表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
102/112

第102話 氷岩ガニ

内部水路の奥で、黒氷をまとった氷岩ガニの群れが現れました。


水路を傷つけないようにしながら、誠司たちは戦います。

氷岩ガニの群れが、水しぶきを上げながら一斉に動き出した。


硬い甲羅には黒氷が張りつき、大きなはさみが冷たい音を立てている。


翔と久美子が盾を構えた。


「前は俺たちで止める」


「分かりました」


二人は水路を塞ぐように並び、迫ってきた氷岩ガニのはさみを盾で受け止めた。


ガンッ。


重い衝撃が洞窟に響く。


久美子の足元で水が跳ねた。


「かなり力があります」


「押し返されるな」


翔が盾に力を込める。


別の氷岩ガニが、横から二人を挟もうとした。


早希が水路の端を走り、短剣で脚の関節を狙う。


硬い甲羅は傷つかない。


けれど、脚の付け根に刃が当たると、氷岩ガニの動きが乱れた。


「甲羅じゃなくて、脚の間なら通る!」


レイナが銃を構える。


「目とはさみの付け根も狙えそうね」


銃声が響いた。


光弾が氷岩ガニの目の近くに当たり、顔を横へそらす。


その隙に、大地が前へ出た。


「ひっくり返せばいいんだろ!」


斧の柄を甲羅の下へ差し込み、力を込める。


氷岩ガニの体が大きく傾いた。


だが、黒氷に覆われた脚が岩に食い込み、完全には裏返らない。


端末が反応した。


【氷岩ガニ】


【甲羅は硬い外殻に覆われています】


【黒氷によって防御力が強化されています】


【脚の関節、腹側、はさみの付け根を狙ってください】


煌成は氷岩ガニの動きを見た。


「先に黒氷を甲羅から離しましょう。防御が弱くなれば、大地さんでもひっくり返せます」


かすみが杖を構える。


「黒氷の周りを、私の氷で覆います」


白く澄んだ冷気が、氷岩ガニの甲羅へ広がった。


黒氷と甲羅の間に、細い亀裂が入っていく。


誠司も杖を向けた。


「水を入れます」


亀裂の中へ細い水流が入り込み、黒氷を少しずつ押し上げる。


黒い氷の塊が、甲羅から浮いた。


優がすぐに魔法を使う。


水路へ落ちかけた黒氷が空中で止まり、離れた岩のくぼみへ移された。


端末に表示が出る。


【黒氷の一部を除去しました】


【氷岩ガニの防御力が低下しました】


「今です」


煌成の声に、大地がもう一度斧の柄を差し込んだ。


翔も盾で反対側から押す。


「せーの!」


氷岩ガニの体が持ち上がり、ひっくり返った。


腹側は甲羅ほど硬くない。


早希が素早く近づき、腹の近くにある脚の付け根を切った。


大地が斧を振り下ろす。


氷岩ガニは脚を動かしたあと、静かになった。


【氷岩ガニを一体討伐しました】


けれど、残りの氷岩ガニが左右から迫ってくる。


一体が大きなはさみを振り上げ、久美子の盾へ叩きつけた。


「くっ……」


久美子は押されながらも、盾を下げなかった。


翔が隣から氷岩ガニの体を押し返す。


「久美子、少し下がれ」


「大丈夫です。まだ支えられます」


別の氷岩ガニが、水の中からレイナへ向かって突進した。


レイナは横へ移動しながら銃を撃つ。


光弾がはさみの付け根に当たり、氷岩ガニの腕が止まった。


「早希、右側をお願い」


「分かった!」


早希が岩を踏み台にして回り込み、動かなくなったはさみの付け根を短剣で狙った。


はさみが力を失い、水の中へ落ちる。


誠司は水路の流れを操った。


氷岩ガニの脚に横から強い水流を当て、進む方向をずらす。


二体の氷岩ガニがぶつかり、動きが止まった。


かすみはその二体へ氷魔法を使った。


黒氷を囲むように白い氷が広がり、甲羅との間に亀裂が入る。


優が黒氷を次々と水路の外へ移した。


煌成は岩の床へ杖を向ける。


氷岩ガニの脚の下から低い岩が持ち上がり、体の片側を押し上げた。


「大地さん、右側です」


「任せろ!」


大地が岩で傾いた氷岩ガニを押し、腹側を上へ向ける。


早希とレイナが弱い部分を狙い、動きを止めた。


翔と久美子も、もう一体を盾で挟む。


翔が正面から押さえ、久美子が横から進路を塞いだ。


誠司の水流が脚をすくう。


氷岩ガニが水の中で傾いた。


「大地!」


翔の声に、大地が駆けつける。


斧の柄を甲羅の下へ入れ、一気にひっくり返した。


その腹側へ斧が振り下ろされる。


端末の表示が続けて変わった。


【氷岩ガニを三体討伐しました】


【残り二体】


残った氷岩ガニは、甲羅を岩壁へ向けて身を守ろうとした。


その周囲では、黒氷が少しずつ広がっている。


かすみが言った。


「黒氷を増やそうとしています」


「水路へ広がる前に止めます」


誠司は水流を強め、黒氷が水の中へ落ちないよう押し戻した。


優が魔法で黒氷の動きを止める。


煌成は二体の間に岩壁を作った。


氷岩ガニは左右に分断され、助け合えなくなる。


「一体ずつ倒しましょう」


翔と久美子が一体を止める。


早希が脚の関節を狙い、レイナが目の近くを撃った。


かすみが甲羅の黒氷を分離し、誠司が水で押し出す。


優が破片を回収した。


大地が氷岩ガニをひっくり返し、腹側へ斧を振り下ろす。


最後の一体も、同じように追い込まれた。


はさみを振り回して抵抗するが、翔と久美子の盾を崩せない。


早希が脚を止める。


レイナがはさみの付け根を撃つ。


誠司の水流で体が傾き、煌成の岩が下から持ち上げた。


「これで最後だ!」


大地が斧を振り下ろした。


最後の氷岩ガニが動きを止めた。


洞窟の中に、水の流れる音だけが残る。


端末が反応した。


【氷岩ガニの群れを討伐しました】


【黒氷の回収を確認しました】


【内部水路の安全性が一部回復しました】


全員が武器を下ろした。


かすみは周囲の水を確認する。


「黒氷の破片は、水路に落ちていません」


優も岩のくぼみに集めた黒氷を見た。


「このまま触らずに置いておいた方がいい」


煌成が端末で黒氷を記録する。


「発生源を止めてから、まとめて処理しましょう」


氷岩ガニがいた場所の奥には、大量の岩と土砂が積み重なっていた。


その中には、甲羅へ集める前の黒氷も残っている。


「このカニたちが、岩や土を集めていたのね」


レイナが言った。


「ここを巣にしていたみたいですね」


久美子は盾を端末へ収納し、崩れた水路を見た。


誠司たちは、再び障害物を取り除く作業を始めた。


煌成が大きな岩を動かし、優が崩れそうな天井を魔法で支える。


大地と翔が岩を運び、早希が狭い場所の枝や小石を取り除く。


久美子は足場の悪い場所を支え、レイナは奥を警戒した。


かすみと誠司は、残った黒氷を岩から離していく。


最後の大きな岩を動かした瞬間、水路の奥から水が押し寄せた。


「来ます!」


誠司は杖を向け、水の勢いを抑えた。


細かった流れが、少しずつ太くなっていく。


ゴォォォ――。


澄んだ水が水路を流れ、滝の方へ向かっていった。


端末に新しい表示が出た。


【水路の閉塞を解除しました】


【滝の水量が回復しています】


【回復率:四十七パーセント】


早希が流れる水を見た。


「かなり増えたけど、まだ半分くらいなんだ」


「この先にも原因があります」


誠司は水路の奥を見た。


氷岩ガニが塞いでいた場所の先には、さらに大きな空洞が広がっている。


奥へ続く水路は暗く、これまでより深くなっていた。


その時だった。


ゴゴゴ……。


洞窟の奥から、重い振動が伝わってきた。


水面がゆっくりと揺れる。


岩壁から小さな石が落ちた。


翔が盾を取り出す。


「何かいる」


レイナも銃を構え、暗い奥へ向けた。


「氷岩ガニより大きそうね」


優は水路の先を見た。


「かなり重いものが動いている」


もう一度、振動が響いた。


ゴゴゴゴ……。


黒い水面の奥で、大きな影が動いた。


誠司は杖を握り直した。


水路は、さらに深い洞窟へと続いている。


そして、その奥には、この滝の水を弱らせている原因が待っていた。

内部水路を塞いでいた氷岩ガニの群れを討伐しました。


黒氷を水に落とさないように取り除き、岩や土砂を運び出したことで、滝の水量も少しずつ回復しています。


しかし、水路の奥ではさらに大きな何かが動いていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