脱出劇(後篇)
"数時間前"
サクバイエルの部隊に伝令が届く数時間前、本隊は帝国の包囲部隊と戦闘を行っていた。もちろん無策ではない。が、それが作戦と呼ぶには程遠い。作戦はあるが、それを実行できる力がなるかないかと言うことだ。長い包囲によって損耗した装備、その備蓄は帝国軍を跳ね除けるに足るかどうかはこの時点で明らかなのだ。
つまるところただの突撃。これに尽きた。装甲部隊を盾にしつつ突っ込む戦術は良い。だが故障や弾薬もない戦車は、充実した装備を持つ帝国軍の前になすすべもなく壊滅。数少ない部隊も拿捕_指揮官の大佐含め_された。
結果、撤退というサンサ軍にとっては忌々しいこととなった。
「大将閣下!もはやこれまでです!戦車部隊も壊滅、数少ない部隊も殆どが拿捕されました!この際一思いに散らせてください!」
麾下の指揮官一人の訴えに、大将ラボライェッタは腕を組み沈黙したまま。しびれを切らしたからか、とうとう指揮官の一人はラボライェッタの襟を掴みゆすり、訴え続けた。それでも尚、何も応じない。
とうとう諦めたか、指揮官の一人は襟から手を離しうな垂れた。そしてまた別の指揮官が発言をした。
「大将閣下、意見具申!我が軍は劣勢。故にここは一度退却すれことを進言します!」
「……うむ」
ラボライェッタはその意見具申に静かに頷き、答えた。
そして帝国軍に背を向け、撤退を開始。翌日明朝、サクバイエルの部隊と合流し新たな軍議を行うこととなった。
(…で、今更状況打開か…無理でしょこれ…)
心の中でそう呟いたサクバイエルは議場を見渡す。
現状最もまとも_と言ってもボロボロに近いが_なのはサクバイエルの部隊だけだ。何より戦車部隊を持っていることも大きい。
サクバイエルはその期待を振り切り現実を見た結論を下した。
「無理です。これでは組織的な防戦のみです。ただ…ただただひたすら一点に穴を開け、全速力で走り抜ければあるいは…かと」
「どんなものであれ、再起に必要なら致し方あるまい。一か八かだ」
ラボライェッタは決断する。周りの玉砕主義を押しのけて。
結果だけ言えば作戦は辛くも成功。ただし戦車部隊は消滅、軍全体を見れば1/3が失われた。
そして帰った先では既に懐かしき故郷は跡形もなく帝国軍の爆撃によって崩壊。サンサ王国はラボライェッタ率いる軍が帰還したその翌日にサザンクロス帝国に降伏。領土こそ要求されなかったものの数多の技術が流出し、王家の権威は地の底どころか地面にめり込むほどにまで落ちた。
"日本国 首相官邸"
「そうですか…戦争が終わりましたか」
「らしいぞ佐藤さん。にしても、俺らは暇だったな」
ぼやく佐江島に佐藤はため息をもって突っ込んだ。
「はぁ…暇というほど暇じゃありませんで来たけどね。野党からの追求とか追求とか防衛予算とか追求とか追求とか」
「ほとんど追求じゃねぇか!わはははははは!」
「笑い事じゃないんですよねぇ…」
そう佐藤はほぼ真っ白になった頭を書きつつ呟く。そして同時にこうも思った。
「この頭、今度はハゲ出すんですかね…?」
と。
遅れてすいません。次回も遅れる可能性大です。なにぶん内容が思い浮かばない事態に直面したんですから…




