脱出劇(中篇)
あけましておめでとうございます
「全軍前進!敵中を突破する!」
「オォォォォォォォォ!」
指揮官の掛け声と、兵士の声によってサンサ軍は前進もとい撤退を開始した。
作戦会議から2日後、この中にサクバイエル少佐の軍は含まれていない。彼はあくまで別働隊で、孤立した部隊の回収に当てられたのだ。
そして彼の陣地でも、指揮下の中隊を集めて号令をかけていた。
「これより、我らは敵に包囲されて孤立している部隊の救援を行う。場合によっては敵の分厚い防御を突破しなければならないと思う。だが、我らは同胞を見捨てて置けない。最後まで気をぬくな。最後に、これは私個人からなのだが…すまん…私のわがままでこんな目になってしまった。だから…「めそめそすんなぁぁぁ!」
「⁈」
突然割り込まれた声にサクバイエルはその方向へ顔を振り向ける。その先には、軍議で散々言い合いをした戦車部隊の大佐がいた。
「た、大佐殿⁈なぜここに⁈」
「なぜも何も、あんまりにも惨めだったからだよ。階級が違っても同胞≪はらから≫は同胞≪はらから≫だ。だからうちの戦車1個中隊もっていけ!」
「し、しかし、それでは…」
「しかしもヘチマもあるか!いいから連れてけ!外に待たせてある!」
数十分後、部隊を再編したサクバイエルの部隊は、もはや師団規模になっていた。だが、戦車部隊の統率に関してみれば、扱い慣れていないサクバイエルは戦車部隊からすれば余所者、邪魔者であったであろうが、彼らはサクバイエルを邪険にすることなくまるで直属の部下のように動き、振る舞った。
腐っても中隊規模の戦車。ベテランの戦車部隊の部隊長がサクバイエルの戦術を成功に導くようにうまく支持することで、サクバイエルの不慣れを解消した。
「突撃ぃぃぃぃ!第三小隊は右翼へ回れ!敵の射撃を分散させろ!第一小隊は中央突破だ!歩兵の壁になれ!敵塹壕をふみこえろ!所詮薄い包囲だ!一つ二つ踏み越えればおわるぞ!」
サクバイエルの部隊は帝国軍の塹壕を一点突破で踏み越え、壊滅させてゆく。そして解放が終了し次第、すぐに消える。サンサ軍は戦車部隊の速度と頑強さに歩兵のみで手も足も出るはずない。こうして瞬く間に帝国軍を突き放し、5日で任務をほぼ完遂した。
だが、サクバイエルの幸運はここまでだった…
「伝令!本隊が大打撃を被り、進軍不能!撤退しているとのこと!」
その一言で、サクバイエルは2日前よりも酷い絶望感に襲われた。
改めてあけましておめでとうございます。投稿が開き申し訳ありませんでした。本年もよろしくお願いします




