エピソード15:えっ、なんかこいつ急激に強くなってない……? いや気のせいじゃないよね!?
場面は前回から引き続き、
五干市は育海海岸!
『怨恨リマインダー【ケプリモード】
……太陽の如く、推して参るのだわ』
砂浜に頭から埋まって絶体絶命の所、
巧みな"超変成"でもってケプリモードへの変身を遂げた
怨恨リマインダーことグラティア・サンジョー。
怪力甲虫と名高いフンコロガシの力を宿すだけに、
今までの形態に比べ聊か屈強で重厚な風貌をしていた。
あたかも背中はじめ身体の各所に、
甲虫の鞘翅を模した盾みてえな装甲が備わり、
特に両腕のそれは手甲が如き様相だ。
(宛ら『エルシャダイ』のベイルだな。
とすりゃ典型的な防御重視でパワー系の形態か)
ユウトの比喩が果たしてどれほどの読者に伝わるかは分からねえが、
事実ケプリモードは奴が独白で述べた通りの特性を持っていた。
ムジョウで例えるなら、
ギルタブリルモードの防御力とフォルネウスモードの腕力を併せ持つって所か。
("硬くて遅い"上に"近接一辺倒"……
加えて"飛行手段も持ち合わせてねえ"と仮定するなら、
このままヤタガラスモードで遠距離から追い詰めるのが最適解かァ……)
所詮楽観・希望的観測と言われりゃそれまでだが、
とは言えヤタガラスモードは元々かなり多芸。
態々形態切替を行うまでもねぇってのがユウトの出した結論だった。
『要請-"聖鳥の翼、その恩恵に与らん"』
[要請受理♥ 供給、ヤタガラカットラス♥]
力強く羽搏きながらユウトが"要請"すれば、
八振の舶刀"飛翔群刀ヤタガラカットラス"が形成される。
『追加要請-"眷属衆、総員出撃されたし"』
[要請受理♥ ヤタガラスドローン、全機出撃♥]
更に直後の"追加要請"を合図に舶刀は空中で二振ずつ合体。
四機の小型飛行機械"ヤタガラスドローン"へと姿を変えた。
『さあ行けっ! 消し炭にしちまえっ!』
ユウトは意気揚々とヤタガラスドローンを嗾けながら、
自分でも四方八方から電撃やら空気弾やらで攻撃を仕掛けていくが……
『浅はかな行動なのだわ……
そんなもので、ケプリモードの防御を破れはしないのだわっ!
"スフィアサンド・フォート"ッッ!』
対するグラティアは攻撃が来るより早く、
両拳で砂地をガンと殴り付け、
地面の砂を固めて半球型の防壁を作り出す!
(これぞケプリモードの持つ"大地のエレメント"の力!
大地に纏わるあらゆる力を操れる私にかかれば、
たかが電撃如き防ぎきるぐらい造作もないのだわっ!)
事実、グラティアの防御は堅牢そのものだった。
しかもそれどころか……
『しつこいスズメは撃ち落としてやるのだわっ!
"アースエナジー・ホーミングキャノン"!』
防壁の周囲へ砂で象っただろう、
小型の地対空ミサイル発射機が現れ一斉に火を噴く!
しかも発射された溶岩製のミサイルは"ホーミング"の名の通り
的確にヤタガラスドローンの各機とユウトを追尾して来やがる!
『ケエイッ、近接一辺倒ってのは見縊りが過ぎたかっ!
だがその程度で怯むようで、ギネス級ヒーローが務まるかアッ!
ドローンども! やっちまうぞっ!』
だがやはりユウトの方が一枚上手!
ドローンらとの連携でもって四方八方に強烈な電撃を放ち、
迫りくるミサイルを次々撃ち落とす!
(マグマミサイルが、撃ち落とされたっ……!?)
かなり頑丈なハズのミサイルを破壊されたとあっちゃ、
グラティアも動揺せずにいられねえが……
『ならばかくなる上は……これを喰らうのだわっ!』
ミサイル発射機を引っ込め、
防壁さえも自ら解除したグラティアは、
改めて両腕を掲げ叫ぶ!
『"メナス・ギガ・クラッシュ"!』
『ぬうおっ!?』
力強い叫びと共に、その場に居た誰もが空間の歪みを錯覚する!
続け様にユウトを襲うのは、凄まじいまでの重圧……それも"物理的なヤツ"だった!
『ぐあっがあああっ!?
まさか、これはっ……!』
呆気なく墜落し地面に叩き付けられるヤタガラスドローン。
自重に耐え切れず落下してると見て間違いねえ。
(気を抜きゃ俺も二の舞か……!
んでこの"物理的な重圧"はっ!
地球外の現場で散々感じた"アレ"で間違いねえ、とするとっ……!)
これほどの情報から全容を察せねえほど、ユウトはニブくなんてなかった。
寧ろ奴は"メナス・ギガ・クラッシュ"なる技の実態をも即座に見抜いていた。
『てめえ、女ッ! まさか操れるってのかっ!』
『勿論なのだわ。ケプリモードは大地のエレメントを扱う形態だもの。
"重力操作"ぐらい造作もないのだわっ!』
そう、ケプリモードは"鈍重な重装甲の近接特化パワー型"と見せかけてその実、
重力操作でもって実質無限に等しい攻撃範囲を誇るトンデモ形態だったんだ!
『さあどうするのかしら遺恨リーパームジョウ?
これは予想外で対処不能よね? 負けを認めるのなら、
せめて苦しまないように殺してあげないこともないのだわっ!』
その途端、一瞬だけユウトにかかる重力が大幅に減少する。
どうやら生殺与奪の権を握ったつもりになってるらしい。
所謂
『如何に強い装備や能力を持とうと使用者が変わらなきゃ意味がねえ』
ってパターンの典型と言えるだろうか。
(さて、どうする……)
地面に降り立ったユウトは思案する。
果たして"負けを認めるフリをする"か
はたまた"歯向かう姿勢を崩さず反撃をブチかます"か……
どっちを選んだ方が"読者にウケるだろうか"と。
(……ま、正直絶対的な読者数が増えなきゃウケ狙っても意味ねえがな。
感想寄越すほど熱心な読者がまず精々三人しか居ねえし、
うち二人は多忙でマトモに動けねえときた。残る一人もどうなるか……)
つまりより多くの読者に"感想を書きたい"と思わせるような、
若しくは"ブクマや評価、SNSの宣伝で作品を支えたい"と思わせるような、
そんなムーブメントが求められるワケだが……
(……やめよう。俺なんぞがそんなん考えたとて無駄なことだ。
結局"やる奴がやる"ように"やらねえ奴はやらねえ"んだから……
今はただ、この状況の打開に注力すべきだろうよ)
結局"由無し事"は"由無し事"に過ぎねえ。
それがユウトの出した結論だった。
~今回の質問~
Q.結局ユウトはどっちの戦略を選ぶと思う?




