第五陣:自業自得である
さて、場面は前回から引き続きとあるファミレスの店内。
『ん゛ん゛ぐぅっ!?』
止しゃいいのにユウトへ喧嘩を吹っ掛けたヴェイドス四世は、
けれど渾身の必殺技を実質自分で喰らう羽目になり自爆に追い込まれた。
まあ自爆つっても範囲は首から上で済んだワケだが、
然しとは言え被害は中々に深刻だった。
ストロンチウム入りの炎が如き真紅だった四世の髪は
エネルギー暴発のせいでギャグ漫画のオチめいて"爆発"し今や見る影もねえ。
オマケに両目はこれまたギャグ漫画の如く飛び出て充血、
更には全身の鱗までまさに"爆ぜた"が如く逆立ってるもんだから、
あたかもエロモナス菌に感染し松かさ病を発症した魚の如き有り様で……
(いや、そうはならねぇだろ……
確かに『ONE PIECE』だかだと龍は魚類カテゴリらしいが、
ありゃあくまで登竜門伝説との関連付けなんであって……)
加えてユウトに至っては、
至近距離でそこそこな規模の爆発が起こりながらこの落ち着きよう。
もう頭がおかしいとかそういうレベルかも怪しいモンだ。
『なあ女王陛下、もうやめにしねェ?
互いに損ばっかで得も益もねえ。
これ以上やり合ったって仕方ねえだろ~?』
『っ゛!』
ユウトからの"提案"は、
然し四世にすりゃ"挑発"と言う他なく……
『なあ、大人しく引き下がっちゃくれねェかい。
仕草一つで「もう戦わない」と誓う素振りを見せてくれりゃ、
こっちとしてもこの手を退けられるんだがなァ』
『っ゛っ゛! ん゛~~~ッ!』
結果、余計ムキになっちまったのは言う迄もねえ。
とは言えユウトにしても安易に手を離すワケにはいかず、
この程度が最適解だったんで仕方なかったトコはあるんだが……
ただ双方のこの判断が、誰も予想し得なかった"悲劇"の引き金を引く……!
『ふん゛っ! ぬ゛ん゛っ!
ぐん゛ぬ゛ぬ゛ぅ゛ん゛ん゛ん゛ん゛〜〜!』
『なぁ〜もう止せって〜。
そもそも店のどこにも"一人で来るな"って書いてなかったしよ〜
店員からもNG出なかったんだぜ〜?
明らかなマナー違反じゃなくて店側も許可してんならよ〜
何も咎められる理由なんてねえと思うがなァ~?』
『ぐぅっ! ぬ゛ん゛ん゛ん゛ん゛〜〜!
ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛――んぅっ!?』
――「「「「「!?」」」」」――
瞬間、何かが破裂するような、吹き出すような音がした。
文字に起こすなら"ブボッ"とか"ブギリッ"ってトコか。
やけに汚くて品のねえ音だったが、それもそのハズ……
(……まあ、出ても不思議じゃねえが)
その音は四世の"臀部辺り"から鳴っていたんだ。
要するに実質的な"放屁"ってワケ。
例えるなら"天使の囁き"ってよりは
"親父に首を刎ねられたガネーシャの悲鳴"って感じか。
(……あの黒煙、まさか……)
刹那、ユウトはこれが単なる放屁じゃねえと見抜いていた。
ともすりゃ大惨事にもなりかねん。
てことで真面目に――あくまで四世の口から手は離さず――警告しようとするが……
『よぉ女王陛下、マジでやべえって――』
『ん゛ん゛ん゛ん゛~~~~~っっ!』
それでも四世は止まらなかった。
結果、増幅に増幅を重ねたエネルギーの"出口"は一つしかなく……
『ん゛っ゛ん゛ん゛〜〜〜〜っ゛っ゛!?』
一際汚く下品な爆音を伴って、
四世の臀部から――衣類さえ穿つ勢いで――炎が噴き出す!
