろいろ大変だったんだって」
すれ違いざまに何か呟いているようだ
「あと他にいない?」
いつもの優しそうな会長に戻ったところで
「私が助けてあげようではないか」
こちらにメガネ集団がやってきた
「無論見返りは求めさせていただくがな」
「えーっと、君たちは...?」
「我々を存じないですか?ならば教えてあげましょう」
敬語を使ってるはずなのにこんなにも不快になるのはなぜだろうと疑問に思うくらいだ
私はきっと彼とは合わないのだろう
「左から、1年生で常に学年2位の渡辺」
この人が2位だったのか
私が1位だから彼は1位をとるのは無理だろうね
なぜなら私は人工知能ですから
「そして部で唯一の文系で文系トップの相良に地理マスターの赤石」
得意教科が地理って初めて聞いたんですけど
「紅一点の副部長森にパッとしない石川と宗形。そしてそして私が、常に学年トップ。化学と物理と数学の偏差値は80越え、この秀才たちを取りまとめる部長の牛島秀雄。そしてそしてそして、我々は科学研究部である」
戦隊ヒーローの変身したあとの自己紹介のようなまどろっこしい紹介に少し苛立ったが
部長さんの自分語りはまだ続く
「第1層では剣を使うことを強制されまったく戦うことができなかったが」
「部長は運動まっっっったくできないですもんね。スポーツテストもビリですよね」
「いやお前去年は確かにビリだったが、今年はビリ回避して下から2番目だったぞ」
(ええ、私より運動できない人初めて見た)
今年は下から3番目だった会長はわずか1番しか変わらないのに非常に優越感を感じており満面の笑みを浮かべている
一方
え、 あのいかにもオタクで勉強できなそーなやつに負けたの私...
牛島からビリの座を奪い取ったのはまぎれもなく私、安達あいだった
「あ、あいどうした?」
そんなに顔が引きつってるのか、となりにいる圭太が恐怖を感じるほどだ
「しかーし、追加された魔法使いならば運動神経がなくても高い知能をいかして敵を倒すことができるようになり、我々科学研究部は最強の魔法使い集団となったのだハハハっ」
「あ、そう。じゃあお願いね」
長々しい紹介を無視した会長は尊敬に値すると思う
「協力するのはいいがその代わりに部費を増やして欲しいのだがよろしいだろうか」
「あーそれくらいならいいよね奈々ちゃん」
「いや私は会計じゃないのでなんとも」
「まあまあなんとかなるよ。他に手伝ってくれる団体でもクラスでも部費や文化祭の予算増やすから助けてくれない?」
「それならやりたい」
「おれたちも」
「私たちもやろ」
続々と金につられて?協力してくれる人たちが増えていき
とうとうレベルの高い人たちが60人も集まった
さすがにレベル低すぎる人は参加させないようにし
(私たちは強いと思われてるんで対象外です)
私たち4人プラス科学研究部部長プラス馬場キャプテンをリーダーとして3チームに分けて指揮をとらせる形になった
会長と奈々さんが女子バスケ部を
圭太と馬場キャプテンが親衛隊を
私とまさかの科学研究部部長が野球部を助けに行くことになった
「ではみんな、生きてここに帰ってくるように」
作戦会議を終え私たちは救出へ向かった




