113★俺の豊富で強力な魔力が借り物だったなんて………〔sideルドルフ〕
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
こうなった今でも、俺は信じられなかった。
だが、どんなに認めたくなくても、今現在にいたっても、俺は自分の魔力というモノを感じられない。
魔術師として、魔力の強いリコリスや貴重な光属性の魔力を持つマリエはともかく、あのエリオットですら魔力封じの首輪と、魔力封じの手錠を装着られていたのに、俺は着けられていない。
だというのに、この皇太子宮に軟禁されてからも、いっこうに俺の魔力は戻って来る気配が無い。
魔力が豊富に使えた時は、アルディーンにこんなに簡単に切り刻まれたりしなかったし、仮に傷付いても、あっという間に傷口なんて塞がったのに………。
どうやら、本当に、認めたくなどないが、俺には俺自身の魔力がほとんど無いようだ。
脳裏には、父上とカイドール辺境伯との会話がよぎる。
いや、実際は、カイドール辺境伯ではなくカイドール侯爵だったらしい。
父上とカイドール侯爵の会話から、かなり横暴なことを父上が皇帝となってからしたようだ。
それも、あのシルビアーナをカイドール侯爵夫妻の手元から攫って………。
シルビアーナを人質にして、どれだけのことをしたのだろう?
慟哭と激怒を含んだカイドール侯爵の声が今も耳に残っている。
シルビアーナは本当に美しく可愛い子だったのだぞ、と。
お前の手の者に攫われ、おぞましい魔力搾取や感情制御などの呪具を嵌められるまでは………と。
俺は、ずっとシルビアーナは魔力もろくに無い、愚鈍な不細工だと見下していた。
なんで、こんなクソの役にも立たない感情表現が欠如したような不細工が婚約者なんだって、思っていた。
カイドール侯爵夫妻が婚約者として選んでいたのは、何時でも比較対象とされてきていた、ルドレイツ侯爵家嫡子のアルディーンだったなんて知らなかった。
シルビアーナのあの姿が、俺の魔力を底上げするためにだったと聞かされても、最初は信じられなかった。
両親の庇護下から攫われた後から、ずぅ~っと魔力搾取されて、俺の魔力を補っていたなんて………いったい誰が信じる。
俺は、幼少期から、魔力に苦労したことなんてない。
その豊富な魔力が、実は全てシルビアーナの魔力で、呪具で生きた魔力貯蔵として、俺の生贄としてたなんて………。
今になって、ゾッとする。
いったい、何歳の時からシルビアーナはあの皇太子妃の証しという名の呪具を嵌められていたのだ?
それに、感情制御もされていたと言っていた。
だからシルビアーナは、笑ったり怒ったりしなかったのか………。
じゃないっ………俺の魔力は、全部シルビアーナからの借り物だった。
認めたくなくても、今の俺には自分の魔力を感じることすらできない。
母上に訴えて辞めさせた魔術師の言葉が今更に胸に突き刺さる。
『いくら魔力が豊富でも、そんな風に粗雑に力技で使用すれば、直ぐに枯渇してしまいますよ、皇太子殿下。もっと魔力を丁寧に循環させて、体内の魔力回路である魔力繊翅を鍛えるように、鍛錬しませんと、後々困るコトになりますよ』
そう言われても、魔力量に困ったことが無かった俺は、馬鹿馬鹿しいと一蹴し、教師役の魔術師を辞めさせた。
今にして思えば、本当に俺は考えなしの馬鹿だったな。
全部シルビアーナの魔力で、搾取した魔力を使っていただけだなんてな。
俺は、いったいどうなってしまうのだろう。
父上からは、廃嫡を言い渡された。
あのカイドール侯爵は、俺を……いや、俺達を許さないだろう。
俺はシルビアーナに婚約破棄し、身分剥奪し、皇太子妃の証しを剥ぎ取り、地下迷宮への廃棄を命じた。
エリオットは、シルビアーナを抑え付けて、魔法陣へと突き飛ばした。
コリウスは、シルビアーナを地下迷宮の最奥に転移で跳ばした。
俺達の行動要因は、マリエへの愛だった。
だから、きっとマリエも俺達と変わらない処罰を受けるだろう。
そう思うのに、なんの焦燥感も感じないのはどうしてだろう?
貴重な光属性の魔法を使えるマリエ・リコワール。
そう思っても、恋焦がれる感覚が消えている。
たしかに、愛しい女性と思っていたのに………。
婚約者のシルビアーナを排除してでも、隣りに置きたいと思っていたはずなのに、何故?
幼馴染みの学友でもあるコリウスやエリオットへの心配と、マリエへの心配がほとんど変わらない。
いや、今は他人の心配をしている時ではないな。
状況は最悪だ。
囚人用の地下牢に放り込まれなかっただけ、温情があるのだろう。
あれだけ、カイドール侯爵は怒り狂っていたのだから………。
だからといって、この皇太子宮から逃げ出すこともできないだろう。
今更だが、もっと魔力も剣術も磨いておけばよかった。
だが、もう全てが遅いんだよな。
きっと、俺も身分を剥奪されて、無一文の無装備で、地下迷宮に捨てられるんだろうな。
シルビアーナは、パーティードレスで武器も何も持たない状態で、俺達は地下迷宮へと捨てたんだから………。
あの時は、それが最善だと思ったんだよなぁ。
その結果が、俺自身の廃嫡。
父上にも母上にも、見限られてしまった。




