115★ソルス・エル・ピーシェを食べてみよう
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
私は、魔物除けの結界として植えられているソルス・エル・ピーシェの大樹を見上げで、つい微笑みが零れ落ちてしまう。
良かった………きちんと、実がなっているわ。
それも、充分に熟したとわかる紅い色の付いた実があるわ。
そこでさっそく、私は、楽しみにしていたソルス・エル・ピーシェを、規定に従って3個採りにかかった。
1個目をもいだ時に、ふと美味しくなかったらどうしましょう?と思った私は、とりあえず1個だけを手にした。
本当に、私って小心者だわぁ。
何故1個にしたかと言えば、たとえ美味しくなくても、食べないモノを採るのは良くないことだと思ったからである。
そして、しみじみと思う。
ああ、本当に私って日本人だわぁ………。
いや、前世の記憶が強くなって、もったいない精神が出てきてしまったらしいわね。
私は、良く熟れていると判る紅いソルス・エル・ピーシェを手に、ふっと無意識に笑う。
うふっ……天使シリーズを身に着けていて良かったわぁ~………。
特にマントは、飛びたいって意識すれば、空を飛べるモノなんですもの………くすくす。
子供の頃の空を鳥のように自由に飛びたいって、夢がこんな異世界に来て叶うなんてねぇ………。
人生ってほんとぉ~に…わからないものねぇ………。
うふふふふ……そして、ゲームで登場していた果物を実際に食べられるなんて感動モノね。
前世で食べた遺伝子改良で作られたソルス・エル・ピーシェと、今世の本物のソルス・エル・ピーシェはどのくらい似ていて、どのくらい違うのかしらねぇ?
まずは、見た目と香りを楽しみましょうかしら?
思わず、犬の気分でソルス・エル・ピーシェを鼻先へと近づけて、クンクンしてしまう。
その鼻腔に、甘く熟れた桃特有の香りが広がる。
はぁ~……良い香りだわぁ~…ソルス・エル・ピーシェって、見た目も香りも、大好きだった桃そのものね。
レイパレ(R18)ユーザーのみが通販できる、期間限定おひとり様3個入りひとパックのソルス・エル・ピーシェと同じくらい美味しいのかしら?
アレはお値段がとっても痛かったけど、ハズレなしでほんとぉ~に美味しかったのよねぇ~………。
ただし、おひとり様3個入りひとパックしか購入できなかった限定品だったのよ。
でも、後で知ったんだけど、期間限定って言っていたんだけど、先着順で後から通販を申し込んだレイパレ(R18)ユーザーでも買えなかった人が結構いたみたいだったわね。
私もちょくちょく見ていた掲示板(=主に攻略に詰まったりした時に見ていた)に、結構どころじゃなくそう言うコメントが入っていたもの。
それはさておき、前世では、生の桃は時期モノだったのよねぇ………。
桃の育成期間中に、強風や豪雨なんてモノを食らったら、生産も出荷もガタッと減るのよねぇ~桃って………。
だから、桃の旬になったら、お財布が痛くても食べたわねぇ………。
ただ、普通にお店で売られている見た目良し、香り良しでも、たまぁーにハズレ引くことあったわねぇ………。
高いお金をだして買ったのに、渋みが強くて甘くない桃もあるのよねぇ。
じゃなくて、手にしたこのソルス・エル・ピーシェがハズレじゃありませんように………。
そう、ちょっと心の中で祈る。
この世界に、農薬なんてモノは無いけど、一応は水魔法のミストをかけて洗いましょうか。
せっかくだから、丸齧りしたいしね。
私は、夏のうだるような暑さの中で味わった、あのミストシャワーを思い浮かべて、魔力をほんの少し放出してみた。
うふっ………実験は成功して、私の周りには、ひんやりしたミストシャワーがふわっと辺り一面に降りてきた。
その中に、たった今もいだソルス・エル・ピーシェを差し出して、軽く洗い流す。
魔力の放出をやめるとミストシャワーは、静かに止まる。
私は、濡れてより瑞々しくなったソルス・エル・ピーシェを一口齧ってみた。
勿論、皮ごとね。
果物は皮と実の間が1番甘いって聞いていたし、実際にそうだから………。
結果は……本当に瑞々しく甘くて、そこにほのかな酸味がまじり、とぉ~っても美味しかったわ。
だから、私は、規定の残りの2個を採り、インベントリの中にソッと丁寧にしまう。
コウちゃんとガッちゃんも、興味津々でソルス・エル・ピーシェを食べて小首を傾げていた。
フム………コウちゃんとガッちゃんには、そこまで美味しいモノって感じなかったのかな?
この世界の食べ物なので、そこそこの魔力はあるかも知れないけど、2人が喜ぶほどではなかったのかもしれないわね。
そんなことを考えつつ、気分的にも人心地ついた私は、そこでやっと妙な違和感を感じ、無意識に小首を傾げた。
私は、私が感じている、そのなんとも言えない違和感の原因を探そうと、ゆっくりと辺りを見回す。
そして、私はようやくその異常さに気付いた。
私が感じた違和感とは、ソルス・エル・ピーシェの果実がたわわに実っていることだった。
それも、かなり熟した甘い香りを放つ果実が、もがれることもなく実ったままなのだ。
そう言えば、ゲームの中でさえ、こんなにソルス・エル・ピーシェの果実がたわわに実っている光景なんて見たコトが無かったわ。
………って、これが私が感じた違和感の原因ね。
そういえば、この村があるかどうかを、ガッちゃんに視てもらった時、かなり寂れているって言っていたわね。
もしかして、私が予想していた以上に、ソルス・ロス・エンダ村って寂れていたりするかも………。
あの難攻不落の深淵の絶望ダンジョンから、コウちゃんとガッちゃんと共に脱出して、魔物討伐しながら、人の住む村に辿り付いたという事実に、うきうきしていた私だけど………。
もしかして、あまり良い状況じゃないってコト?
不安に思いつつも、私は、冒険者登録をする為に、ソルス・ロス・エンダ村へと足を踏み入れることにした。
そして、私が想像していなかった、予想外の出来事に遭遇することになるのだった。




