172★現実を直視したくなくて、ちょっとゴネみました
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
ガッツリとお父様に現実を突きつけられて、私は思わず肩を落とす。
やっと得た自由への未練がタラタラのなかで、再び余計な重し(=皇太子)を背負わされそうになって、私の中に溜まりに溜まった鬱屈と憤りがブワリッと湧き上がる。
はぁ~……皇太子なんて、冗談じゃないわよっ。
やっと自由になったのに、そんな責務を背負う義理なんてないわ。
だいたい、ハイオシス帝国の貴族としての恩恵なんて、シルビアーナはほぼ受けてないのよ。
まして、幼少期に攫われて王宮に連れて来られて、ほぼ監禁生活させられていたんだから………。
まだまだ両親の庇護下で愛情を注がれながら育つ時期に、強引に両親の庇護下から引き剥がされたこと、お父様だって充分に理解っているはずなのに………。
いくら、ハイオシス帝国の貴族の義務だと言われたって、納得なんてできないわ。
おぞましい呪具を身に付けさせられて、あのお花畑のお馬鹿さんがろくな魔力が無いからって、私の魔力を強制的に搾取されながら、蔑まれて暮らしていたのよ。
そのことを考慮したら、貴族として得たはずの恩恵なんて、思いっきりマイナスに振り切っているんだから………。
そりゃ~………食べるモノに困ったりはしなかったけどね。
だからって、自分の好きなモノを食べられたわけじゃないしね。
なまじ、前世の安全と自由を知っている身としては、シルビアーナの血統(=皇統を色濃く引く上位貴族)と境遇(=冷遇と呪具による行動と意識の阻害に魔力搾取)を対比したら、ガッツリとマイナスでしょ。
お父様がシルビアーナの拒否の言葉をスルーするなら、当てこすってやる。
少しでも父親としての愛情と良心があるなら、ちょっとは効くかしら?
「だいたい、言わせてもらえるなら、シルビアーナはハイオシス帝国の貴族としての義務を充分以上に果たしていたでしょっ。あんなボンクラのために、10年も魔力なしとして蔑まされて、自由などほぼない監禁生活していたのよ。お父様は、私を愛していないのねっ。やっぱり、一緒に暮らしていないから、駒としてしか見れないのね」
俯いて、思いっきり哀しそうにそう言えば、お父様はビシッと固まる。
少しはシルビアーナの気持ちを考慮しなさいよっ。
いくら、自分が皇帝になっちゃって、テンパってるからって、こっちにシワ寄せを寄越さないでよっ。
だいたい、あのおぞましい呪具からやっと解放されて、ようやく自由になったシルビアーナに、皇太子の地位を持って来るなんて、それも半日程度の自由しか楽しんでいないというのに………。
やっぱり、愛されていないってことなのかも知れないわね。
一緒に生活して、はじめてちゃんとした愛情というモノが双方(=親と子)に育つモノだって、しみじみと実感するわ。
そう思うと、お父様へと向ける視線は、いっそう冷えた疑い深い視線になってしまう。
ちょっと遠巻きでこちらの様子を窺っている、お父様の親友達は、あっちゃーという表情で何事か話し合っている。
勿論、シルビアーナの婿候補達も、こちらの反応にどう対応するか思案中のようである。
うふふふ………予想外の反応に、困っているようね。
少しはシルビアーナの気持ちを考えなさいよ。
私には、前世の3回分の人生があるから、ある程度は妥協とかできるけど、そういうモノが無ければ、これが普通の反応のはずよ。
「シ……シルビアーナ……私はキミを愛しているよ。助け出せなかったことはすまないと思っている。それでも、皇太子は必要なのだよ……」
言葉を探しながらそう言うお父様に、私は更に追い打ちをかける。
「ちゃんと、先々代のアレクサンデル皇帝陛下から認められて、それなりに優遇されていたお父様が、皇帝の地位に着いてしまったことは、不本意でも仕様がないと諦めがつくでしょうけど。ずっと不遇の中に居た私は、諦めなんてつきませんわ。やっと自由になった途端に、上位貴族としての責務なんて冗談じゃありませんわよ。後継者が、私である必要はないでしょっ………。皇太子に立つ者が成人している必要があることは理解りますが、それはそちらの事情であって、私には迷惑なだけです」
冷然と、父娘の情というモノを介在させない冷たさで、私は言い放つ。
いや、だって、それぐらい言わないと、この後も、ズルズルとろくでもない案件がドサドサと来そうですからね。
刺せるクギがあるなら、ちゃんと刺しておかないとですわ。
私の冷たい視線に、お父様はどう反応するつもりかしらね?
皇帝としてのゴリ押しをするなら、このシルビアーナとしての身体を封印して、生涯トンズラしてやるわ。
情に訴えるようなら、ちょっと考えてあげるけどね。
実際の話し、当座の皇太子が必要だと言うことはシルビアーナもちゃんと理解っているわ。
でも、少しぐらいゴネたいじゃない。
今まで、そんなこと一度としてできなかったんだから………。
「あのような劣悪な境遇から助け出すことができなかった私達の愛情を、シルビアーナが疑っているのは仕方がないね。それでも、キミに皇太子の地位に着いて欲しいんだ。シルビアーナ自身の安全のためにもね」




