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悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する  作者: ブラックベリィ


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113/147

113★俺の豊富で強力な魔力が借り物だったなんて………〔sideルドルフ〕


作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。

設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。

感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)


主人公は、かなりマイペースです。

生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。




 こうなった(いま)でも、俺は信じられなかった。

 だが、どんなに認めたくなくても、今現在(いまげんざい)にいたっても、俺は自分の魔力というモノを感じられない。


 魔術師として、魔力の強いリコリスや貴重な光属性の魔力を持つマリエはともかく、あのエリオットですら魔力封(まりょくふう)じの首輪と、魔力封(まりょくふう)じの手錠(てじょう)装着(つけ)られていたのに、俺は着けられていない。


 だというのに、この皇太子宮に軟禁されてからも、いっこうに俺の魔力は戻って来る気配が無い。

 魔力が豊富に使えた時は、アルディーンにこんなに簡単に切り(きざ)まれたりしなかったし、(かり)に傷付いても、あっという間に傷口なんて(ふさ)がったのに………。


 どうやら、本当に、認めたくなどないが、俺には俺自身の魔力がほとんど無いようだ。


 脳裏には、父上とカイドール辺境伯との会話がよぎる。

 いや、実際は、カイドール辺境伯ではなくカイドール侯爵だったらしい。


 父上とカイドール侯爵の会話から、かなり横暴なことを父上が皇帝となってからしたようだ。

 それも、あのシルビアーナをカイドール侯爵夫妻の手元から(さら)って………。

 シルビアーナを人質にして、どれだけのことをしたのだろう?


 慟哭(どうこく)激怒(げきど)(ふく)んだカイドール侯爵の声が(いま)も耳に残っている。


 シルビアーナは本当に美しく可愛い子だったのだぞ、と。

 お前の手の者に(さら)われ、おぞましい魔力搾取(まりょくさくしゅ)感情制御(かんじょうせいぎょ)などの呪具(じゅぐ)()められるまでは………と。


 俺は、ずっとシルビアーナは魔力もろくに無い、愚鈍(ぐどん)不細工(ぶさいく)だと見下(みくだ)していた。

 なんで、こんなクソの役にも立たない感情表現が欠如(けつじょ)したような不細工(ぶさいく)が婚約者なんだって、思っていた。


 カイドール侯爵夫妻が婚約者として選んでいたのは、何時でも比較対象とされてきていた、ルドレイツ侯爵家嫡子のアルディーンだったなんて知らなかった。


 シルビアーナのあの姿が、俺の魔力を底上げするためにだったと聞かされても、最初は信じられなかった。

 両親の庇護下から(さら)われた後から、ずぅ~っと魔力搾取(まりょくさくしゅ)されて、俺の魔力を(おぎな)っていたなんて………いったい誰が信じる。


 俺は、幼少期から、魔力に苦労したことなんてない。

 その豊富な魔力が、実は(すべ)てシルビアーナの魔力で、呪具(じゅぐ)で生きた魔力貯蔵(まりょくちょぞう)として、俺の生贄(いけにえ)としてたなんて………。


 (いま)になって、ゾッとする。

 いったい、何歳の時からシルビアーナはあの皇太子妃の(あか)しという名の呪具(じゅぐ)()められていたのだ?

 それに、感情制御(かんじょうせいぎょ)もされていたと言っていた。

 だからシルビアーナは、笑ったり怒ったりしなかったのか………。


 じゃないっ………俺の魔力は、全部シルビアーナからの借り物だった。

 認めたくなくても、(いま)の俺には自分の魔力を感じることすらできない。


 母上に(うった)えて()めさせた魔術師の言葉が今更(いまさら)に胸に()()さる。


『いくら魔力が豊富でも、そんな風に粗雑(そざつ)に力技で使用すれば、直ぐに枯渇(こかつ)してしまいますよ、皇太子殿下。もっと魔力を丁寧(ていねい)循環(じゅんかん)させて、体内の魔力回路である魔力繊翅(せんし)(きた)えるように、鍛錬(たんれん)しませんと、後々困(のちのちこま)るコトになりますよ』


 そう言われても、魔力量に困ったことが無かった俺は、馬鹿馬鹿しいと一蹴(いっしゅう)し、教師役の魔術師を()めさせた。

 (いま)にして思えば、本当に俺は考えなしの馬鹿だったな。

 全部シルビアーナの魔力で、搾取(さくしゅ)した魔力を使っていただけだなんてな。


 俺は、いったいどうなってしまうのだろう。

 父上からは、廃嫡(はいちゃく)を言い渡された。


 あのカイドール侯爵は、俺を……いや、俺達を許さないだろう。

 俺はシルビアーナに婚約破棄し、身分剥奪し、皇太子妃の(あか)しを()ぎ取り、地下迷宮への廃棄(はいき)を命じた。

 エリオットは、シルビアーナを(おさ)え付けて、魔法陣へと突き飛ばした。

 コリウスは、シルビアーナを地下迷宮の最奥に転移で()ばした。


 俺達の行動要因は、マリエへの愛だった。

 だから、きっとマリエも俺達と変わらない処罰を受けるだろう。

 そう思うのに、なんの焦燥感(しょうそうかん)も感じないのはどうしてだろう?


 貴重な光属性の魔法を使えるマリエ・リコワール。

 そう思っても、恋焦がれる感覚が消えている。

 たしかに、愛しい女性と思っていたのに………。


 婚約者のシルビアーナを排除(はいじょ)してでも、隣りに置きたいと思っていたはずなのに、何故(なぜ)

 幼馴染みの学友でもあるコリウスやエリオットへの心配と、マリエへの心配がほとんど変わらない。


 いや、(いま)は他人の心配をしている時ではないな。

 状況は最悪だ。

 囚人用の地下牢に放り込まれなかっただけ、温情(おんじょう)があるのだろう。

 あれだけ、カイドール侯爵は怒り狂っていたのだから………。


 だからといって、この皇太子宮から逃げ出すこともできないだろう。

 今更(いまさら)だが、もっと魔力も剣術も(みが)いておけばよかった。

 だが、もう(すべ)てが遅いんだよな。


 きっと、俺も身分を剥奪されて、無一文の無装備で、地下迷宮に捨てられるんだろうな。

 シルビアーナは、パーティードレスで武器も何も持たない状態で、俺達は地下迷宮へと捨てたんだから………。

 あの時は、それが最善だと思ったんだよなぁ。


 その結果が、俺自身の廃嫡(はいちゃく)

 父上にも母上にも、見限られてしまった。








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