共通点
彼女と別れた後俺は車の後部座席に乗った。窓の外は、夕焼けがゆっくり流れていった。1年前の俺もこの景色を見ていたのだろうか。ラジオも音楽もついていない車の中はとても静かだった。
「日向ちゃんと話したのね」
「えっ?知ってるの?」
「当たり前よ。あなた毎日毎日日向ちゃんに会に行くし、そのノートにも沢山の日向ちゃんとの思い出が書いてあるんだもん」
「何で俺はそんなことしてたんだ」
「さあ?恋でもしてたんじゃない?」
恋
俺は彼女のことを覚えていないはずなのに何故か否定することが出来なかった。母さんはその後何も話さずただ前を見ていた。
ノートをパラパラとめくった。
ページをめくっても、めくっても"清水 日向"という名前は沢山書いてあった。まるで忘れてはいけないというように。
次の日になって俺は102号室に向かっていた。外は春風が吹き、桜の花びらが静かに舞っていた。俺は去年の俺が残したノートを手にしていた。
病院のエレベーターに乗って少し歩くとすぐに102号室という部屋を見つけた。
コンコン
「、、、、どうぞ」
俺はゆっくりと扉を開けた。窓際のベットには昨日と同様沢山の管をつけた日向がいた。
「本当に来た」
「来るって言っただろ」
「そっか」と言った彼女はどこか嬉しそうだった。
「何を持っているの?」と俺が手に持っているノートを指差していた。
「去年の俺が残したノート」
「あれかぁ〜。懐かしいな。毎日ここに持ってきては拓也君書いてたもんね」
と彼女は笑って俺のノートを取り上げた。
「勝手に見んなよ」
「いいじゃーん。どうせ私のこと書いてるんでしょ?」
ほらねと言った彼女は沢山の日向との思い出が書いてあるページを見せてきた。
「うっせ」
「私は嬉しかったよ」
ノートを優しく撫でながら小さく呟いていた。
「あのさお前」
「日向」
「あーえっと日向はさぁと1年しか生きることが出来ないのか?」
昨日拾った紙に書いてあった余命1年。俺と同じ、残された時間。
「見ちゃったんだ。」
「ごめん。あの昨日拾った紙に書いてあるのを偶然見えちゃって」
「、、、、そっか」
「うんそうだよ。拓也君と同じ。残り1年」
日向は少し笑った。でもその笑顔をどこか寂しく見えた。
4月2日
今日初めて清水日向と話した日。
彼女も残り1年しか残されていないことを知った日。




