039★ひとつ目の部屋に一角天馬が《封印》されていました
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
眩暈と脱力感がだいぶ消えたので、私は2つの壷をしまう。
必要なイベントが終わったなら、もうこの部屋に用はないわ。
コウちゃんを抱き抱えて、室内を無意識に見回した私は、何もないことを確認してから、ヨロヨロと部屋の外へと出た。
扉をパタンと閉じて、その扉に寄りかかるようにしながら、腕の中のコウちゃんへと声をかける。
「コウちゃん、部屋から出てから言うのもなんだけど、この部屋のイベントはアレで終わりだよね」
ついつい、それを確認してしまう。
『うん、この部屋のは終わりだよ。対の腕輪と一角天馬を回収したからね』
コウちゃんからの答えに、ホッとしていると………。
『こめんねぇ…ママ……本当は、簡単に出られたら良いんだけど。コウちゃん……あのままじゃ…このダンジョンから、外に出るなんて夢のまた夢だったから………』
うなだれたようにして言うコウちゃんを抱き締め、私は微笑う。
「ばかね、コウちゃん…謝らなくて良いのよ。ママが、可愛いコウちゃんと一緒に居たくて、やっていることなんだから………。それよりも、サクサクッと残りのイベントも攻略して、さっさとお外に出ましょう…ねっ…コウちゃん」
うなだれ状態のコウちゃんは、ガシッと私の胸にしがみ付き言う。
『ずっとずっとママと一緒にいたい……コウちゃん……もう独りは…イヤ………』
疲れきっている感覚はあるけど、こうしてコウちゃんを腕に抱き締めれば自然と心も身体も癒されてくる。
コウちゃんという存在が、何も持っていない私を幸せにしてくれる。
本来、無条件で庇護してくれるはずの両親から、幼い時に引き離されてから、私はずっと孤独だった。
名ばかりの婚約者は、どこまでいっても傲慢でお花畑で馬鹿なルドルフ皇太子で、何時でも私を見下し蔑んでくるだけだった。
そんなルドルフ皇太子の両親である皇帝陛下夫妻の監視の下で、ただただ義務と責任の中だけで生きてきた。
そんなルドルフ皇太子や皇帝陛下夫妻の姿を見ていた使用人は、私という存在を軽んじて、バカにして手抜きな世話しかしてくれなかった。
だから、私は周囲の者達に期待するということを、すぐにしなくなった。
そんな私が、初めて自分から手に入れたいと思った、愛しいコウちゃん。
今の私の目標は、コウちゃんと一緒に、このダンジョンを出て楽しく冒険に出ることよ。
そのためには、あといくつかのイベントを攻略しないとダメそうだということは、私でも理解るわ。
それでも、この腕の中にコウちゃんが居れば頑張れるわ。
けど、今は少し休憩かなぁ~?
流石に、ひとつひとつのイベントがとにかく濃厚なのよねぇ………はぁ~…。
たった今やっと攻略し終わった部屋の扉を背に、回廊の床に座り込み、ただひたすらコウちゃんのもふもふを堪能する私であった。
コウちゃんを抱き締め、しばらく癒しを充電した私は、ゆっくりと立ち上がる。
「とにかく、ここを出るために必要な、残りのイベントをサクサクと攻略しちゃいましょうかねぇ………」
時間の感覚がおかしくなっているのを感じつつ、私はゆっくりと強欲の回廊の左右を見回す。
そして、後ろを改めて振り返れば、扉は回廊と同化し、その入り口は役目を終えて消えたようだった。
『ママァ~……』
心配そうに腕の中から私に呼びかけるコウちゃんに、私は微笑って言う。
「大丈夫、私が助け出すわ。他にも、あの一角天馬の子のように【虚牢】とかいう異空間に《封印》されている子達が居るんでしょう? すぐに蘇生させてあげることはできないだろうけど。とりあえずは《封印》された状態から解放してあげないとね。そのイベントが終われば、このダンジョンから出られるのよね」
『うん……《封印》が解放されれば、出られる』
コウちゃんの言葉に、勇気を得て、私は次の扉を探した。
ほどなく2部屋目のなる扉を見付け、わたしは 意を決して入室した。
扉を開いたときは、やはり最初の部屋同様に、何もない部屋だった。
が、カチッと後ろ手で扉をキッチリと閉めると同時に、やはり怪しい植物の蔦がウネウネと動く姿に様変わりした。
「はぁ~……この部屋も同じようね………だったら………」
私はコウちゃんを肩に乗せて、四方の怪しい植物がうねる植物の壁の中央付近へと手を伸ばす。
最初の部屋と同様に、2つ目の部屋の植物の蔦も、スイッと私の手を避ける。
いや、そうなるって理解っていても、こうやって拒否られるとちょっと傷付くわねぇ。
さんざん虐げられて自尊心が低空飛行していることを、ちゃんと自覚していても、私なんかっていう思考へと引っ張られてしまう。
いけないっネガティブになっている場合じゃないのよ、シルビアーナ。
そうよっ、しゃんとしなくちゃ………。
こちら側の強欲の回廊の部屋の中には、私の助けを待っている子達が居るんだから。
『……ママぁ? 大丈夫ぅ?』
コウちゃんの言葉に、私の沈みかける気持ちが浮上する。
そうよ、私には私の愛情や腕を欲しがるコウちゃんが居る。
右の腕輪の中には、蘇生する時を待っている一角天馬の子も居る。
とりあえず、ちゃっちゃとこの部屋の魔晶石を見付けて、菱形の立方体を出現させないとね。




