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悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する  作者: ブラックベリィ


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39/49

039★ひとつ目の部屋に一角天馬が《封印》されていました


作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。

設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。

感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)


主人公は、かなりマイペースです。

生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。




 眩暈(めまい)脱力感(だつりょくかん)がだいぶ消えたので、私は2つの(つぼ)をしまう。


 必要なイベントが終わったなら、もうこの部屋に用はないわ。


 コウちゃんを()(かか)えて、室内を無意識に見回した私は、何もないことを確認してから、ヨロヨロと部屋の(そと)へと出た。


 (とびら)をパタンと閉じて、その(とびら)に寄りかかるようにしながら、腕の中のコウちゃんへと声をかける。


「コウちゃん、部屋から出てから言うのもなんだけど、この部屋のイベントはアレで()わりだよね」


 ついつい、それを確認してしまう。


『うん、この部屋のは()わりだよ。(つい)の腕輪と一角天馬(ユニコーンペガサス)を回収したからね』


 コウちゃんからの答えに、ホッとしていると………。


『こめんねぇ…ママ……本当は、簡単に出られたら良いんだけど。コウちゃん……あのままじゃ…このダンジョンから、(そと)に出るなんて夢のまた夢だったから………』


 うなだれたようにして言うコウちゃんを抱き()め、私は微笑(わら)う。


「ばかね、コウちゃん…(あやま)らなくて良いのよ。ママが、可愛いコウちゃんと一緒に居たくて、やっていることなんだから………。それよりも、サクサクッと残りのイベントも攻略して、さっさとお(そと)に出ましょう…ねっ…コウちゃん」


 うなだれ状態のコウちゃんは、ガシッと私の胸にしがみ付き言う。


『ずっとずっとママと一緒にいたい……コウちゃん……もう(ひと)りは…イヤ………』


 疲れきっている感覚はあるけど、こうしてコウちゃんを腕に抱き()めれば自然と心も身体も(いや)されてくる。

 コウちゃんという存在が、何も持っていない私を(しあわ)せにしてくれる。


 本来、無条件で庇護してくれるはずの両親から、幼い時に引き(はな)されてから、私はずっと孤独(こどく)だった。

 名ばかりの婚約者は、どこまでいっても傲慢(ごうまん)でお花畑で馬鹿なルドルフ皇太子で、何時でも私を見下(みくだ)(さげす)んでくるだけだった。


 そんなルドルフ皇太子の両親である皇帝陛下夫妻の監視の(もと)で、ただただ義務と責任の中だけで生きてきた。


 そんなルドルフ皇太子や皇帝陛下夫妻の姿を見ていた使用人は、私という存在を(かろ)んじて、バカにして手抜きな世話しかしてくれなかった。

 だから、私は周囲の者達に期待するということを、すぐにしなくなった。


 そんな私が、初めて自分から手に入れたいと思った、(いと)しいコウちゃん。


 (いま)の私の目標は、コウちゃんと一緒に、このダンジョンを出て楽しく冒険に出ることよ。


 そのためには、あといくつかのイベントを攻略しないとダメそうだということは、私でも理解(わか)るわ。

 それでも、この腕の中にコウちゃんが居れば頑張れるわ。


 けど、今は少し休憩かなぁ~?

 流石(さすが)に、ひとつひとつのイベントがとにかく濃厚なのよねぇ………はぁ~…。


 たった(いま)やっと攻略し()わった部屋の(とびら)を背に、回廊の床に(すわ)り込み、ただひたすらコウちゃんのもふもふを堪能(たんのう)する私であった。


 コウちゃんを抱き()め、しばらく(いや)しを充電(じゅうでん)した私は、ゆっくりと立ち上がる。


「とにかく、ここを出るために必要な、残りのイベントをサクサクと攻略しちゃいましょうかねぇ………」


 時間の感覚がおかしくなっているのを感じつつ、私はゆっくりと強欲(ごうよく)の回廊の左右を見回す。

 そして、後ろを(あらた)めて()り返れば、(とびら)は回廊と同化し、その入り口は役目を()えて消えたようだった。


『ママァ~……』


 心配そうに腕の中から私に呼びかけるコウちゃんに、私は微笑(わら)って言う。


「大丈夫、私が助け出すわ。他にも、あの一角天馬(ユニコーンペガサス)の子のように【虚牢(うつろう)】とかいう異空間に《封印》されている子達が居るんでしょう? すぐに蘇生(そせい)させてあげることはできないだろうけど。とりあえずは《封印》された状態から解放してあげないとね。そのイベントが()われば、このダンジョンから出られるのよね」


『うん……《封印》が解放されれば、出られる』


 コウちゃんの言葉に、勇気を得て、私は次の(とびら)を探した。

 ほどなく2部屋目のなる(とびら)を見付け、わたしは ()()して入室した。


 (とびら)を開いたときは、やはり最初の部屋同様に、何もない部屋だった。

 が、カチッと後ろ手で(とびら)をキッチリと閉めると同時に、やはり(あや)しい植物の(つる)がウネウネと動く姿に様変(さまが)わりした。


「はぁ~……この部屋も同じようね………だったら………」


 私はコウちゃんを肩に乗せて、四方の(あや)しい植物がうねる植物の壁の中央付近へと手を伸ばす。

 最初の部屋と同様に、2つ目の部屋の植物の(つる)も、スイッと私の手を()ける。


 いや、そうなるって理解(わか)っていても、こうやって拒否(きょひ)られるとちょっと傷付くわねぇ。

 さんざん(しいた)げられて自尊心(じそんしん)低空飛行(ていくうひこう)していることを、ちゃんと自覚(じかく)していても、私なんかっていう思考へと()()られてしまう。


 いけないっネガティブになっている場合じゃないのよ、シルビアーナ。

 そうよっ、しゃんとしなくちゃ………。

 こちら側の強欲(ごうよく)の回廊の部屋の中には、私の助けを待っている子達が居るんだから。


『……ママぁ? 大丈夫ぅ?』


 コウちゃんの言葉に、私の(しず)みかける気持ちが浮上(ふじょう)する。

 そうよ、私には私の愛情や腕を欲しがるコウちゃんが居る。

 右の腕輪の中には、蘇生(そせい)する時を待っている一角天馬(ユニコーンペガサス)の子も居る。


 とりあえず、ちゃっちゃとこの部屋の魔晶石(ましょうせき)を見付けて、菱形(ひしがた)の立方体を出現(しゅつげん)させないとね。




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