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主役の座

この物語もはや12話目を迎え


ついに


私が活躍できる予感がする



今回は奈々さんとか圭太みたいな頭おかしい連中がいないし


この10数名の大所帯で1番レベルが高いのがあの科学研究部部長の牛島(敬称略)で30レベだし他の面々も25〜6とそこそこのレベルだがあの2人のようなずば抜けた反射神経とか身体能力をもっている人もいなさそうだし


だからレベル13の私がこのパーティ最強になるのではないか


私の超強力な魔法にみんなが驚く姿を想像していると


「ぐわっ」


最前列から攻撃を受けたときにでる声が聞こえた


いくらパーティのレベルが高くてもこのダンジョンはあの運動神経抜群集団の野球部が救助要請してしまうダンジョンだ


にやけきった顔を引き締め


「負傷者を後ろに下げて、私が回」

「全員下がれっ」


私の言葉をさえぎり意気揚々と前線へ上がっていくのは


「あんの部長っ」


牛島部長の強い号令にみな困惑する暇もなく下がってしまい


敵との距離がじりじり狭まっていく


「ちょっと、1人で行ったらあぶないって」


私の制止を聞く気はなく、1人で敵を全滅させる気だ


「くらいたまえ、科学の力を。ハイドロジェンエクスプロージョンっ」ぽっ


ド派手な演出と厨二くさいセリフの割に放たれたのは小さな火の玉が1つだけだった


どう見ても炎属性の初歩的な魔法でしかなくてこんなのではとても敵を倒せるとは思えない


「っ!もう私がやるっ」


治療を終えてすぐに駆け寄ろうとすると


ズバンっ


強烈な爆風が私の身体を押し返す


もちろん1番近くにいた牛島部長も例に漏れず凄まじい爆風をくらい


「ふははははっ、見たか、これが私の科学だ」


振り返って私たちに誇らかに決め台詞を言い放った


ところどころで小さな拍手がおこるが


髪はくしゃくしゃになってメガネは思いっきりずれているから


私は思わず失笑してしまい


「はいはい、メガネ曲がってますよ」

「なっ?」


慌てて直す部長はあまりにも滑稽であったが


私の興味は彼の魔法に移っていた










あの魔法は魔法使いなら誰でも使える炎魔法であることはログで確認できた


爆発はおそらく水素か火薬か何か物質を利用したのだろう


確かにMPを節約できるけどそれだったらMP回復薬を使った方がめんどくさくないしいいと思うんだけど





さっきのサイエンスショーによりこのパーティの実権は彼が握った


今回こそは主役の座は私がいただくはずだったのに


しかもよりによってあいつがその座をつかんだのが腹立つ


歯がゆい思いをしていた私だが


「あの、安達さん?」


「ん?ああ、さっきの」


先ほどの戦闘で私が回復魔法をかけた男子が私と並走するように並んだ


「さっきはほんとありがとう」


「いやみんな体張って戦ってるし私にできるのはあれくらいだがら。それより体大丈夫?」


「もう大丈夫。それより、あの、安達さんっ」


「はひっ」


急に強めに名前を呼ばれてびっくりしてしまい声が上ずってしまった


「おれと、その、つ、つっ」


「つ?」


おれと付き合ってくれませんか」


「え?」


あまりにも唐突すぎて思考が止まってしまった


「いやいきなりすぎてごめん。でもおれ好きだから。返事はゆっくりでいいから」


「あ、うん」


「ああ自己紹介してなかったね。おれ1-3の長谷川だから。待ってるからね」


「はあ」






ここここここれは、告白というやつじゃないですかっ

いや非常に嬉しいけれどもこんな会ったばかりの人に告白されるなんて


今まで私が圭太とお近づきになるためにこんなに苦労しているというのにこんなあっけなく告白してくるなんて


その積極性を圭太に分けて欲しいくらいだ


その積極性は評価したいけど私には圭太がいるので答えはもちろんノーなのだが


「...言いにくい」


相手を悲しませるとわかっているから答えを告げるのがとてもつらい


ああ、モテるって罪だわ


どうやって断ろうか必死になって考えていると


「おい、あれ」


だれかの声にわれが帰って見てみるとそこには


「あ、野球部」


坊主の集団を目に捉え無事だったと知り駆け寄ってみると


近づけば近づくほどに彼らの負傷具合がわかった


「急がないとっ」


私のヒーラー魂?に火がついた


もうこのゲームで誰も死なせない


私は可能な限り速く走った









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