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気苦労の多い日本さん  作者: 蓬莱
星間国家
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戦車

すっごい遅れました。あと前後編です。

 アシハラの皇宮にサンサとサザンクロスの戦闘開始の報が入ったのは、アシハラ皇国の皇都でパレードをしているときのことだった。日本との国交のおかげか、日本の衛星が捉えた情報は、つい最近戦争を行なったアシハラ皇国にすぐさま届けられた。


「パレード中に………っうーん…」


 流石にこの内容にはテルヒトも悩み込んだ様子。とはいえ彼の頭には「屈する」という屈辱的な文字はない。

 彼は、目の前をエンジンの轟音とともに通り過ぎて行く鉄の塊に横目をやりながら…


 今絶賛行われているパレード、これはなんの祝賀でもなんでもない。ただの新兵器お披露目だ。それに、ゲールとの戦争は終結したが、向こうは内部分裂を起こし、一部勢力が国境付近で小競り合いを起こすなどしていた。だからそう言った輩に対する威嚇でもあるのだ。

 そしてその新兵器が…「戦車」だ。

 履帯を装備し、傾斜装甲(と言ってもかなり緩いが)、何より砲塔を装備した立派な立派な戦車だ。


 ちなみにこのパレードの行進曲は国皇の選曲でなかなか立派である。…なんか赤々しい「勝利者の凱旋」とか「戦車兵行進曲」とか流れてるのは気にしてはいけない。



 "3ヶ月前…"


 日本が会議を終え、佐藤が帰国した頃、アシハラ皇国は技術革新の真っ只中であった。

 サンサ王国に勝利後も南部国境では諍いも絶えない。それ故に圧倒的格差をつけた兵器が必要となったのだ。

 それ故に、車に大砲を載せてみようという試みがテルヒトの知らぬところで行われていた。

 しかしそれは突然テルヒトの知るところとなる。


 アシハラ皇国技術開発局兵器開発課と呼ばれるこの部署では日本との接触によってもたらされは新技術を解析、応用する機関である。

 そして、戦車を作ろうと言い出したのもここだ。

 技術開発局は新技術を好きにいじくりまわしていい特権が付与され、報告義務も無かったので、発明家という変人たちは思い思い兵器を作って言った。

 そしてそんな連中がやいのやいのと言って作った試作戦車は試験を行い、お披露目となる………はずだった。


 なにがいけなかったか。それにはまずこの戦車の基本設計を解説せねばならない。

 まず…砲塔はなく、単に直付けの砲塔。正面に装甲のあるオープントップ。

 無限軌道(キャタピラ)はなく、ただのタイヤ。というか車輪。

 車体はかなり装甲を施し、エンジンを後ろへ持っていく。

 以上である。


 お判りいただけるだろうか読者諸兄。

 そう、これでお披露目したのだ。

 エンジンにはなんのでも加えてないから馬力不足。車輪が車体の自重で沈む。何よりオープントップ故に装甲がなく、航空攻撃に圧倒的に弱いともの。

 さらにいえば、砲の取り付け位置が悪く、お披露目試験で実弾射撃をした時、装填手を砲がノックアタックして装填手がしばらく気絶するという見事な英国面っぷりを発覚させたのだ。

 結果これを見かねたテルヒトは日本に無限軌道と砲塔技術を申請。


「陛下、無限軌道とは一体…」


「ん?まぁ不整地な地面を走破するためのものだ。これによって着地表面積が増えて重さを分散することができる。砲塔は所謂大砲をグルグル回す奴だと思ってもらっていい。これに装甲を付ければ中の搭乗員を守ることができる」


「はぇ〜…」


 こんな感じでその後質疑応答をテルヒトと技術者は交わしたのは結構裏話。

 ちなみに名前は「0式1型戦車」となった。愛称は「イ式戦車」


 その後、なんやかんやで今に至る。

 しかし、そのなんやかんやの間に実は技術者はアストラルへ渡り、航空機の研究をしてきたのだ…まさか、日本もここまで手出しが早いとは目にも思わぬのであった。


 "2ヶ月前アストラル連邦"


 アストラル総統の一人娘にして技術者のヘルヘラ・ロンは、たまの休日に散歩感覚で海辺、港周辺をプラプラしていた。

 ついこの間のヘリコプター来訪は彼女のインスピレーションに大きく与えたものがあるらしく、このところ暇を見てはこうして港周辺で考え事に耽るようになった。ただ、思考は回り続けるのに周りの様子はよくわかるという人一倍特殊な特技のおかげか流石に気づいたら月が登ってましたなんてことは無いし、時間通りに仕事に戻る。

 しかし、それが今回の発見を生んだのはいうまでも無い。


 いつもの様に港周辺の波止場に座って考え事をしていると水平線から黒い煙が立ち込めるのが見えた。じっと眺めてると、今度は煙突が見え始めた。


「ちょっ、あれ船じゃないの!どこの船⁈哨戒部隊は一体…って、この間の海戦で海軍予算が削減されたんだったー!」


 喚いてるうちに周りもざわつき始めた。

 この調子なら警備艇が出るまでさほど掛からないと彼女は判断した。

 そこにさらに近く艦影に旗が見えた。


「あの旗…どこかで…んー…つい最近報道で…」


 そして彼女はつい1、2ヶ月ほどのニュースを思い出し、旗の正体を突き止める。


「そうよ!アシハラ!アシハラ皇国!…でもなんであんな後進国が蒸気船の技術を…いや、日本ならおかしくはないわね。…ならなんでここに来たかが問題よね…」


 とりあえずヘルヘラはブツブツ言いながら仕事場へと戻っていった。







この度、というか毎度遅れてすいません。

リアルでわちゃわちゃしてまして、まっててくれた読者皆様に深くお詫びします

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