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第101話 滝の内部水路

山奥の滝にたどり着いた誠司たち。


黒氷の結晶が水源を弱らせていることを知り、滝の内側にある内部水路へ入ります。

冷たい空気が、洞窟の奥から流れてきた。


誠司たちは装備を確認し、山奥の滝の内側へ足を踏み入れた。


入口のすぐ近くでは、岩肌を伝った水が細く流れている。


足元は濡れて滑りやすく、天井からも水滴が落ちていた。


翔と大地が前を進み、その少し後ろを早希と久美子が歩く。


誠司たち魔法を使う者は、周囲の岩や水の状態を確認しながら続いた。


レイナも銃を持ち、暗い岩陰を警戒している。


端末の灯りを向けると、洞窟の奥に細い水路が見えた。


本来なら、ここから大量の水が滝へ流れていたのだろう。


けれど今は、水路の中央に大きな岩と土砂が積み重なり、水の流れを遮っていた。


端末が反応する。


【内部水路の閉塞を確認しました】


【岩石・土砂により、水の流れが遮断されています】


【水路を傷つけないよう、障害物を取り除いてください】


「ここが詰まっていたんですね」


久美子が水路を見た。


岩の隙間からは、わずかに水が流れ出している。


誠司は杖を向け、水の動きを確かめた。


「この奥には、まだ水があります」


「岩を全部壊せば早いんじゃないか?」


大地が斧を見た。


煌成は崩れた岩盤を確認した。


「強い衝撃を与えると、上の岩まで落ちてくるかもしれません」


優も天井を見上げる。


「水路そのものが崩れたら、今より悪くなる」


「じゃあ、少しずつ動かすしかないか」


大地は斧を背中へ戻した。


煌成が杖を構える。


「僕が土と岩を動かします。大きな岩が浮いたら、大地さんと翔さんで運んでください」


「分かった」


翔が盾を端末へ収納し、両手を空けた。


煌成の魔法で、土砂の中に埋まっていた岩がゆっくりと持ち上がる。


だが、岩の下には細かい石や折れた枝が絡まっていた。


「早希さん、下に入っている枝を取れますか?」


「やってみる」


早希は足場を確かめながら、狭い隙間へ近づいた。


崩れた枝を一本ずつ引き抜き、小石を水路の外へ出していく。


久美子は近くの岩を盾で支えた。


「ここは私が押さえています。急に動かさないでください」


大地と翔が、浮いた岩の両側を持つ。


「せーの」


二人は重い岩を水路の外へ運んだ。


その下から、たまっていた水が少し流れ出す。


誠司はすぐに水の魔法を使い、濁った水が一気に流れ込まないよう調整した。


「ゆっくり流します」


細い水流が、土砂の間を通って滝の方へ進んでいく。


端末の表示が変わった。


【水量がわずかに回復しました】


レイナが奥を見た。


「まだ先にも詰まりがありそうね」


水路の向こうには、さらに岩や土が積み重なっていた。


誠司たちは同じように、少しずつ障害物を取り除きながら進んだ。


煌成が岩を動かす。


優が魔法で崩れかけた天井を支える。


大地と翔が大きな岩を運び、早希が狭い隙間に入った枝や小石を取り除く。


久美子は崩れそうな場所を盾で支え、レイナは周囲を警戒した。


かすみは、岩の表面に付着した黒い氷を見つけた。


「ここにも黒氷があります」


黒氷は、岩の隙間に根を張るように広がっていた。


普通の氷とは違い、近づくだけで冷たい気配が強くなる。


端末に表示が出る。


【黒氷の付着を確認】


【強い衝撃を与えないでください】


【破片が水に混ざる可能性があります】


「壊すのは駄目みたいですね」


誠司が言った。


かすみは杖を黒氷へ向けた。


「私の氷魔法で、周りの岩から少しずつ離してみます」


かすみの魔法が、黒氷の周囲を薄く包む。


同じ氷でも、黒氷とは違う白く澄んだ冷気だった。


黒氷と岩の間に、細い亀裂が入る。


「今です」


誠司は水の魔法を使い、亀裂の中へ水を流し込んだ。


黒氷は岩から少しずつ離れ、水の流れに乗る前に優が魔法で受け止めた。


優は黒氷の破片を、水路から離れた岩のくぼみへ移す。


端末が反応した。


【黒氷の除去に成功しました】


【水路への影響はありません】


「この方法なら取り除けそうですね」


煌成が黒氷の状態を確認した。


「かすみさんが岩から分離し、誠司さんが水で押し出す。優さんが破片を水路から離す。その手順で進みましょう」


奥へ進むにつれ、黒氷の量は少しずつ増えていった。


岩の隙間。


水路の底。


崩れ落ちた土砂の中。


黒氷が広がった場所では、流れる水も弱くなっている。


誠司たちは黒氷を除去し、詰まった岩や土を少しずつ取り除いた。


作業を終えるたび、水路を流れる水の量が増えていく。


遠くから聞こえる滝の音も、少しだけ大きくなっていた。


「戻ってきてる」


早希が水の流れを見た。


「まだ全部ではありませんが、滝まで届く水は増えています」


誠司は杖を下ろした。


レイナが端末の地図を確認する。


「この先に、広い場所があるみたい」


水路は岩の間を曲がり、その先へ続いていた。


翔が盾を取り出す。


「ここからは敵が出るかもしれない」


大地も斧を構えた。


「今度は押し間違いじゃないからな」


「まだ誰も何も言ってないよ」


早希は短剣を手にした。


誠司たちは装備を整え、奥へ進んだ。


やがて、水路の幅が広くなった。


浅い水がたまった広間のような場所だった。


岩の上には黒氷が付着し、水面の一部も薄く凍っている。


「止まって」


レイナが銃を向けた。


水の中で、何かが動いた。


岩だと思っていたものが、ゆっくりと持ち上がる。


硬い甲羅。


太い脚。


黒氷に覆われた大きなはさみ。


一体だけではない。


水路の岩陰から、同じものが次々と姿を現した。


端末が警告音を鳴らす。


【氷岩ガニ】


【黒氷を甲羅にまとっています】


【水路内に複数の反応を確認】


氷岩ガニたちは、はさみを鳴らしながら水路を塞いだ。


翔と久美子が盾を構える。


大地と早希が前へ出た。


レイナは銃口を氷岩ガニへ向ける。


その後ろで、誠司、煌成、かすみ、優が杖を構えた。


「ここを通らないと、先へは進めないみたいですね」


誠司の言葉に、全員が戦う体勢へ入った。


氷岩ガニの群れが、水しぶきを上げながら一斉に動き出した。

滝の内部水路は、岩や土砂、黒氷によって何か所も塞がれていました。


誠司たちは水路を傷つけないよう、少しずつ障害物と黒氷を取り除きます。


水の流れが戻り始めた先で、黒氷をまとった氷岩ガニの群れが現れました。

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