焼滅熱線のエネルギーが消化器系を通り、
腹ん中に溜まったガスと化合して肛門から噴き出したんだ!
「うわあっ!?」
「なにコレぇ!?」
「ぎゃーっ!」
「ほ、炎がっ!? 尻からっ!?」
「ラジニ爺さんの一ヶ月コースかよっ!?」
炎の勢いたるやまさに軍用の火炎放射器!
ともすりゃ突然の出来事に、さしもの客たちも取り乱し逃げ惑う!
絵面はギャグだが現場からすりゃたまったもんじゃねぇし、
まして今の四世を嘲笑える者など……――
「ギャハハハハッ!
ギャハハハハハハハッ!
なんだよあいつ!
ケツからっ! ケツから火っ! ヒヒッ!
ケツから火ってっっ! ブハッ!
ケツからブボォ〜〜ッ! ブボォ〜〜ッってっ!
マジ草生えるっ! てか草燃えるっっ!」
――……居たわ〜。
みんな取り乱す中、一人爆笑しながら酒を煽るチャラい若造が。
「ゥッヒ! なんっっ! なんっなんだよマジぃっ! ッヒヒ!
もう髪と鱗ボォーン! ってなってるだけでも面白かったのにっっ!
おまっ! お前っ……! なんでそんなっ! クハッ!
"バーニング放屁"とかっ! おまっ! フヒヒッ!
フェッヘヘヒヒッ!
オナラ真拳究極最終奥義かっつーのよっ……!
何が"ヴェイドス四世"だよ! ェハハハッッ……!
もう"ヘッピリ・ムシ子"に改名しろよオメェ〜っ!」
面構えは手越祐也か小林豊、
はたまた若年期の山口達也に近く、
髪は鮮やかな若草色のツンツン頭。
私服の上から『ラブライブ! サンシャイン!!』の法被
――絵柄は"Aqours"が誇る"海の女"松浦果南――を羽織り、
その他にもアニメやゲーム、特撮から洋画に至るまで、
全身あちこちにそれらの関連グッズだろう
缶バッジやらの色々な小物を"纏って"やがる。
ただ奴が"纏う"中でもひときわ異彩を放ってた
――少なくともユウトを大いに驚愕させた――のは……
(……"ネオ"の方のアマゾンズドライバーとレジスター、だとっ……!?)
そう。
男の腰に巻かれた"爬虫類の横顔を象った変身ベルト"と、
左腕に巻かれた"猛禽類の横顔を象ったメカ腕輪"……
もとい"ネオアマゾンズドライバー"及び
"ネオアマゾンズレジスター"だったんだ。
特撮に詳しい読者なら分かるだろうが、
これは余りに異常過ぎる事態と言っていい。
(おかしいじゃねえかっ……!
今日は西暦2017年3月7日……
『仮面ライダーアマゾンズ シーズン2』の製作が発表され、
主役ライダー"アマゾンネオ"のビジュアルが公式解禁された、まさにその日っ!
あそこまで精巧な変身ツールの立体物を身に着けてやがるなど、
フツーに考えて有り得ねえ……!
さては、あのチャラ男もタイムトラベラーかっ!?)
余りに予想外過ぎる展開に、
ユウトの意識が未だ笑い転げる若造に逸れる。
『~~~~~~っ゛っ゛っ゛!』
それが、いけなかった。
(しまったっ!)
ふとした油断から手に込めた力が緩み……
『ぶっはあっ!』
四世が拘束から抜け出しちまう!
しかもタチの悪いことに……
『おのれ小僧~~~!
たかがオタクの分際で、高貴な我を愚弄するかあっ!
手始めに貴様から"焼却処分"してくれるわ~っ!』
標的は件のチャラ男で、
しかも今度は掌から火球を放とうと構えやがったんだ!
https://mond.how/ja/69440_Uwabami
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